表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第3章 俺は魔力試験に挑む
160/907

第56話 俺は唐揚げを食べ比べる

 真っ赤な唐揚げを食べ終え、残っている唐揚げを見渡す。残り3種類、1種類につき1つずつだ。

 今度はおどろおどろしい奴に挑戦する。これが一番食べたくない。


「こっちの真っ黒な唐揚げは、揚げすぎたのか、それとも炭でも練り込んでいるのかな?」


 誰にとはなく問いかける。確か前世で、炭を食べるって話を聞いた事がある。


「確かに黒くて揚げ時間を判断するのが難しかったですが、焦げては無いです。こちらはエステルさんの提案ですね」


 アンナさんが答えてくれた。

 エステルさんか、まだ出会ってそんなに時間は経ってないけど、姉さんよりは安心出来る。先程と同じ様に、フォークで口に運ぶ。


 これは、胡椒だな。匂いを嗅いだだけで分かる。他にも何か独特な香りがするんだけど、うん、分からん。分からんから食べる。


 今度は一口目から胡椒の辛さが襲って来る。でも、食べられない辛さじゃ無い。そして胡椒に隠れて何か居るんだけど、全く分からないな。


「胡椒が好きな人は美味しいと思うだろうね。こっちも、俺は普通かな。胡椒の他に何か入っていると思うんだけど分からなかった。エステルさん考案って言うから、山菜か何かかな」


 普通と言われてエステルさんはちょっと不満そうだ。ごめんね、俺にはちょっと胡椒の分量が多かったかな。


「まあ山菜と言えば山菜かもしれませんが、それの衣には胡椒と共にキノコを練り込んでいます。胡椒が勝ち過ぎましたかね」


 アンナさんの言う通り、間違いなく胡椒が強い。味も匂いも持ってっちゃうね。


 キノコで黒い物と言われるとトリュフかキクラゲが思いつくけど、トリュフは食べた事が無いから判断がつかない。キクラゲは香りを楽しむというよりコリコリとした食感だよね。食感には変化がなかったからキクラゲじゃないと思うし、俺の知らないキノコが入っているのかな。

 今回も姉さんは美味しそうに食べている。お茶を一口飲んで胡椒の味を流し込み、次の奴に取り掛かる。


「流石に揚げて黄色を維持するのは難しかったみたいだね。所々黄色が残ってるけど、黄色のパプリカを大きめに切って混ぜ込んでいると見た」


「正解です。そちらはマリーの案です。安心してお召し上がりください」


 ほっ。マリーなら安全だね。いただきます。ブスッとフォークで貫き、躊躇無く口に含む。


「すっっぱあぁぁい」


 思わず声を張り上げてしまった。何これ、凄く酸っぱいんだけど。マリーが作ったと聞いて完全に油断した。これはダメな奴だ。


「スダチが出回り始めたので、それの果汁を搾って衣に入れました。果肉もちょっと入ってますよ。ゲオルグ様が柑橘系の果汁を搾ると良いって仰っていたとマリーが言っていましたが?」


 マリーがニヤニヤしている。明らかに違うと分かっていて提案したな。

 最近マリーが姉さんに似て来ていて困る。ていうかアンナさんも絶対違うと思ってたはずだ。


「揚げた後に果汁をちょっと搾ってかけるんだよ。そう、そんな風にね」


 隠して用意していたスダチをマリーが黄色の唐揚げに搾っている。皆にもスダチを渡して搾るよう促す。そうそう、ちょっとだけね。

 スダチを搾った唐揚げをナイフで半分にし、それをマリーが渡して来た。え、食べていいの?


 うん、美味しい。パプリカの甘味とスダチの酸味がちょうどいい。元々唐揚げにレモンを搾らない派だけど、あの強烈な酸味を味わった後だと美味しく感じるな。まさか、この流れを予想してか?


「ゲオルグの黄色もちょっとちょうだい」


 一口齧って放置していた物を味見したいと姉さんが訴える。齧ってない部分をナイフで切り分けて姉さんに与える。え、エステルさんもか。皆好奇心旺盛だな。


 切り分けた分を口に入れた2人は想定以上の酸っぱさに笑ってしまっている。驚くと笑っちゃう事ってあるよね。

 俺も切り分けた残りを食べる。くぅう、酸っぱい。


「お口直しに最後の1つをどうぞ」


 アンナさんに勧められた最後の1つを見る。これは明らかに美味しそうだから最後に残した。


「これは枝豆ですね。アンナさんが考えたんですか?」


 枝豆を潰さずにそのまま鶏肉と一緒に揚げている。潰さないと食感も残るし、見栄えも良い。


「茶色の地面から新芽が芽吹いているように見えて可愛いですね。いただきます」


 枝豆と鶏肉が一緒に口に入るよう齧り付く。うん、美味しい。枝豆の甘みもちゃんと感じられるよう上手く塩味を調節している。何個でも食べられそうだ。


「ふふふ、それを作ったのは私じゃありませんよ」


 アンナさんが否定する。じゃあ誰が。


「ゲオルグ、ごめんね」「ごめんなさい」「すみませんでした」「申し訳ありません」


 4人がそれぞれの言い方で頭を下げる。何で?


「ええっと、アンナさんまで頭を下げてどうしたんですか。黄色の唐揚げの件で、マリーからは謝罪を要求しますが」


 どうやらその件じゃないらしい。


「今朝、無理矢理ゲオルグを起こしてランニングに参加させたから怒ってるでしょ。明日からは無理にゲオルグを誘わないから許してね」


 ああ、そういえばそれは今朝の話か。マギー様との絡みが濃厚過ぎて随分前の話に思っていた。


「謝罪する為に皆で考えて、エマに唐揚げを作ってもらおうって話になったの。最後の唐揚げはエマの新作だよ。美味しいでしょ?」


 それならそうと早く言って欲しかった。美味しかったからペロリと食べちゃったよ。エマさんの手料理ならもっと味わって食べたのに。

 皆の唐揚げを俺にください。あ、皆もう食べ切っちゃったのね。それは残念。


 残っているサラダとスープでパンを食べていると、料理長が唐揚げのおかわりを持って来た。

 普通の唐揚げを見てあからさまにがっかりしてしまった。ごめんなさい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ