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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第3章 俺は魔力試験に挑む
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第34話 俺は愛と友情の傀儡を知る

 依頼を出した翌日は朝から忙しかった。


 朝一番でマルテがラインハルトさん達を連れて来た。案の定大角山羊の依頼を受けたらしい。

 期限内に依頼を達成出来るならいいんじゃない?


「大角山羊はこの子達だけでは倒せません。群れから逸れた子供を狙うのが精一杯でしょう。それでは依頼の魔石は手に入りません。私達の力をあてにしているのが目に見えています」


 彼らが落ち込んで見えるのは、マルテに怒られたからだな。

 昨日ギルドで止めなかった俺も悪かったかなと思うから、少し手を差し伸べよう。


「マルテに確認せず勝手に依頼を受けたのは良くないけど、次からはマルテに確認して依頼を受けるって事にして今回は手伝ってあげてよ。ね、皆もそれでいいよね?」


 きっと熱帯土竜の依頼が成功して嬉しかったんだよ。調子に乗っちゃったんだよね。


「それではダメだ。いい依頼は直ぐ他の冒険者に取られてしまうから、見つけた時に確保しなければ。マルテさんにいちいち確認を取っている暇はないんだ」


 うーん。ラインハルトさんが俺の考えを酌んでくれない。今はマルテの怒りを抑える事が先決じゃないのか。


「それに俺は、例えマルテさんの手を借りなくても依頼を熟せると判断したから受けたんだ。前回アリー殿に負けた俺とは違うという所を見せてやる」


 ラインハルトさん以外の人達に目を向けると、半分が首を横に振っている。

 ヴィルマさんは応援し、ヴェルナーさんは無表情で何を考えているのやら。

 チーム内が全く纏まっていない。ラインハルトさんをリーダーにしてやって行くと決めたのなら、しっかり支えて欲しい。


「ラインハルトさんの意気込みは分かるんですが無謀な挑戦は愛する人を悲しませるだけですよ」


「なに、それは良くない。俺はヴィルマを悲しませる事は出来ない。しかしそうなるとエルとの約束が」


 ラインハルトさんの話している途中で、エルヴィンさんが慌ててラインハルトさんを制した。その行動は今更だと思う。

 それにしてもラインハルトさんはちょろ過ぎる。ヴィルマさんを上手く使うと操縦しやすそうだ。多分ヴェルナーさんも同じような事を考えているだろうな。


「エルヴィンさん。大角山羊の革は高く売れるんでしょうね」


「はい、すみません。僕がこの依頼を受けようと言い出しました。マルテさんとジークさんの力をあてにしていました」


 ヴィルマさんだけじゃなく、エルヴィンさんもラインハルトさんを動かす力があるみたい。友情パワーってやつかな。

 愛情と友情を大切にしようとしているラインハルトさんは、外から見ると扱い辛い変人だが内部からは扱いやすそうだ。

 だからこそ、エルヴィンさんにはしっかりしてもらわないと。


「エルヴィンさん、次からは冒険者ギルドに行くときはマルテを連れて行って下さい。依頼を受けるその場でマルテに判断してもらい、なるべく自分達で対応できる依頼だけ受けてください。最大限譲歩してこの条件です。これが守れないならマルテは返してもらいます。俺だってマルテが居なくて寂しいんですから」


「はい、以後気をつけます」


「マルテ、今回だけ無条件に手伝ってあげて。次からは厳しく審査していいから」


 とか言ったが結局は自分の為だけど。俺の依頼が完了されないと困るし。偽名で依頼を出したから、俺が依頼主だとは気付いていないよね。


「分かりました。ではまた暫くお休みを頂きます」


 後はジークさんが休める日を狙って行動するらしい。皆が早く独り立ち出来るよう祈っているよ。毎回マルテとの間に入るのは疲れるので止めてください。


「失礼します。ゲオルグ様、冒険者ギルドから通信の結果が届きました」


 目を瞑り手を合わせて神様に祈っているとメイドさんが紙を持って現れた。はい、ありがとう。


 マチューさんからの返信にはこう記されていた。


 魔石を持つ魔植物に心当たりはあるが、国外に出る必要がある。

 その魔植物が存在する森にマチューさんも行きたいから、護衛をしてくれるなら情報を無料で提供する。

 そういう内容だった。でもマチューさんが国外に出るなんて東方伯が黙っていないだろう。それを無視して話を進めると後で大変なことになりそうだ。


「確かに東方伯へ話をしなければならないでしょう。東方伯が納得する護衛をつけられないと国外には出られないでしょうね」


 5人を帰して残っていたマルテに相談したら俺と同じ考えだった。

 護衛の当てはあるんだけど、今は不在なんだよな。何時頃帰って来るんだろうか。


「ただいま~」


 どうしようかと悩んでいる俺の耳に、気の抜けた声が届いた。思ったより早く帰って来たな。




「それ、私も行きたい」


 護衛依頼について母さんに話したら、姉さんも参加を表明した。


「折角魔石を取って来たのに、食洗機を作らなくていいの?」


「大丈夫大丈夫。森が私を呼んでいるから」


 なんだその理屈は。姉さんは食洗機を作る依頼を受けている訳じゃないから、作るのは何時でもいいってことかな。


「その依頼を受けるのはいいけど、私の護衛料は高いわよ」


 そう母さんが言い放つ。え、可愛い息子からお金を取るのか。

 フライヤーで稼いだお金は他の魔石の依頼料で大分無くなったんだよ。あとどれくらい残ってたかな。

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