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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第4章
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第18話 俺は団長を利用する

「なるほど、獣人族の血をな。曾孫となると見た目には分からんな。儂の古い知り合いに獣人族とのハーフがおるが、見た目は獣人族に近かった」


「俺の記憶の中にある爺さんも見た目は獣人族だったな。で、それが金属魔法と何の関係が有るんだ。そろそろ教えてくれないと訓練する時間が無くなってしまうぞ」


 昔を懐かしむソゾンさんに今を焦る団長。なんか変な取り合わせで笑ってしまった。


 ごほん。では、気を取り直して説明しよう。マリーの肘打ちは年々強力になっている気がする。


「魔法の分類として火水風土の四属性の他に、木火土金水の五行で分類する考えがあるんです。で、その五行に人種を当て嵌める事が出来るんじゃないかと考えました。人種別に得意な魔法が有りますからね、それを基にしています。水行は魚人族、木行はエルフ族、火行は人族、土行はドワーフ族です」


 ゆっくりと丁寧に、団長の表情を窺いながら話を続ける。


「そして、金行は獣人族が当て嵌るんじゃないかと考えています」


「俺は金属魔法と言えばドワーフ族を思い浮かべるが」


「いや、我々ドワーフ族が最初に覚える魔法は土魔法じゃ。成長して鍛冶をやっていると自然に金属魔法を覚えるがな」


 団長の疑問にソゾンさんが的確に答えてくれる。


「そう、各種族にとって最初に覚える魔法、覚えやすい魔法が有るんです。そして獣人族にも魔力があり、秘技は金属魔法と同じ物じゃないかと考えているんです」


「俺の周りの獣人族は魔法を使えないぞ。金属魔法はもとより、火も土も風も。それは魔力が無いからじゃないのか?」


 獣人族と長く一緒に暮らしていた団長は、経験談から否定的な意見をとる。


「それには2つ理由があると思います。1つは秘技を大事に護り過ぎて他の魔法に手を出そうとしなかったから。もう1つは、魔法を覚える順番を意識しなかったから」


 他の種族から排除されてきた歴史もあると思うけど、その話には触れないでおこう。


「この五行は木火土金水の順に繋がりを持っていて、魔法を覚える順番を示しています。金の次は水。つまり水魔法を習うべきですが、内陸に行くと魚人族が居なくなり水魔法を教える人も減ってしまう。団長が住んでいた村に水魔法を使える人族は居ましたか?」


「居なかった。人族で四属性を扱える魔導師は、国で召し抱えられる程の貴重な人材だぞ」


「俺の周囲にはいっぱい居ますよ」


 マリーが水魔法を団長に見せびらかす。話に合わせてくれてありがとう。


「それでですね。この考えを証明する為にも獣人族の方に水魔法を覚えてもらいたいんですが、それを試してもらおうと思っているクロエさんは最近秘技の基本を覚えたばかり。もう少し待とうかなと思っていた時に団長が現れたので、この話をするのにちょうどいいと思ったんです」


「実験台ってことか」


 団長がちょっとムッとした感情を出す。子供に遊ばれていると思ったのかもしれない。


「悪く言うとそうなりますね。でも団長にとっても不利益にはならないと確信しています」


「俺は火魔法が使えるんだから、順番というなら次は土魔法なんじゃないか?」


 団長がマリーに習って火魔法を発動する。火魔法には自信が有りそうだ。


「俺の知り合いに、見た目は人族ですが火魔法と水魔法しか使えない子が居ます」


「話が違うじゃないか」


「そうなんです。その子も団長と一緒で土魔法も風魔法も覚えられなくて、間を飛ばして水魔法を覚えたそうです。団長の話を聞いて思い至りました。この子は魚人族の血を受け継いでいるのではないかと」


 他種族との混血によって、魔法の才能を受け継いでいるんだ。それによる弊害もあると思っている。


「なるほど、それで獣人族の血を引いている俺に金属魔法を。火魔法が使える俺なら魔力があることは確定してるもんな。いちいち獣人族に気と魔力の事を説明する手間が省けるってことだ」


「はい、その通りです」


「分かった。金属魔法を習おう。その次は水魔法を教えてくれるのかな?」


「いえ、恐らく今のままなら、火魔法と金属魔法しか、使えないはずです」


 エマさんも2種だけしか使えない。きっと団長もそうだ。恐らく人族と獣人族、人族と魚人族の組み合わせは相性が悪いんだと思う。隣り合っていない五行の血が喧嘩するんじゃないかな。


「そうか。まあ先ずは金属魔法を覚えないと話にならないって事だな。時間が勿体無いから早速始めてくれるか?」


「ふむ、漸く儂の出番じゃな。団長にはまず鍛冶をやってもらう。金属の扱いに慣れないと、金属魔法は無理じゃからな」


 こうしてソゾンさんの鍛冶講座が始まった。アイテムボックスを使って王都の鍛冶屋から素材を取り出して鍛冶を始める。鉱石をマリーの火魔法で溶かして不純物を取り除き、固めてインゴット状にする。それをもう一度熱してハンマーで叩いて伸ばす。全く説明をせず、黙々と作業を続けて団長に手本を見せる。団長も黙って刻々と変形していく金属を凝視していた。


 次に覚えてもらう魔法は土魔法だ。2種族の血で分断された五行の流れを土で繋げる。問題はどうやって土魔法を覚えさせるかだな。


 団長での実験が上手く行ったらエマさんにも教えよう。新しい魔法の修得を諦めている彼女も、草木魔法を覚えたらきっと全てが解決するはずだ。

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