表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第1章 俺は異世界で発育する
33/907

第25話 俺は姉さんを送り出す

 魔力検査前日、姉さんは特に気負う様子もなくいつも通りの時間に就寝し、当日もいつも通りに起床した。


 逆に俺の方が緊張して眠れず、徹夜してしまった。

 食卓に座ってみんなが起きてくるのを待つ。今日はみんなで朝食を食べる予定だ。

 このまま朝食を食べて、姉さんを見送ってから寝よう。


 誕生祭と違って魔力検査は1日で行われる。

 1日で行うからお城と街の冒険者ギルトの2箇所を使う。

 お城は王侯貴族関係者、冒険者ギルトは庶民を担当する。でも庶民の方が数が多いから、貴族に仕える者や豪商などの子弟はお城で検査をするらしい。

 俺はマリーと一緒にお城で検査を受けられるようだ。1人だと緊張するからよかった。


 姉さんももちろんお城で。午前中に登城し、お昼前には帰ってくる予定だ。

 検査で誰が1番だったのかは翌日発表されるらしい。俺には直接関係無いのに、明日まで緊張が収まりそうにないね。




 ようやくみんな起きてきた。父さんが一番最後に席に着く。

 すごく眠そうな顔をしているね。気持ちはよく分かるよ。


 姉さんの健闘を祈って乾杯をする。お酒じゃなく果実のジュースで。

 姉さんの好きな料理が食卓に並んでいる。コックが朝から頑張ってくれた。

 こういう時に日本ではトンカツなんかを食べるんだけど、そういう縁起を担ぐ食べ物はないそうだ。姉さんが喜んでいるから、問題無いんだけどね。


 食べ終わったら動きやすい服装に着替える。正装じゃなくてもいいらしい。俺は寝間着のままだけど。


 今日は父さんが姉さんに付き添ってお城に行く。今日は仕事を休んだんだそうだ。眠そうだけど大丈夫かね。


 若干ふらふらしている父さんを姉さんが引っ張って外に出た。

 誕生祭より参加する人数が多くて馬車だと混雑するから、歩いて行くんだよね?

 なんか姉さんの邪魔をしているような気がするけど、しっかりして。


 母さんに頬っぺたをつねられて泣きそうになってる父さん、全く同情出来ない。本当に気をつけてよ。


「ねえさん、いってらっしゃい」


 ようやく2人は出発した。よし、寝よう。

 2人が見えなくなったら、母さんやアンナさんも欠伸を見せるようになった。もしかしてみんなも眠れなかった?




 みんなで二度寝していると、お城から父さんの使いがやって来た。

 なんでも姉さんの魔力測定中に、測定用の魔導具が不具合を起こしたらしい。

 直ぐに新しい魔導具を用意して検査は再開されたが、姉さんの順番は最後に回された。だから帰るのが夕方になるとの連絡だった。


 え、なんで最後に?


 魔導具の不具合ということになっているが、魔導具の許容範囲以上の魔力が流れ込んで故障した可能性がある。また壊されたらどんどん試験が遅れるから最後になった、と。


 それって凄くない?姉さんの魔力がとんでもない量だったってことでしょ。


 伝令の人、ありがとう。もし姉さんの技能試験を観られるのなら期待しといてね。


 さてどうしようか。姉さんの帰りを待ってご飯を食べに行く予定だったのに、夕方まで暇になっちゃったね。

 昨日も行ったけど、マギー様の教会にもう一度行こうかな。その後は図書館で時間を潰そう。マリーは何かしたいことある?


 じゃあ教会にレッツゴー。




 日が沈む前に姉さんと父さんは帰って来た。

 2人ともいい笑顔だ。上手く行ったことを物語っている。


「アリーは凄かったぞ。王子にも負けてなかった。今年の1番はアリーのものだ」


「お城の食堂で食べた料理が美味しかった。また食べに行きたいな」


 父さんと姉さんで喜びの内容が違うんだが。

 お城で働く兵士や役人用に食事を提供する食堂があって、お金を払えば誰でも食べる事が出来るらしい。

 いいなぁ、俺も食べに行きたい。


 お城に入るのは許可がいるから、誰でもは言い過ぎだって母さんが指摘する。

 ああそうか、じゃあ今度お城に入れるのは俺の魔力検査の時だから、4年後か。ずっと先だなぁ。


「そんなことはないぞ。検査の数日後に慰労会がお城で開かれるんだが、上位の者は家族の参加も許可されるんだ。慰労会には美味い食事が出るぞ。アリーは王子を抜いて1番間違い無しだからな。ゲオルグも一緒に参加しよう」


 おお、そういうパーティー的な物があるのか。是非参加したいけど、マリーは?


「マリーの事は気にせず、参加して来てください」


 俺の目線に気付いたのか、マルテがそう言ってくれた。マリーは何の事か分かってないようだけど。

 容器を持って行ったらお持ち帰りさせてくれないかな。


 父さんにお持ち帰りを提案したら笑われた。やっぱりダメか。




 翌日、王国中に魔力検査の結果が公開された。

 王族が参加する年は王族が1番になる、という大方の予想を覆し、知名度の低い男爵家の娘がトップだったことに皆驚愕した。

 我が家はその日お祭り騒ぎで、いろんな人がお祝いに訪れた。

 姉さんはお祝いに来てくれた人に、技能試験を再現してみせた。

 姉さんによって作られた四神達も、一位を喜ぶように生き生きとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ