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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第3章 俺は魔力試験に挑む
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第31話 俺は魔石の選別を託す

 五属性に関する俺の考えをソゾンさんに説明する。


「五属性を最初に知ったのは図書館でドワーフ族のメーチさんに話を聞いた時でした。それから姉さんの成長ぶりを横で見ていて、ある考えを持つようになったんです」


 あの偏屈メーチか、とソゾンさんが漏らしている。最近はいい師匠になったけど、ソゾンさんは人の事言えないと思う。


「それは、魔法を覚えるのには順番が大切だ、ということです。この順番通りにやるとドワーフ族が火魔法を覚えたり、エルフ族が水魔法を覚えることも出来るはずです。姉さんが草木魔法を使えるようになったのがいい例です」


「それはアリーが努力した結果じゃと、儂は思うが」


「努力は大事です。しかし異なった道順を進もうとすると魔法を覚えるのに時間が掛かる。そこを間違えずに進んだから、姉さんはあの年齢で多彩な魔法を操れるようになったんだと考えています」


「なるほど、ではどういう道順を辿ればええんじゃ?」


「まずは各種族によって得意な魔法がありますよね」


 木はエルフ族。

 火は人族。

 土はドワーフ族。

 金は飛ばして。

 水は魚人族。


 そしてこの並びの順番が魔法を覚えるのに有利な順番。水の後はまた木に戻ってグルグルと回っていく。

 そして火を覚えれば風、水を覚えれば氷の修得に役立つ。


 姉さんは人族だから火魔法が最初。

 次に土魔法を覚え、風も使えるようになった。

 その後水魔法を覚えようとしたが上手く行かず、ソゾンさんの所で鍛冶を習い金属魔法を学んだ。

 そして水、氷結、草木魔法を修得する。そのころから魔法の色や言霊を利用してきたが、それらは更に速度を上げるきっかけでしかなくて、それが無くても覚えられたと俺は思っている。


「なるほど。ではドワーフ族は土金水木火の順に覚えるべきということか。儂が火魔法を使うには先が長いのう」


「でもこの順番でやればかなり修得速度は上がるはずです。現にマリーは姉さんよりも早く魔法を修得しています」


「アリー様と同じ方法でやっているだけですけど」


 そうマリーが謙遜する。それでついて行けているのは立派だ。年内には氷結もマスターし、草木魔法に取り掛かれるんじゃないだろうか。


「鍛冶を経験しなければ金属魔法に触れる機会は少ない。それで水魔法の修得難度が上がり、使える者が少ないんじゃな」


「そうですね。それと草木魔法をエルフ以外が修得しようとしなかったのも問題だったと思います」


「金属魔法に対応する種族は居ないのか?」


「はい、俺の知っている種族は獣人族しか残っていないんですけど、金属って感じじゃないんですよね」


「そうか。まあそれは置いといて、この五属性を使ってどんな魔導具を作りたいんだ?」


「以前ソゾンさんに言ったように魔吸のような武器として使うつもりは無いんです。魔法の関係性を伝えられる魔導具を作れたらと思っています」


「わかった。ちょっと待ってろ」


 そういってソゾンさんは紙にサラサラとドワーフ言語を書き始めた。

 俺がソゾンさんに提出した文章と良く似ている。これが魔吸に使われている言語か。


 魔法を魔力に変換しながら吸収し、別の魔法として吐き出す。

 概ね俺が考えた通りの構造になっている。

 違うのは属性の関係性だけだな。うんうん、これなら上手く行きそうだ。


「これが魔吸に使われている文章じゃ。その表情が物語っているようにゲオルグが考えた内容とほぼ同じじゃな。ただし、魔吸に使われている魔石はかなり特殊な物じゃ。なかなか手に入らんぞ」


「大丈夫です。各属性1つずつ作る予定なので」


「それもそれで大変じゃな。個別に作るとしてもそれなりの魔石が必要になるじゃろう。どの魔石を選ぶか考えるからちょっと待っとれ」


 流石に安価な魔石では作れないか。今7月だから検査まで後8か月。出来れば魔石も自分で選びたいがそんな時間はない。なんだったら魔石が手に入らなかった時にどうするかも考えておかないとな。


 ソゾンさんは倉庫から大きな紙束を持って来てペラペラと捲り始める。ちらっと除くと魔物と魔石の特徴がびっしりと記されていた。


「さすがにドラゴン属の物はやりすぎか。それでも各属性にあった上位の魔石を選ばなければ。1つでは失敗した時に困るから、2、いや3つは確保したい。そうなるとそれなりに生息している魔物を選んで。わはは、楽しくなってきたのぅ」


 ソゾンさんが喜びの雄叫びを上げた。

 そういう組み合わせを考えるのって楽しいよね。俺も最近言語の本と睨めっこしながら文章を考える事に楽しさを感じている。前世で剣道ばかりやっていた時は勉強嫌いだったのに、わからないものだ。


 ソゾンさんの魔石選別はその日に終わらず、翌日のお楽しみとなった。

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