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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第3章 俺は魔力試験に挑む
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第24話 俺は前世の事を思い出す

 アンナさんの宣言通り、8日後に姉さん達は帰って来た。


「ヴルツェルで待っていたのに、あの人達来なかったよ?」


 姉さんも宣言通り、ヴルツェルまでついて来るか待っていたのか。魔法を教えて欲しいと言われてちょっと嬉しかったのかもしれない。


「なんか諦めたみたいだよ。5人のうち2人は俺の部下になってマルテに魔法を習ってるけど」


「いいなぁ。私も部下欲しい」


「部下って言ってもまだ何もしてないんだ。2人は勉強中だからね。それにいつかは2人に給料を払わなきゃいけないんだよ。色々考えてみたけど俺にはまだお金を稼ぐ手段は無いからどうしようかと思って」


「お、そんなゲオルグに朗報だよ。お爺様がフライヤーを沢山作ってほしいんだって。フライドポテトのお店を作るって言ってたよ」


「フライヤーを作るのは良いんだけど、お店に関しては父さんやニコルさんと相談しなきゃダメなんじゃない?」


「さあ、その辺はよく分からないけど。アンナは何か聞いてる?」


「私は何も。しかしフライドポテトのお店は去年の誕生祭辺りから考えていたんじゃないでしょうか。ニコル様や男爵、東方伯と話し合った結果この時期になったのかなと思います」


「そっか。じゃあとりあえず俺はフライヤーを作る準備をして、夜に父さんから話を聞こうかな」


 誕生祭の時はソゾンさんの力を借りたけど、今回は自分で作るぞ。一昨日ソゾンさんにようやく魔導具作りを再開する許可が出たからね。高ぶる気持ちを落ち着けて頑張ろう。




「そう、話し合いの結果今日の午前中に折り合いがついたんだ。とりあえずヴルツェルと東方伯の所へフライヤーを20台ずつ届ける事になっている。帰り道にソゾンさんの所によって依頼してきた」


 夜遅くに帰って来た父さんに話をすると、そう言われた。じゃあ俺は作らなくていいのかな。


「私がお爺様に頼まれた分は?」


 姉さんも自分が受けた仕事の事を気にかけている。


「え、アリーに頼むなんて聞いてないぞ。東方伯との兼ね合いがあるから、勝手なことをしないで欲しいんだけど。明日親父に聞いてみるから、アリーの件はちょっと待ってくれ」


 父さんがため息をつく。ヴルツェルの爺さんが東方伯を出し抜こうとしているのかな。

 折角仕事を受けて来たのに、と姉さんが顔を膨らませて不満を露わにしている。


「父さんは店を出さないの?」


「新しい事業に手を出すほど人材が居なくてな。ゲオルグはしっかりと人材を確保しておけよ。エルヴィンとレベッカは見どころがあると思うぞ」


 この前ルトガーさんについて色々勉強してた時に、父さんにも会ったのかな。そのうち父さんの部下としてお城に行かせるのも将来の役に立つかもしれない。


「ねえ、私も部下欲しい」


 あ、なんか前世の妹が父親に子犬を飼いたいって言いだした時を思い出した。俺によく懐いていた老猫を見て、自分も欲しくなったんだよな。

 最近神様に近況を聞いてなかったけど、みんな元気かな。あの子犬は妹に懐いただろうか。俺と同い年だった老猫はもう亡くなってるよね。


「アリーには必要ないだろ。アリーはずっと父さんが面倒をみるんだから」


 俺が前世の記憶を振り返っていると、父さんが娘を手放さない宣言をしていた。母さんが白い目で見ているのに早く気付いてほしい。


「父様にはルトガー。母様にはアンナ、ジーク、マルテ。私も頼りになる部下が欲しい」


 姉さんに頼りになると言われてルトガーさんとアンナさんが嬉しそうにしている。

 エルヴィンさん達がマルテに師事するようになって、マルテとマリーは夕食を自宅で食べるようになった。皆で夕食をと誘ったが固辞され、食卓は少し寂しくなってしまった。


「アンナはもうアリーの部下みたいなものだろ。それにクロエやエマちゃんがいるじゃないか」


「クロエとエマは私の大切な友達だから。部下じゃないよ」


 父さんの安易な発言を受け、姉さんが憤慨している。

 そりゃ怒るよ。俺もマリーを部下とは思ってないからね。


「学校に通うようになれば色々な人に出会うから、そこで新しい友達や部下を作ればいいのよ。私達も通った王都の学校は沢山の人がやって来るんだから」


 平謝りする父さんに代わって母さんが助言する。

 確かに学校に行かないと同年代と知り合うことが少ないよね。

 貴族からパーティーに誘われる事もないし、出会いが無い。っとそんな事無かった。姉さんは第一王子の誕生会に誘われてたな。断ってたけど。


 マリーは家族だし、良く考えたら俺の友達って居なくない?

 そういえば前世でも俺を見舞いに来てくれた友達は2人だけだったな。

 なんか今日は良く昔の事を思い出す日だ。


「父様と母様の友達の話って聞いたことないけど、何人くらいいるの?」


「俺は職場の友達と偶に飲みに行くぞ」


「私だって所属しているクラン内には友人も部下も沢山いるわ」


 2人とも友達は沢山いるぞと自慢しているが、どちらも職場の関係者。職場の関係者って友達としての線引きが難しそうだ。それ以外の友達って居ないのかな。


「父様も母様も昔からの友達って少ないんだね。私は学校で沢山友達作るよ」


 それは王都出身じゃないからだと両親が反論しているが、でも王都の学校に通ったんだから沢山の人に出会ったんだよねと姉さんに論破されている。


 あんまり友達少ないって言わないでほしい。俺の胸にも突き刺さるから。

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