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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第1章 俺は異世界で発育する
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第9話 俺は王様の挨拶を聞く

 お祭りの日がやって来た。


 毎年子供の数によって開催日が変わるらしい。今年は5日間。


 1日目は王族の部。王様が国民に向かって挨拶をして、王子様やその近しい親類が王様に祝われる。子供が1人でも1日目が王族だけなのは変わらないらしい。0人だったら?王様や宰相も祭りに出掛けるんじゃないかな。


 2日目は貴族の部。人数が多ければ2日に渡る年もあるみたい。俺はこの日に母さんと一緒にお城へ向かう。王様に挨拶する順番は決められている見たい。俺は夕方近くで最後の方。親の爵位が高い順って言ってた。


 3日目と4日目は一般の部。ここも子供も数によって変動する。多い年は3日間使うらしい。マリーはここ。3日目のお昼過ぎ。


 5日目はみんなでお祭りを楽しむ時間。この日の主役は親達。大人達用のお酒や辛い料理などが販売される。最後に王様が挨拶をして終わるらしい。子供達の更なる成長と、新たに産まれてくる子供達の発育を願って。


 俺たちは初日にみんなでお祭りに行って、2日と3日は別行動、4日は休んで、5日はまたみんなで、という計画になった。


 1人領地で頑張っている父さんには申し訳ないけど、とても楽しみだ。




 お城は街の中心から離れて北側に位置している。お城には東西南北に1箇所ずつ城門があるが、正門は南門。南門から真っ直ぐ南に石畳の大通りが敷かれている。街の中央部では、街を東西に横切る川と、川に並行しているもう1つの大通り、その2つと交差する。

 川からの水は、水路を通ってお城の周囲を一周し、水堀を形成している。小型の船ならお城にそのまま横付け出来そうだ。

 水堀の外側は大通りから左右に分かれた道が伸びて、お城の北側で合流、街の北門へと続いている。


 お城の北側や西側は軍や国の施設が多いらしい。南側で多くの国民が生活している。お城の東側は広場になっていて、色々なイベントが出来るようになっている。


 今、俺は家族と共にその広場にいる。お祭りの初日に行われる王様の挨拶を聞きに来たんだ。みんな余り興味がなさそうだったけど、俺は聞きたかったんだ。


 そろそろ開始の時間。座席等は無く、貴族も庶民もみんな立ち見。みんな近くで販売されている屋台の食べ物を手に持ち、それを食べたり雑談したりしながら開始を待っている。

 俺たちも買って来た。串に刺さってるお肉が食べ歩きしやすいよね。姉さんは両手に2本ずつ持って御満悦だ。あんまり振り回すと、近くにいる人にタレが飛ぶよ。そうそうアンナさん、姉さんをしっかり見ててね。

 俺には母さん、マリーにはマルテが、そして姉さんには使用人のアンナさんがついてお祭りを見て回ることになっている。そしてもう1人、マルテの旦那のジークさんが護衛として付いている。沢山の人が出歩くお祭り、危険はゼロじゃないから注意するのは大事だよね。


 広場から見えるお城の大きなテラスに人が集まって来た。広場とお城は水堀と道で隔てられているが、視界を遮るような高い建造物が無いからよく見える。テロとか簡単に出来そうだけど。


「国民の皆、今日は集まってくれてありがとう。今年も天気に恵まれ、良い日となった」


 着飾った人がテラスの先端に出て来て話し始めた。声がここまで届くなんて不思議だ。あの方が王様、魔法を使って声を届けているのよと母さんが教えてくれた。綺麗な金髪で、髭は生やしてなく整った顔立ち。とても若く見える王様だ。先代が早くに亡くなったんだろうか。


「今年も多くの子供が元気に2歳を迎えてくれた。子供達よ、おめでとう。そして残念ながら、若くして身罷ってしまった子供達、助けられなくて申し訳ない。祭りの前に亡くなった子供達へ黙祷を捧げよう。黙祷」


 そうか、生きられなかった子達もいるのか。俺は神に力を貰っているがそうじゃない子には生きるのは大変だろう。お金が無くて治療を受けられなかったら、マリーもここには居なかったかもしれない。しっかり黙祷を捧げよう。


「皆、ありがとう。これで子供達もきっと天国へ行けるだろう。ではこれより、誕生祭を開始する。今年も楽しんでくれ」


 王様の合図と共に、広場にいる民衆から歓声が湧き上がる。お祭りの高揚感で俺も声を出してしまう。姉さんもマリーも一緒に声を出す。長く生きられなかった子供達に変わって声を出す。その子達の分まで、しっかり生きよう。




 王様の挨拶が終わり、小さな子供達が出て来た。王様に紹介される。王子1人と親類の子が2人。緊張しているのか顔が引きつっている。2歳でこんな人前に立つなんて考えられない。

 3人の子供が交代に自分の名前を言って挨拶をした。湧き上がる拍手に俺も加わる。同い年の王族、いつか近くで話したりする日が来るのかな。




 短かったけど、これで挨拶は終わり。広場から少しずつ人が離れて行く。俺たちもその流れに乗って移動する。目的は大通りの屋台達。広場に来る時に少しだけ覗いたけど、まだまだお店はある。どんな美味しい物があるのか楽しみだ。普段家で食べられない物を中心に食べ歩こう

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