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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第2章 俺は魔法について考察する
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第63話 俺は魚人族から依頼を受ける

 誕生祭以来色々魔導具を作ってみて思った。やっぱり鉱石の魔導具は難しい。


 誕生祭の時に活躍したフライヤー。実はあれはソゾンさんが大半を作った。

 鉱石に込められた火魔法を放出するだけでは、油の温度を一定に保つのは難しかった。

 ここまで色々考えたのに諦めるのは勿体無いからと、ソゾンさんが魔石に変更して作ってくれたんだ。


 悔しい。


 だいたいアイデアにしても前世の知識だ。俺が考え出した物じゃない。

 でもなあ。その知識が無いと何も思いつかないんだよね。


「ゲオルグ様、次はどんな魔導具にする?」


 そして俺は今、早く次のアイデアを出せと自室に缶詰にされてマリーに脅されている。


 脅されていると言うのは言い過ぎたかもしれないけど、マリーを待たせているのは本当だ。


 最初に作ったフライヤーはソゾンさんと一緒に作った。いろいろな手解きを受けたが、完成させたのはソゾンさん。

 次からは自分で作ってみろと言われたが、魔法が使えない俺は手間取った。魔導具の素材に木材を使おうが金属を使おうが加工が難しい。

 見かねたマリーが助けてくれて、それ以来二人三脚で作っている。


「ちょっと待ってね。そろそろしっかり考えないと、素材を買うお金が無くなるから」


 二人三脚で作ってきたが、大したものは出来ていない。

 マリーは良くやってくれている。俺が思った通りに魔法で素材を加工してくれる。

 マリーが得意な土魔法を使うから素材は石材や陶土。

 姉さんやソゾンさんにも負けない器用さを見せてくれる。


 大したものが出来ないのは俺のせいだ。


「わかった。じゃあ私は他の事やってるから、頑張ってね」


 そう言ってマリーは部屋から出て行った。

 マリーも自分の事をやってもらいたいから、俺に断りを入れず自由にしてくれて構わないんだけど。


 鉱石魔導具の一般的な物は、ただ魔法を込めるだけ。込めた魔法に指向性を持たせて放つ物。1回しか使えないが、壊れるまで魔法を込めなおせ、魔法を使えない者でも使用できる。


 だから武具に魔法を込めて緊急時に使うとか、そういう方向が合ってるんだよな。

 あとは姉さんがクロエさんにあげたように、偶に使う水撒き用とか。

 単発しか使えないから汎用性に欠け、用途が絞られてしまう。


 俺が欲しい物を作ったらいいのかな。いっぱいあるけど、出来ればみんなに広まってほしい。

 よし、どんな魔法があったらいいか聞き込みに行こう。




「特に使いたい魔法はありませんね」


「氷結魔法は覚えたいと思います」


「怪我したときに回復魔法が使えると便利ですよね」


「子供が遊びに行くときに魔導具の水筒を持たせています」


「お菓子の出る魔導具が欲しい」


 姉さん、邪魔しないでくれる?


 家中のメイドさん達に話を聞くと、こんな感じ。

 使えない魔法が多い子供用ってのは良い考えだと思う。

 子供も大人も回復魔法が使えたら便利だよね。でもさすがにニコルさんは協力してくれないと思う。他に回復魔法を使える人っているのかな。


「ねえねえ、ゲオルグ。魔導具の事なんだけど」


 なんだい姉さん。お菓子が出る魔導具なんて無理でしょ。


「船着場の親方が孫に船を作ったんだけど、魔導具で動かしたいんだって」


 ほう。そんな所にも孫に甘い爺さんがいたか。


「姉さんが作ってあげたらいいじゃん」


「ゲオルグが馬車の中で色々喋ってたでしょ。それを親方に教えたら面白がってて、1つ欲しいんだって。だから私が作るよりゲオルグが考えた方がいいんだよ」


 姉さんも聞いてたんだから分かるじゃん。俺の方が良いってことはないでしょ。


「ソゾンさんに頼んで魔石の魔導具を作ってもらった方が後に便利じゃない?」


「水魔法を使う練習もさせたいから鉱石の魔導具が良いんだって」


 ほんとに?

 なんか怪しい。


「姉さん、無理矢理魔導具の依頼を取って来たんじゃないよね?」


「そ、そんなことはないよ。船に乗せる魔導具が欲しいのは本当だよ」


 嘘が下手すぎる。

 俺が作った方がいいってところが大嘘だな。


「船ってどんな船だった?」


「なにもない船だよ。浮くだけ」


「帆も舵も無いのか」


「そうだね、3人くらいが乗れる小さな船だよ」


 手漕ぎボートくらいの感じか。


「艪で漕ぐのはダメなの?」


「魚人族は艪で漕ぐくらいなら泳いで引っ張るだろうね」


 なんだその拘り。


「孫って姉さんくらいの歳?」


「ううん、ゲオルグより小さいくらいだよ」


 爺馬鹿め。孫に操縦させるつもりなら安全面はかなり気をつけないとな。


「じゃあマリーを誘って工房に行って来るね」


「もう作るの?」


「うん。出来るかどうかはわからないけど」


「私も行く」




 イメージは小型ボートの船外機だな。

 プロペラじゃなくて、水魔法で水を噴出して推進力を得る方法だ。でもあまり波を立てると他の船に迷惑だから注意しないと。

 舵は船外機の向きを左右に変えるだけで上手くいくはず。

 素材は陶器かな。軽い木が良いけど腐るよね。

 子供が使うから安全装置も付けないとな。速度が出過ぎないように、勝手に動かないように。


 そうだ。鉱石には別の魔法を込めなおすことが出来るんだから、大人用と子供用の魔法を姉さんに考えてもらおう。子供だけの時は低速、大人が同乗したら高速で走るように。

 親方が自慢げに船を走らせる姿が目に浮かんで来るね。

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