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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第1章 俺は異世界で発育する
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閑話 アマちゃんの苛立ち

「ああああ、また負けたああ」


 くっそ、何で負けるんですか。私の世界のゲームですよ。いつの間に練習したんでしょう。

 メカ世界の神だから、こういうゲームが得意なんですか?


「アマちゃんは突っ込み過ぎ。そんなんじゃ何度やっても私には勝てないんだよ」


 アマちゃん呼びが広まってるし。私も結構強い方ですよ、コンピュータには負けませんからね。


「マキナが画面の隅っこでしゃがんだまま動かないから、突っ込むしかないじゃないですか。ズルいですよ、私の持ちキャラは飛び道具無いんですからね」


「変な拘りは捨てて、キャラ変えたらいいんだよ。私は負けるまでこれでいくけど」


 ぐぬぬ。


「もう一回。もう一回勝負です。そう簡単に日本の心を捨てられるものですか」


 マキナは同じキャラを選びましたね。私も同じキャラを、と見せかけて、素早い女の子に変更です。飛び道具は無いですが、スピードを活かして撹乱してやります。


「あ、逃げた」


 勝負は非情です。騙し合いです。たまには嘘も必要ですよ。

 私だって勝ちたいんです。


「さあ、勝負です」




「ああああ、また負けたああ」


 ちくしょう、嘘までついて仕掛けたのに負けました。


「ふふふ、付け焼き刃の作戦では歯が立たないんだよ」


 ううう、チートのくせにいい。もう怒りましたよ。コンセントをぶち抜いてやります。


「ゲームで負けたくらいでキレんなよ」


「いったああい」


 だ、誰ですか、私の頭を叩いたのは。


「マギー久しぶり」


「おう、マキナ元気か?あんまりアマちゃんと遊んでると、悪影響を受けるぞ」


「ん、元気」


「ちょっと失礼じゃないですかマギー」


「少なくとも良い影響は無いだろ」


 何を持ってそんなことを言ってるんですかね、この神は。


「マギーは何しに来たんですか?用がないなら帰って下さい」


 頭を叩かれるし、失礼なことは言われるし、さっさと帰ってもらいましょう。


「桃馬の経過報告にね。そろそろ一年経つけど元気だよ。魔法も問題なく維持してる。妹ちゃんの方はどうだ?」


「こっちも特に変わりないですよ。はい、用は済みましたね、帰って下さい。私はこれから別のゲームでマキナに決戦を挑むんで、邪魔をしないで下さい」


「まあそういうなよ。はい、これは今まで借りてたDVDね。シリーズ全部面白かった。また新しいの貸してくれよ」


「もう貸せるものはないですねー」


 本当はまだまだいっぱいありますけど、失礼な神には貸したくないです。


「何でだよ、この前来た時はいっぱいあっただろ」


「な、い、で、す」


「アマちゃん、貸してあげようよ。友達は大事なんだよ」


「そうだぞ、友達じゃないか」


 むぅ、マキナがそういうなら。


「じゃあこのゲームで私に勝ったら、考えてあげます」


「お、いいぞ。私も格ゲーは好きだからな」


 ふふふ、今度は私が待ち戦法でぶっ潰してやります。


「アマちゃんズルい」


「いいよいいよ、じゃあ私はアマちゃんが使ってたキャラで行くか」


 舐められたものですね。私がそのキャラで何連敗したと思ってるんですか。


「では、スタート」


 しゃがんで待機。下キックを見せて、近寄って来ないなら飛び道具。飛んで来たら上必殺。何度も喰らってきましたからね、身体が覚えてますよ。ふっ、この勝負もらったああ。


 え、どんどん近づいてくる。飛び道具で対応を、くっ、上手くジャンプで避ける。斜めに飛んで来たら迎撃してやるのに。だが大丈夫だ、もうちょっとでキックの範囲内。焦らないで、私。


「バカめ」


 何ですかその余裕は。この戦法は完璧な筈です。


 は?そこから下キックが届くんですか?ちょ、体勢を整えないと。わああ、近寄ってくるなああ。


「1本目は私の勝ちだね」


 そのまま大した抵抗も出来ず負けてしまいました。でもまだ1本目です。このゲームは2本先取ですからね、逆転可能です。

 さっきは油断しましたがもう大丈夫です。かかって来なさい。




「ああああ、また負けたああ」


 何回叫べばいいんでしょうか。もう疲れましたよ。


「よっしゃ私の勝ち。約束通りDVD貸してくれ」


 はあ、わかりましたよ。どれにしようかな。ああ、これにしましょ。


「これは魔法少女じゃ無いですけど、魔法物ですからいいでしょ。私はこれのオープニング曲が大好きなんですよ。マギーもきっと気に入ります」


「お、いいね、ありがとうアマちゃん。じゃあこれで帰るよ。またなマキナ」


「またね」


 はぁ、やっと帰りましたね。あれはシリーズ物じゃ無いからすぐ終わりますね。もう次の奴も選んでおきましょう。


「そんなに良いなら、私にも貸して欲しいんだよ」


「いいですよ。マギーから返って来たら連絡しますね」


 折角なので布教しましょう。


「それよりもマキナ、もう一度対戦しましょう」


「別のゲームするんじゃなかったの?」


 ふふふ。必勝法を見せてもらいましたからね。やるなら今しかないです。


「もう一戦、最後の勝負を挑みますよ」


「わかった。じゃあ私は同じキャラでいくんだよ」


 では私は日本のキャラを。これで勝つことが、私のゆずれない願いですからね。

 女の子キャラに浮気?まあたまには気分転換も必要です。


 さあ、いざ尋常に、しょうううぶ。

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