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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
序章 俺は異世界に転生する
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第3話 俺は未来に目を向ける

「ほんとに、殴ったりしませんか?」


「それは話の内容によります」


 神がオドオドしている。やり過ぎたかも。


 そうそう、ゆっくり深呼吸して。落ち着くまで待つから。


「ふうぅ。では話の続きを。先程遺伝の話をしましたが、桃馬さんの身体は遺伝的に素晴らしいものになる可能性がありました。ふふふ、我々は胎児期にそれを調べることが出来るんです」


 なんか自慢げなのがムカつく。


「そういう良い身体になるかもしれない胎児を見つけると、我々はちょっとした力を与えます。力の種類は与える神によって異なりますが、人はそれらを才能と呼び、勉強やスポーツ、戦いに利用します。桃馬さんも力を感じてましたよね?」


 俺の場合は剣の才能かな。


「力のある人間には異性が寄って来ますからね。子孫に良い遺伝子を残せる確率が上がるんですよ」


 なるほどね。

 神にとって良い遺伝子を持った人間がいても、子作りせずに死んだら意味無いもんな。


「まあ才能をフル活用して仕事に一生を捧げる人や、才能を信じ過ぎて無茶して早死にする人もいるから、これも思い通りにはいってないんですけど」


「無茶して早死に。俺のことか?」


「わーー、ちがいまーーす。そう、右手を下げて。左手は上げないっ」


 流石に2回目は引っかからないか。


「無茶したつもりは無いけど、俺の身体は15年でダメになった。良い肉体になる遺伝子を持ってたんだよな。話が違うじゃ無いか」


 もう丁寧に話さなくてもいいかな。ムカついてるって態度を示しておこう。


「それは、その。ちょっと、力を入れ過ぎて、肉体が、持たなかったというか、耐えられなかったというか」


 言い辛そうにゴニョゴニョと。声が小さくなってるぞ、はっきり言えよ。


「いや、周りのみんながまだまだイケるって言ったから。もうちょっと、あと少しってなって。おだてられたというか、あおられたというか」


 今度は人のせいに。情け無い神。

 プロっぽくないな、アマチュアの神だ。こっそりアマちゃんと呼んでやろう。

 因みに、おだてるとあおるは、同じ漢字。煽てると煽る。こういうところ、日本語って難しい。

 この神は、風を受けて燃え上がっちゃったんだな。


「要するに、あなたが力を入れ過ぎて失敗したんだろ。言い訳する前に何か言うことないの?」


「すみませんでした」


 はや。謝るのはや。謝る姿は90度の礼。どこで習ったんだ?神社に来る人を見てたのか?


「はあ、わかったよ。残念だけどもう終わったことだ」


「ほんとにすみません。こちらとしてもあの遺伝子を残すために手を尽くしたのですが、2年も持ちませんでした」


 俺の祈りが多少は届いたのかな。いや、自分達の利益のためか。


「もうその話はいい。俺の過去のことはわかったから。それより未来の話をしよう」


「そうですね。くよくよしてても仕方ありません。笑顔で先に進みましょう」


 素晴らしい笑顔だけど、おまえが言うか。


「で、迷惑を掛けたお詫びにですね、桃馬さんの願いを聞いて異世界に転生させることが決まりました」


 は?


「まずはどこに行くか決めましょう。どんな世界がいいですか?やっぱり剣と魔法の世界ですかね。日本人はそういう話が好きですもんね」


 喜々として話し続ける神。突然その横に映像が出現し、色々な世界を紹介している。

 全て球形の惑星でほぼ地球と変わらぬ環境だとか、こっちは魔法の世界でこっちは巨大ロボの世界だとか。

 魔法にはちょっと惹かれる。職業を選べる系のゲームではいつも魔法職を選んでいた。毎日剣を振っていたからその反動かな。

 しかし荒廃した世紀末の世界なんてのもあるけど、誰が好き好んでそんなところ行くんだ。


「ちょ、ちょっと待って。異世界に行くのか?生まれ変わるなら、またこの世界がいいんだけど」


 俺は日本が好きだ。海外旅行すら拒否するぞ。


「残念ながら、同世界で生まれ変わるなら、魂を洗浄しなければいけません。洗浄すると記憶も人格も消えて無くなり、桃馬さんでは無くなってしまいます。古い知り合いが記憶を残して子供の姿で現れたら混乱しますよ」


 それはそうかもしれないが。


「しかし優秀な魂をリセットするのも勿体ないですから、ときどき記憶を保持したまま別世界に転生させています。停滞した世界に新風を巻き起こして、進化のアクセントにするんです。地球でもたまに奇人変人と呼ばれる人が現れますよね。そう言う人たちは異世界からの転生者です」


「転生者が来てると言う割には、地球に魔法や巨大ロボは無いぞ」


「まあこの世界には魔法の元になる魔力は無いし、巨大ロボを支える特殊な金属を用意してませんからね。でも魔法世界から来た人が錬金術を実践しようとしましたし、巨大ロボ世界から来た人は飛行機を作りだしましたね。無いなら無いなりに、何かしようとするんですよ」


「その転生させることが何でお詫びになるんだ?転生ってのは元々あるシステムなんだろ。それに組み込まれたからって嬉しくも何とも無い。神なら17歳の俺を生き返らせるくらい出来ないのか」


「残念ながら桃馬さんの肉体はもう動きません。現世の身体に我々はもう干渉することが出来ませんし、新しく肉体を作り出すにはとんでもなく時間がかかります。先程申し上げた通り同世界への転生も出来ません」


 神の目にまた涙が溜まってきた。


「迷惑を掛けた桃馬さんには、新しい世界で第2の人生を楽しんでもらいたいんです。お願いします、転生の話を受けてください」


 そこまで神に懇願されると。


「わかったよ」


 話を断れない。


「よかったぁ。じゃあどこの世界にします?重力が地球の半分の世界なんてのも面白いですよ」


 喜怒哀楽が激し過ぎないかい?


「話を受ける前に、こっちの条件をいくつか聞いてくれ」


 いくつか譲れない点がある。それが出来ないなら、転生はしない。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 神に対してあまりにも態度がデカすぎるだろう主人公。傲慢さがまったく治ってねえ・・・
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