君臨する生徒会
そんな学園を実質的に掌握しているのは生徒会である。そしてその下部組織の中でも一番権力を持っているのが風紀委員会だ。云わば、風紀委員会は生徒会の親衛隊とも言える。
風紀委員になるには校則の上ではCランク以上が必要だ。だが実際にはBランクが大半を占めている。Cランクで風紀委員を名乗っているやつは下っ端だ。さっきのやつも確かCランクだったな。点数稼ぎをしていたんだろうがさすがに同ランクに対しては強く言えなかったのだろう。そこら辺は村社会であるクラス内での処世術か。やつらの得物はD以下の生徒だ。特にDランクは狙われる。未来のライバルになりそうなやつは潰しておくにこした事はないからだ。
そして生徒会である。校則では半年後ごとに執行委員の改選がある。所謂選挙だ。そしてこの学園の生徒であれば5人の推薦者を集められれば誰でも立候補する事が出来る。例えFランクでもだ。しかし、現在までAランク以外の生徒が選挙で勝った事はない。下位ランクからの立候補がなかった訳ではない。毎回、誰かしらか立候補はするのだ。しかし、当選する事はなかった。
生徒の大多数を占める下位ランクが結集すれば当選すると思うだろう。だが、それは誤りだ。この学園の選挙はポイント制なのだ。つまりランクによって1票の重みが違うのである。Fランクは1票1ポイント。Eランクは2ポイント。Dランクは4ポイントだ。
そう、ランクが上がるにつれ1票のポイントが倍になっている。Aランクなど1票が32ポイントにもなる。つまりFランクの32倍だ。これではいくら生徒の大半を占める下位ランクが結集しても当選することは難しい。
だから『公正』な選挙の結果、Aランクの立候補者が生徒会執行委員に選ばれる。茶番ではあるが規則である。規則を改定できるのは生徒会のみだ。いや、全校集会で発議すればその是非を審議できるが、その事を決議する場合もポイント制で行なわれるから改定案が採案された事はない。
さて、そんな生徒会を今期牛耳っているのは3年生の『円城 結衣 (えんじょう ゆい)』と『神原 秋人 (かんばら あきひと)』だ。共に生徒会長である。そう、この学園は男女平等を謳っているので男女それぞれに会長がいるのだ。それは他の役職も同じだ。副会長も書記も会計も男女2人が選出される。この他にも学年長という役職があり各学年ごとにやはり男女2人が選出される。
以上、14名が生徒会の役員である。そしてこの下に各種委員会があり生徒は何かしらかの委員会に属することになっている。因みに僕は美化委員会だ。美化委員会はいいよ、掃除していればいいんだから。しかも校内美化に関しては風紀委員ですら従わせられるからね。風紀委員と言えどポイ捨てなんかしたら忽ち減点だ。夜中に学校のガラスなんか割ったら即退学させれるからね。・・いや、この学園にそんなやつはいないけどさ。
後、学園生活において勉強以外で一番ウエイトを占めるであろう部活動は生徒会直属の『部活動運営委員会』が仕切っている。でもこの委員会は会計に頭が上がらない。なんせ、この学園の部活動運営資金は額が凄まじいからね。各方面の企業からの寄付がはんぱない額らしい。会計報告書を読むと年間1千万だってさ。
まぁ、だからと言って生徒会や風紀委員会が私腹を肥やしているかといるとそうでもないらしい。元々、生徒会執行部に入ろうとするやつらはボンボンやお嬢様たちが大半だ。庶民じゃないから1千万くらいの金じゃ使い込みをする気にもならないらしい。確かに会長なんて毎日ホディーガード付きのリムジンで送り迎えだからな。あの車、幾らくらいするんだろう。
つまり、この学園で生徒会執行部に所属しているやつらは金や生徒の為でなく肩書きが欲しくてやっているのだ。つまり権力だね。大勢の集団のトップに君臨するのは快感が味わえるらしい。これは学術的にも証明されているとか。確かに金は働けば手に入るが権力はそうはいかない。まぁ、大人の世界では金で買える場合もあるらしいが・・。
そんなだから生徒会も表向きは普通に活動しているように見える。確かに規制は厳しいが根拠があって行なわれているから弾劾するのは難しい。討論になれば感情で行動している側が不利になる。みんなの為と言いつつ実は自分が置かれた立場を好転させたいという本音を糾弾されやすいのだ。
だからと言って生徒会が生徒の為に一生懸命かと言えばそれは違う。一旦権力を手中に収めた者はそれを行使したくなるのもだ。そしてその欲求は段々エスカレートしてゆく。その行き着く先は人民統制だ。それが現在この学園をこのような状態に落としめいてる。
下位ランクにとってはそれは由々しき状態だろう。だが、それにもちゃんと理由があると上位ランクは考えている。自分を律することの出来ない者は上位の者に従い導かれなくては組織からはみ出してしまう。それが上位ランク者たちの言い分だ。そして、それが嫌なら這い上がって来いと、道は用意されていると言う。
しかし、下位ランク者たちはそれが出来ないから下位に沈んでいるのだ。この議論は立場の議論だ。いくら話し合っても妥協点は見出せないであろう。
ではどうするのか?上位の者たちは現状維持、つまり生徒統制を権力で続けようとする。そして下位の者たちが取りうる選択肢は・・『革命』である。




