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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第3章 俺は魔力試験に挑む
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閑話 アマちゃんの返答

 夏が終わりかけている頃、私はマキナと共にマギーの世界を訪問していました。マギーに呼ばれて来ましたが、何やら見せたい物があるとか。なんだと聞いても見れば分かるとはぐらかされて。良い物じゃなかったら只じゃおきませんよ。


「よく来たな。早速だが見てくれよこの枝豆の量。桃馬が枝豆を広めて早2年。もうこんなにお供えされるようになったんだぞ」


 マギーの手元には籠いっぱいの枝豆が。桃馬さん、転生してゲオルグさんとなった彼が広めた物ですが、え~っと、それだけで私達を呼んだんでしょうか。地球ならもっと供えられるんですけど。


「そんな顔するなよ。分かってるよアマちゃんの所とは比べ物にならないってのは。でもな、この世界では久しぶりに新しい食文化が広まり始めているんだ。少しくらい自慢させてくれよ」


 そもそも地球の文化が広まっただけで、なぜ自慢されないといけないんでしょうか。私の世界の文化が持ち込まれたんですから、私が自慢したいくらいなんですけど。


「それでな、最近は揚げ物を流行らせようとしてくれてるみたいで、これがまた美味そうなんだ。いや~、アマちゃんから桃馬の事を頼まれた時はどうなる事かと思ったけど、受け入れて良かったよ。ありがとうな」


 どういたしまして。私も忙しい身なので、もう帰っていいですか?


「そうだ、そろそろ誕生祭で桃馬がお供えを持って来てくれる時期だから、揚げ物を供えてもらうよう頼んでおこう。今通信するからちょっと待っててくれ。終わったらこの枝豆を皆で食べよう」


 思い立ったが吉日ってこういう事を言うんでしょうか、客を放っておくなんて困った神です。

 枝豆ねぇ。どうやって食べる気でしょうか。茹でるだけならもう食べ飽きてるので遠慮したいですねぇ。


 ちょっとマキナ、私はずんだ餅を作るために餅と調理道具を取りに行ってきますね。大丈夫です、帰ってきますから。逃げませんって。


 どうしてばれたんでしょうか。勘の鋭い子は嫌いだよ。一度言ってみたかったセリフです。




 とりあえずこれだけあればいいでしょう。味変用に黄粉と醤油と海苔と、ああ、この前貰った日本酒がありましたね。日本産のビールとお中元で西洋の神から貰ったベルギー産のビールも一緒に持って行きましょう。こうなったらあっちの世界で宴会しましょう。酒の肴になる物は何か有りましたかねぇ。




「ふむ。なるほどな。桃馬が居た世界の言葉で言うとメンデルの法則だな」


 両手いっぱいに袋をぶら下げて戻って来たら、マギーはまだ桃馬さんと通信していました。何の話をしてるんでしょうか。


「血筋で魔法を使う才能が変わるのかって話なんだよ」


 ありがとうマキナ。なるほど、そういう状況ですか。桃馬さんも良い所に目を付けましたね。まあその五行思想も地球から齎された物ですがね。


「ヒントはここまで。じゃあ誕生祭のお供物を楽しみにしているよ」


「ちょっと待ってほしいんだよ」


「え、何?」


「その唐揚げと魚のフライ、私も食べたいんだよ」


 ああ、良いですね。私も自分の世界との食べ比べをやってみたいです。


「あ〜、桃馬、悪い。お供物を4人分に増やしてくれないか?」


 4人?

 ああ、シュバルトの事を忘れてましたね。さすがに私達だけ食べてたら怒られてしまいます。


「アマちゃんとマキナだ。マキナは会った事ないと思うけど、他の世界の神様だ」


 よろしくって言ってもマキナの声は聞こえないですよ。


「桃馬が地球の家族は元気か、だってさ」


 マギーが私の方を向き質問する。元気か答えればいいんですか?


「うん、そう」


 元気元気超元気。お父さんもお母さんも妹さんもみんな元気です。何の心配もいらないくらい元気ですよ。


「はいはい、わかったわかった。元気だってさ」


 元気かと聞かれたので元気と答えただけですが、何か不味かったですか?

 ちゃんと見ず適当な事をと思ってるならそれは間違いですよ。


「桃馬を怒らせないようにした結果こうなった。恐らく不愉快な気持ちになるだろうが、聞く?」


 あれで不愉快になります?

 そうですよね、マキナの言う通りだと思います。マギーがちゃんと通訳しないのが良くないですよね。


「アマちゃんの分は激辛にするってさ」


 激辛、良いですね。マキナの分と交換して色々な味を楽しめると良いですね。どうぞこのまま桃馬さんにお伝えください。


「えー。もう。みんなで分け合うから色々あった方がいいってさ。ポジティブなバカで悪いな」


 誰がポジティブなバカですか、伝書鳩をするならちゃんとやってください。


「なんだよ、本当の事だろ」


 ああ、そうですかそうですか。そこまで言うなら態々持って来た日本酒もビールもつまみも、ぜーんぶあげません。マキナと2人で消費するのでそこで1人枝豆を齧ってたらいいんですよ。


「な、ずるいぞ。それとこれとは話が別だろ」


 何が別なんですか。今日はもう許しません。掛かって来なさい。




 暫く舌戦を繰り広げましたが、悪口合戦で私に勝とうなど片腹痛いんですよ。暴力では負けますが、暴言では負けませんよ。


「もうマギーに戦う体力は残って無いよ。もう許してあげて欲しいんだよ」


 ふぅぅ。マキナがそう言うなら許しましょう。

 じゃあマギーが立ち直るまでの間に、枝豆を茹でましょうか。一部は潰してずんだにするんで、マキナもちょっと手伝ってください。




 桃馬さんの家族は元気ですよ。私があの家族を観察しない訳ないじゃないですか。特に妹さんは私の計画には欠かせない人なんですから。

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