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何故か女子生徒たちと遭難だっ!

次の日、学校に行こうとしたら何故か冬だった。おかしい、昨日、学校のプールで女子生徒たちの水着姿を堪能したばかりじゃないか!もしかして僕は5ケ月くらい寝ていたのか?


まぁ、今は僕の妄想がこの世界を動かしている。だからこれくらいの事はあるんだろう。どうせ、どんなにハチャメチャになっても夢落ちで全て解決しちゃうはずだ。なら、今を精一杯楽しまなくちゃね。


そして僕たちは何故か雪山にいる。まぁ、雪山といってもスキー場なんだが。そう、今日から2年生は2泊3日でスキー合宿なのだ。いや、言い方がおかしいな、僕は知らなかったんだから、らしいと言うのが正しい。そして、臨時講師である僕が同伴しているのも疑問はあるがそうゆうもんだと理解するしかないのだろう。


でも恥ずかしながら僕はスキーのスの字もした事が無い。だって神奈川生まれだもの、雪なんて滅多に積もらないもの。だからロッジでラーメンでも食べていていいですか?えっ、ダメ?そうだよねぇ。


さて、当然ながら滑れない僕は初心者コースを担当する。いや、なんか生徒の殆どが初心者コースなんですけど・・。さすが都会っ子、まぁ、ここで嘘ぶいても恥をかくだけだからな。

「はい、では今日は体を慣らす意味も込めて、基本的なボーゲンだけを覚えよう。」

インストラクターのおっさんが手馴れた感じで生徒たちにスキーの履き方からバランスの取り方まで説明する。


うおおおおっ!足首が動かないっ!ぐわーっ、制動が効かないぞっ!ぎゃーっ、どうやって止めるんだぁーっ!

「タケル先生っ!転んで!横に転ぶんだっ!」

インストラクターのおっさんが僕に叫ぶ。成程、制動面を増やして止めるんだな。くっ、こんな初歩的な物理法則を忘れると恥ずかしい・・。いや、僕は文系だから知らなくても恥ずかしくないな。


しかし、このスキー板ってやつは滑りすぎなんじゃないのか?こんなので斜面を滑ったら音速を超えるぞ?

「今のタケル先生の倒れ方は忘れてくれ。あれは悪い例だ。下手したら足の骨を折るからね。倒れる時はお尻から。それも出来れば体を山の上の方になるように倒れること。まぁ、最初からうまくはいかないから、この限りなく平らな場所で練習しよう。」


あっ、このやろう、さらっと僕を馬鹿にしたな!ここが平らだと?ならどうして僕のスキー板が滑り出したんだっ!おかしいだろう!訂正を求めるっ!


「きぁーっ、止まらない~!」

「ちょっ、こっち来ないでぇ~。」

「うわっ、うわっ、うわ~!」


僕の心の叫びを聞く事のできない生徒たちはそれぞれ勝手に転び始める。それみろ、やっぱり平らじゃないじゃないか。

「大丈夫ですか?タケル先生。」

生徒の転びっぶりを座って堪能していた僕に女先生が声を掛けてくる。う~んっ、さすが体育免許を持っているだけはある。ちゃんと滑れてる。


「ええっ、先生は上手ですね。さすがです。」

「ふふふっ、まぁ、一応体育の免許も持っていますからこれくらいは。」

くそぉ、これって僕の妄想の現実化だよな?ならなんで僕はこんな3枚目なんだ?やっばり宇宙人の仕業か?


「さっ、先生も少しは滑れるようになって下さい。明日は生徒を連れて上に行くんですから。」

女先生はそう言って僕を起こそうと手を引っ張る。


「うわっ、あわわわっ、だぁーっ!」

立ち上がった途端、また盛大に僕はぶっ倒れた。

「あらあら、タケル先生にも苦手なものがあるんですね。うふふふっ、ちょっと安心しちゃいました。さぁ、私が教えて差し上げますわ。もう一度です。はい、スキー板を斜面と垂直にして・・、はい、立てました。」

おおっ、立っている!なんだ、判ってしまえば簡単じゃないか!要はバランスの問題だ。そしてバランスは重心が低ければ低いほど安定する。僕は新たなスキースタイル、しゃがんでボーゲンの新技を編み出した。はい、かっこ悪いので皆さんは真似しないように。


翌日は昨日の練習成果を試す為、リフトと言う物に乗って山頂に運んで貰います。隣には女先生が同席してくれました。う~んっ、眩しいほどの太陽と澄み切った青い空。今日は風もなく、絶好のスキー日和だ。ゲレンデでは魔法が掛かると言うが、濃いサングラスを掛けた女先生は最高にかっこいいぜっ!


「それじゃ、後はインストラクターさんの言う事を聞いて生徒を見て下さい。」

初心者用の出発点に着いた時、女先生は僕にそう言って上級者コースを選んだ生徒たちと行ってしまう。


「はい、判りました。」

当然僕も女先生の後に続く。そう、僕は勘違いをした。僕の頭の中ではインストラクター=女先生だったのだ。だから迷わず女先生に続いて上級者コースへ行くリフトに乗ってしまう。山頂で降りた時はもう遅かった。僕に気付いた女先生が怪訝な表情で声を掛けてくる。


「あの・・、タケル先生。なんでこっちに来ちゃったんですか?」

「えっ、だって先生がインストラクターの後に付いていけつて・・。あれ?」

僕の説明に女先生は呆れたようだ。


「タケル先生、ここって迂回路がないんです。リフトで降りた方が身のためですよ。」

下りのリフトで降りるっ!しかもひとりで!それって何て言う罰ゲームですかっ!


「だっ、大丈夫です!転がってでも降りて見せますっ!気にしないでください。」

「そうですか・・、すいませんが私は生徒たちを見なくちゃならないんでタケル先生に付いてあげられません。ゲレンデの端の方なら邪魔にならないので最悪歩って降りて下さいね。」

くっ、それも嫌だな。まるで晒し者じゃないか。絶対後で生徒にからかわれる。ここは一念発起して滑るしかない。大丈夫だ、これは僕の妄想した世界なんだ。僕は云わば創造主だぞ?スキーくらい0.1秒でマスター出来るさ!


だが現実は厳しい。3回転んで諦めました。僕はとぼとぼとコースの脇を歩く。しかし、足首の固定されたスキー靴というのは非常に歩きづらい。しかも肩には長いスキー板を背負っている。結局、また3回ほど転びました。しかもその内の1回は雪を踏み抜いてしまい、引き上げるのに15分ほど悪戦苦闘です。途中、二回目の滑りを楽しんでいる生徒に挨拶されました。


「ヤッホーっ!先生、楽しんでるぅ~。」

「おうっ、無茶するなよっ!」

「あははっ、先生ほどじゃないわ~。お昼までには戻ってねぇ~。」

くそっ、あいつは2組のマイカだな。この屈辱、忘れまじっ!次の授業ですげ~難しい問題を指名してやるっ!


さて、僕が悪態をついていると雲の影が僕の元を通り過ぎていった。山の天気は変わりやすい。さっきまであんなに晴れていたのにあっという間に吹雪となった。ほんと、3分掛かってないんじゃないか?これじゃカラータイマーも役立たずだな。


僕は視界が10メートルほどになったゲレンデを勘を頼りに降りる。これがいけなかった。整地されているゲレンデと違い端の方は山の中と状態が変わらなかったのだ。おかげで方向を見誤った僕はどんどん山の中に入ってしまったらしい。


そしてそれは生徒も同じだった。このゲレンデは途中に連絡用のわき道が接続されている。方向を見失った何人かの生徒がそのわき道に入り込んでしまったのだ。そして僕と遭遇する。

「おっ、誰かと思えば君たちは誰だ?」


「先生っ!」

生徒たちは不安だったのだろう。忽ち僕の周りに集まり説明してくる。

「よくわかんないの!気付いたらこんな所にいたの!」

「私もっ。前の人に付いて行ったら・・。でもその人は速過ぎて付いていけなくて・・。」

「せんせ~い、怖いよぉ~。」


「あ~っ、判った、わかった。で、全部で何人いるんだ?」

「えっ、あー、エミちゃんとマオちゃんとリカちゃんと私で4人・・かな?」

「そうか、なら暫くここにいよう。雪は濃いがこれだけ突然降り始めたんだ。上空の雲は流れが速いのかもしれない。もし見通しがつくようになったらそっちに引き返そう。」

僕が生徒たちを安心させる為、根拠の無い説明をしていると新しい迷子が飛び込んできた。


「きゃーっ、どいてぇ~!」

どけと言われればどかねばなるまい。だがどっちにだ?

「ぐはっ!」

避ける方向を的確に示さなかった生徒は、何故か的確に僕をブレーキ代わりにして止まった。このやろう、ゲレンデの衝突事故は傷害事件で訴えられるんだぞ!気をつけんかいっ!但し、今回は可愛い生徒ということでおっぱいペロペロで許してやる!さっさと脱げっ!・・いや、この状況でおっぱいなんか出させたら霜焼けになってしまう。それは可愛そうだな。ロッジまで我慢するとしよう。


「いた~いっ!もうっ、先生ったらちゃんと避けてよね!」

前件撤回、パンツも脱がす!

「ユキちゃん、大丈夫?他の人たちは?」

「え~、わかんない。だって何にも見えないんだもん。」

お前ら全員僕を無視かよっ!


「うわ~、どうしよう。もしかして私たち遭難しちゃったの?」

はい、そうなんです!・・んなわけあるかっ!寒すぎて洒落まで凍り付いているわっ!


「あーっ、君たち、慌ててはいかん。こうゆう時こそ知恵を出し合うんだ。まずはカマクラを掘って風雪から体温を守るぞ。」

「えっ、鎌倉を?ここに?どうやって?」

はい、さすがは神奈川県人だ。ナイスボケだぜっ!


「あれ?君たちカマクラを知らないの?」

「知ってるも何も同じ県じゃない。えーっ、先生もしかして知らないのぉ。」

おかしい・・、話が通じているようで通じていない。


「いや、この話はやめよう。よくよく考えたら僕も作り方は知らなかった。となるとまずは位置の把握からだな。よしっ、切り株を探すんだ。年輪の木目が狭い方が北だからな。」

そう言って僕らは周りを見渡す。はい、5メートル先の樹も良く見えません。ましてや、切り株なんてあっても雪に埋もれています。


「先生、無理です。」

「ふふふっ、諦めるのはまだ早い。腕時計の短針と長針をある角度で太陽に向ければ6時の示す方向が北だっ!」

そう言って僕らは太陽を探す。はい、全く見えません。空一面真っ白です。


「先生・・。」

今度は否定すらしてくれない。


「大丈夫だ、先生のスマホはGPS機能付だ!文明に敗北の2文字はないっ!」

そう言ってポケットから取り出したスマホは電池が切れて停止していた。


「あーっ、君たちは持っていないの?」

「スマホは転ぶと壊しちゃうから持って来ちゃ駄目って先生たちが言ったんじゃない!」

あっ、そうだった。忘れてたよ。


「先生、クマとか、出て来ないよね?」

お前はアホかっ!クマってのは寒がりなんだよ!というか絶賛冬眠中だっちゅうの!

「どうしよう、先生。なんだか寒くなってきちゃった。」


よく見るとみんな頭に雪を被って真っ白だ。はははっ、馬鹿め、かっこうを気にして帽子を被らないからそうゆう目に会う。仕方が無い。僕の帽子を貸してやろう。但し、僕にエロ忠誠を誓うやつだけだ。ここから生きて帰れたらべろんべろんのぐっちょんぐっちょんにしてやるからな。うんっ、2人で生きている喜びを確かめ合おう。


その時、あれ程降り注いでいた雪がぴたりと止んだ。そして視界の向こうには僕らを探しているのだろう、女先生の姿が見える。

「先生だわっ!せんせーっ、こっちよぉ~!」

生徒の声に女先生も気付いたのだろう、別の誰かに声を掛けてこちらに滑ってくる。生徒たちも駆け出した。


おかしい・・、今回はこのまま山小屋で女子生徒たちと一夜を共にし、お互いの体温で暖めあうシチュエーションじゃなかったのか?・・何でこうなっちゃうの?

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