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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第4章
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第2話 俺は特産物を考える

「ここ。ここに新しい村を作って収入を得ると共に、男爵家に味方する利点を示して行こう」


 俺は領内を表す地図の東端を指で示す。


「確かに其処には村は無いが、山の斜面だし大きな街道も無いし、領内を流れる川からも離れている。村を作る利点は無いと思うが」


「うん、俺もそう思う。でも川に近い平地なんて既に開墾されて利用されてるでしょ。川に近い平地を使えるのならそっちの方が良いんだけど」


「それは、まあ、無理だけど」


 この状況で高望みをしてはいけない。


「領地を発展させる為にも、先ずは男爵家が管理できる村を作って人を集めるのが一番だと思うよ。水は川から水路を引いて来よう」


「村を作るのは分かった。水路も作るよう頑張る。でも、どうやって利益を得るつもりだ?」


「新しい作物を育てて販売する。問題はその作物を持っている人が協力してくれるかどうか」


「それは誰だ?」


「シビルさん」




 翌日、好物である野菜の天ぷらを餌に、シビルさんを呼びだした。最近は王都内の宿屋に滞在している。王様から貰った報酬を使ってゆっくりしているようだ。

 先ずは食事を提供してご機嫌を窺う。あまり感情が表情に出ないシビルさんだが、手を止めることなく天ぷらを口に運ぶ。夏から秋になるともう少し天ぷらの種類も増やせるんだけどな。

 暫く経っても飽きることなく食べ続けるシビルさんに本題を切り出した。隣でドーラさんとバスコさんがお酒を呑んで盛り上がっている。ちょっと、煩いですよ。


「シビルさんが薬に使っている薬草を栽培して売り出したいんですが、栽培方法や薬の作り方を教えてくれませんか?」


「栽培が難しいから、絶対失敗する」


「しばらくシビルさんが育ててくれたりとか」


「私は良いけど、ドーラが嫌がる」


 ヴルツェル産ワインをガブガブ呑んでいるドーラさんの方に向きを変える。


「嫌がります?」


「嫌がるねぇ。私はじっとしているのが嫌なんだよ」


 最近は王都から動いてないのに。


「シビルさんだけ置いて行ってくれませんか?」


「駄目だ」


「ケチ」


「ケチで結構。シビルとバスコが居ないと私はダメ人間になるからな」


 今でも十分ダメ人間だぞ。


「毎日お酒を提供したらじっとしててくれますか?」


「そんなことしたら数日で蓄えが無くなるぞ」


 確かに。もう用意したお酒が無くなりそうだし。これ以上出費を増やす訳にはいかないな。でも薬草を諦めるのもなぁ。


「もしかしてシビルさんじゃなくても、エルフ族なら育てられます?」


「う~ん。私が教えたら出来るかも?」


 よしよし、それならなんとかなるかもしれない。


「でもマチューはダメ。マチューに教えると面倒臭い事になるから」


 えええ、まじかよ。仲悪いのかな。


「分かりました、その話はちょっと置いといて。あの爆発する竹じゃなくて普通の竹を育てたいんですけど、どうしたらいいんでしょうか」


「私が持ってる乾燥根っこを植えて魔力を注げばあとは勝手に育つけど。本当に好き勝手に根っこを伸ばして生育するから、竹は気軽に植えない方が良い」


「横に伸びないよう金属魔法で土地を区切って植えるつもりなんで大丈夫だとは思いますが気を付けます。これで筍を食べたり、竹細工で商売が出来そうです」


「あれはえぐみが凄くて食べられない」


「灰汁の処理をしないといけませんからね。きちんと処理したら美味しいですよ。俺は筍の天ぷらが好きですね」


「食べたい」


「収穫出来たら、ぜひご馳走します。が、灰汁抜きの処理に米糠が有った方が良いんです。現状入手不可なんで、美味しく灰汁抜き出来るかどうかちょっと不安です。しばらくは唐辛子のみでやってみますが」


「米か、たしか海の向こうで食べたな。私はパンの方が好きだが」


 最後の一杯をちびちび呑みながら、ドーラさんが話に割り込む。いいなぁ、俺も早く米を食べたい。


「稲は持ってないから育てられない。竹を植えたら稲を取りに行ってくる」


 天ぷらに貪欲なシビルさんが話に乗ってくれた。ドーラさんもバスコさんも海を渡るのには賛成らしい。


「では、また後ほど竹を植える為に手を貸してください」


 よし、薬草の件は残念だったが、とりあえず竹は上手く行きそうだ。薬草に変わる何かを考えないといけないな。




「そんなの、エステルに頼めばいいじゃん」


 その日の夜に再度家族会議を開き、シビルさんと話した内容を伝えると、姉さんが何でもないと言った風に発言した。


「え、でも学校が有るじゃない」


「この場所からなら1時間もかからず飛んで来れるから、そこから通えばいいよ。寮生活が寂しいってエステルもずっと言っているから、多分大丈夫」


「う~ん、分かった。じゃあ明日またシビルさんに確認するから、姉さんもエステルさんに聞いといてよ」




「エステル様なら大丈夫」


 シビルさんに相談するとすんなり承諾されたが、さま?

 どういう関係なのか聞いたが知り合いと言われただけだった。あんまりしつこくして機嫌を損ねられても嫌だから、それ以上聞かなかった。今度エステルさんに確認してみるか。

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