表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/41

ああっ、やっぱりこの方が落ち着くな

さて、ここまでの説明で判ったかと思うが童貞青少年の思い描くハーレムは、はっきり言ってぬるい。だが経験したことのない事は妄想ですらシュミレートできない事を知って貰えたと思う。


何故、邪魔が入る?僕は初め、製作サイトの大人の事情だと思っていた。でも違う。実は製作する人たちも経験したことがないから表現できなかったんだ!彼らは大人だ。だから童貞ではないだろう。でも、多分、女の子に言い寄られた経験はないのだろう。お店でなら疑似体験しているのかもしれないが所詮偽者。だから表現できない。

しかし、ハーレムが入っていない青少年向け情報媒体など誰が視聴、購入してくれるというのだ!そんなやつはいる訳がないっ!悲しいがこれが現実だ。だから大人のぐちょんぐちょんのハーレムは大人になるまで待とう。なに、すぐさ。ほんの数年だ。


こうして僕はまた大人の階段を登った。でもここからが地獄だった。彼女たちが各国に帰るまでの2ケ月間、この蛇の生殺し状態が毎日続いた。毎日である。土日、祝日もなんやかんやとイベントが発生し僕の下半身を刺激してくる。

一番きつかったのがミンメイと隙間に挟まって身動きが取れなくなったときだ。あのやろう、脱出しようとくねくね動き回りやがって!あれっ、絶対わざとだ!太ももで僕のビックサムを翻弄しやがって!お経や素数を何回数えたかわからんぞっ!まぁ、ぎりぎり耐えたけどね。


あっ、キャサリンが家に泊まりに来た時もきつかったな。何故か両親とも旅行に出かけていなかったからな。若い男女が一つ屋根の下、何も起こらない方が不自然だ。だから僕は、仕方なく、そう仕方なくだからね!僕のベッドに潜り込んで来たキャサリンのおっぱいを・・、触ろうとした途端、残りの4人が雪崩れ込んで来たんだよな。そして仲良く6人でお休みである。


後はお決まりの水着回や温泉回、雪山で遭難なんてハプニングまであったなぁ。まったく、南半球まで行って遭難ってどんだけイベントを発生させたかったんだ?本当に妄想ってやつはキリがないな。

これが漫画やアニメなら笑って済ませられるが、リアルでやられたら堪らない。えっ、手を出せばいいじゃんって?ふうっ、君は将来、少女を拉致監禁強姦する可能性があるな。悪いことは言わん、社会の為だ。死んでしまえ!


さて2ケ月後、学校全体を巻き込んだ5人の美女たちによる僕争奪戦は、結局時間切れで幕を閉じた。


「みんな帰っちゃったね。」

いつの間にか僕の隣の席に戻った彼女が話しかけてくる。ああっ、やっぱりこの方が落ち着くな。ハーレムなんて僕には無理だったんだ。


「そうだね、なんとも慌しい2ケ月だったよ。」

「タケル君、がんばったものねぇ。彼女たちも楽しそうだったし良かったんじゃない。」

「そうかな、うんっ、そうだね。」

そうか・・、傍から見たら楽しそうだったのか。さすがは女の子、男子とは視点が違うんだな。


「私はアデリナのツンデレに落とされると思ったんだけど、タケル君はミンメイみたいなドジっ子が好みだったんだね。」

「おいおい、なんだよ、それ。もしかして賭けでもしていたのか?」

「当然。おかげでオッズが大荒れよ。よもや誰とも落ちないとは大穴だったわ。」

「お前ら・・、道理でみんなが騒がないと思ったよ。観察していやがったんだな。普通、あんなことを校内でやったら大問題だもんな。で、誰が勝ったの?」


「じゃじゃ~んっ!誰とも落ちない枠の発券数は6枚。その内の1枚がこれです!」

「お前が買ってたのかよっ!」

「いや~っ、大儲けよ。やっぱり日頃からタケル君を観察していた甲斐がありました。」


「観察って・・、僕は珍種の動物かっ!」

「あははっ、珍種と言えば珍種じゃないの?あの5人に迫られて据え膳を食べないなんて、タケル君男装女子説まで飛び交っているわよ。」

「男装女子って・・、噂って怖すぎだ。」


「今回は彼女たちも含めてみんな楽しかったんだからいいじゃない。もしかしたら、あの5人が落とせなかったタケル君を落とせば女が上がると学校中の女子がモーションかけてくるかもよ。」

「ゆうこ、僕は今回の事で忍耐を学んだんだ。そんな安易な動機で寄ってくる子なんか相手にしないさ。」


「ふふふっ、でも気をつけてね。タケル君って影響を受けやすいから刺激の強いものを見た次の日は妄想しない方がいいわよ。」

えっ、なに、その意味深な言い方・・、もしかして今回の騒動が僕の妄想が原因だって事を知ってるの?いや、そんな事はないよな。この能力は巻き戻る前の彼女にだって言っていない。たまたまだ。偶然だよ。・・ほんとかな?


しかし、この実験で僕には判った事がある。それは、慎重にテーマを選べばこの能力って使えるぜっ!って事だった。うんっ、所詮僕は童貞少年だ。ニサンカの悲劇なんかもう頭の隅にもないよ。どうやら僕の記憶媒体は容量が少ないらしい。常に新しい情報が古い情報の上に上書きされてゆく。今回は死者はおろか怪我人さえ出なかった。ならばテーマさえ慎重に選べば、世界をこの手にする事だって夢じゃないっ!・・ごめん、そんな面倒なことしたくないや。


よしっ、今度は無難に学園モノを読んでみよう。

猿にラッキョウを剥かせると実がなくなるというが、僕にこの能力を付与した者も、今そんな思いで頭を抱えているかもしれない。


妄想ハーレム編-完-

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ