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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第4章
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第5話 俺は傭兵団と面会する

 父さんが大人を4人引き連れて帰って来た。傭兵団を引き受ける対価として信頼できる冒険者を貸してもらうよう交渉に入った筈なんだが。

 俺も応接室に呼ばれて4人と対面する。4人のうち1人はつるつる頭が特徴的なギルドマスター。他の3人は知らない顔だ。フリーエン傭兵団の人達かな、父さんが言っていたように身に付けている装備は薄汚れている。


「ギルドマスターはお久しぶりです。そちらのお三方は初めまして、男爵家長男のゲオルグです」


「おう、元気そうだな。城の連中が言っている事なんて気にする必要無いからな。後で俺にも魔導具を見せてくれよ」


 ギルマスに励まされた。色々な情報が耳に届くんだろうが、どんな内容なのか凄く気になるぞ。


「初めまして、フリーエン傭兵団の団長、ヴァルターと申します。こっちが副隊長のリカルド。こっちが参謀のアヒム。よろしくお願いします」


 ヴァルターさんが紹介してくれた2人とも挨拶を交わす。リカルドさんが獣人の方ね。


「傭兵団の3人は村建設に出発するまでうちに泊まることになった。今晩はギルドマスターの提供で宴会だぞ」


 父さんが嬉しさを隠そうとせず4人を連れて来た理由を語る。ギルマスの自腹って所がいいんだろうな。


 ヴルツェルから建設部隊は明日王都に到着する予定で、明後日に村建設予定地へ出発する。団長たちはそれに帯同し、北の国境付近で留まっている他の団員とは村建設中に合流する予定だ。既に冒険者ギルド経由で日程は連絡してあるそうだ。


「冒険者を借り受ける話は無理だったが、ギルドマスター個人名義で資金援助をしてもらう事になった。出来るだけ食料を安く売ってもらえるよう商業ギルドの方へ掛け合ってくれているし、男爵家としては悪くない状況になったと思う」


 父さんの状況説明を聞いたギルマスが、つるつる頭を掻きながら反応する。


「押し付けて悪いなとは思ってるんだよ。後でお菓子や料理を持って来させるから、ゲオルグも宴会を楽しんでくれ」


「後でとか言わずに速く酒を持ってこいよ」


 応接室の扉が大きな音を立てて開いたと同時に、蟒蛇さんが酒の要求を口にした。寝泊まりは王都の宿屋を使用しているが、暇さえあればうちに来て酒を呑んでいる。薬草と竹の栽培が安定するまでシビルさんを借りる代わりに、お酒を献上している状況だ。もちろんシビルさんとバスコさんにも対価を支払っている。献上するお酒の量は契約で決めてあり、それ以上に呑みたかったら外へ飲みに行ってもらっている。所持金を気にせず飲める機会を蟒蛇さんは見逃さないのだ。


「なんで俺がドーラに酒を奢らにゃならんのだ」


「私も暫く村に滞在する予定だからだ。硬いこと言わずに、労わってくれてもいいだろ」


 しつこく酒をせびるドーラさんにダメだとギルマスは拒否するが、このまま同席する形になりそうだ。昔の悪事を世間にバラすぞとか脅されているからな。諦めて提供する本数を交渉した方が建設的だ。


「な、なあ。あれって“雷帝”のドーラか?」


 父さんを含めて騒ぐ3人を指差し、団長が俺に返答を求める。


「そうですよ、ドーラさんは国外でも有名なんですか?」


「あ、ああ、噂が結構広がってる。一瞬で山脈を消すとか、遠く離れた2つの街で同時刻に姿を見られたとか、帽子から鳩を出すとか、10樽分の酒を一晩で飲み干したとか、真偽はよく分からない噂話だけど」


 マジシャンかよ。10樽を飲み干したのは、本当だろうな。


「もしかしてシビルとバスコもいるのか?」


「はい、シビルさんに村でやってもらいたいことがあるから雇ったんです。3人とも村にしばらく滞在しますよ」


「よかった。この話に乗ってよかった。これで隊員達を助ける事が出来る」


 よかった、よかった、と涙を流して喜ぶ隊長。なにがなんだかさっぱり分からん。可笑しな隊長の世話は副隊長に任せて、参謀と呼ばれたアヒムさんに質問する。あれは、なんですか?


「実はこの国に来て体調を崩した隊員が数人居まして、エルフの秘薬でもない限り治せないと街の医者から匙を投げられていたんです。まさかここでエルフの“神仙”に出会えるとは」


「エルフのシンセン?」


「聞いたことありませんか。エルフ族の中でも特に薬学を得意とする人の呼び名です。シビルさんが作る回復薬と毒薬は、もの凄く効果があると言われているんですよ」


 ど、毒薬も得意なのか。シビルさんは魔植物を操る草木魔導師っていう印象だけど、確かに捕まえた敵を薬で治療してたな。


「しかし、これで仲間達が助かる可能性が出て来ました。何とか治療費を支払えるよう頑張らないといけませんね」


 はあ、それは良かったですね。ドーラさんが間に入って莫大な治療費を要求しなきゃいいけど。




 その日にアヒムさんはシビルさんと面会し、何やら薬を作ってもらって王都を出立した。宴会にも参加せず、なるべく早く薬を届けたいからと一人で出て行った。一人だと飛行魔法で飛んで行けるからと。


 薬の内容が気になったのんで、“神仙”に聞いてみた。


「薬の内容は秘密。それとその名で呼ばないで。人族が勝手に名付けた呼び名で、エルフ族からしたらまったく意味のない呼称だから。薬学に詳しいエルフは、大事な才能が無いエルフなんだよ」


 う~ん、よく分からない。まあ呼ぶなと言うなら黙っていよう。エルフ族はなにやら秘密が多いみたいだな。

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