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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第3章 俺は魔力試験に挑む
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第65話 俺はクロエさんに注目する

 朝起きてラジオ体操をする。

 そろそろ朝が寒くなり、起きるのが辛くなってきたが、我が家で寝起きする物は必ず参加する。

 我が家に居なくとも、ジークさん達やエルヴィンさん達、驚くことに料理長まで体操を行うようになった。

 もはや庭では十分に手を広げられる程のスペースを確保する事が難しくなり、一部は家の中で体操する。冬になったら俺もそっちに行きたい。


 ラジオ体操が終わったら各々行動が分かれる。

 姉さん、エステルさん、アンナさんはエステルさんのペースに合わせてランニングをする。時間は変わらず30分だが、飽きずに毎日走っている。クロエさんが居たらこのチームに所属する。


 俺とマリー、ルトガーさんは隔日で走る。走る速度は変えずに距離を伸ばした。40分から50分で帰って来るコースだ。


 エルヴィンさんとレベッカさんはジークさんに連れられ、結構な速度で走っているようだ。魔法では負けても体力では負けられないと2人は頑張っている。ラインハルトさん達も誘ったらしいが参加していない。隔日のランニングだが、いずれ魔力体力両方で他の3人と差が付くだろう。


 ランニングをしない日はジークさんの剣術稽古。朝食前に1時間程。

 俺とレベッカさんが主な生徒だが、マリーとエルヴィンさんも稽古に付き合ってくれている。

 走り終わったクロエさんも剣を振る。クロエさんがこっちに興味を持つとは思わなかったが、魔法を使えない代わりに何か身に付けたいと言っていた。

 走り終わったエステルさんが花壇の世話を行うのも日課だ。走り終わって立ち上がれないエステルさんの姿はもう見られない。


 走らない父さんと母さんは自分の仕事、マルテやその他の使用人は家の事をする。俺が剣を振る日はルトガーさんも仕事を行なっている。掃除洗濯、お風呂の準備に朝食の準備。朝から大変だ。

 走り始めて心なしか朝食が豪華になっている気がする。運動したらお腹が空くからね、ありがたい。


 朝食を食べたら姉さんの指導による魔法訓練が始まる。

 基本的に庭、偶にソゾンさんの工房。

 師匠姉さん、助手マリー、生徒はエルヴィンさんとレベッカさん、エステルさん。冷やかしに俺。稀にクロエさん。

 姉さんがレベッカさんとエステルさんに水魔法を教え、マリーがエルヴィンさんに金属魔法を教えている。エルヴィンさんは速く水魔法を覚えたいようで、あまり金属魔法に集中出来ていないようだ。

 クロエさんは姉さんに無理矢理練習をさせられている。獣人族は魔法を使えないからとクロエさんは否定するが、俺は使えるようになるんじゃないかなと思っている。火魔法から教えるのは違うと思うけど。


 クロエさんが居る時は鍛冶屋に行くことが多い。クロエさんは魔法よりも鍛冶に興味があるようで、ソゾンさんが魔法を使わずに行う鍛冶を食い入るように見ていた。

 冒険者ギルドに行くと武器や防具で身を固めている屈強な獣人族に出会う事が多い。剣術や鍛冶に興味を持つクロエさんも何れああなるんだろうか。筋肉質なクロエさんは、ちょっと嫌だな。


 皆の魔法修行を横目で見ながら、俺は魔導具に使う言語を考えている。まずは魔力検査に使う魔導具の改良を目指す。煮詰まって来たら既存の魔導具の改良。出来れば来年の競艇開催を見越して、船外機の改良をしたいと思っている。


 クロエさんが王都に来ている時は、夕方になると皆で市場調査に繰り出す。

 こういう時は商人の息子であるエルヴィンさんが活躍する。実家の商会が取り扱ってるのは革製品とか織物だったと思うけど、色々勉強しているようで王都で売られている物に詳しかった。

 農家の娘だけあってレベッカさんも農作物の事はよく知っている。クロエさんとも直ぐに仲良くなったようだ。


 俺やソゾンさん以外にも新しい魔導具を作っている職人が居る。

 革製品や織物も加工の仕方や色合いを変え、新作を発表している。

 ただし、農作物に新しい風が吹くことは稀だ。季節ごとに店頭に並ぶ物は変わるが、それらは去年も一昨年も並んでいた物。見た目も味も大きく変わらない。偶然レベルで品種改良は起こっているのかもしれないが、それを追求しようとする人が居ない。枝豆だって元々大豆は作られていたんだ。収穫時期を少し早めたに過ぎない。

 国境の町に行くと珍しい食物があるんだろうか。いずれ別の大陸に渡って、米や味噌、醤油を手に入れたいものだ。




 そんな感じで日々を過ごし、9月、10月が過ぎた。クロエさんは毎月王都に連れてこられ、5日ほど滞在して帰っていく。何回空を飛んでも慣れないと悲しそうな顔で言っていたのが印象に残っている。


 11月になるとエルヴィンさん達は護衛依頼を受けて王都を旅立った。他の冒険者達との合同依頼だったためマルテとジークさんはついて行かなかった。

 そのころになるとエルヴィンさんも金属魔法を修得し、水魔法もある程度使えるようになった。レベッカさんも順調に上達していて、他の冒険者の足手まといにはならないだろうと判断された。


 彼らが帰って来たのは年末が近づいた頃。他の3人と大きく実力の差が出たことに、エルヴィンさんとレベッカさんは喜んでいた。それだけ2人が頑張ったと言うことだ。


 元旦、朝日を浴びながらジークさんと一緒にランニングをする人数は、5人に増えていた。

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