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街までの道のり 1

「で、結局野宿かよ。」


「洞窟があって良かったな、寒くはないだろう。」


「ですよね。」


三体の龍は仄暗い洞窟の中、入り口から少しだけ感じられる、自然な月明かりに照らされていた。

この三体が1日で街に行くのはそう簡単にはいかなかった。


やはりブラック、このおとこだ。


三体は街からはやや離れた田舎に居た。

出発時刻は9時ごろだった。

そこから街までは普通に進めば、遅くても昼過ぎにはついていたはずなのだが……ブラックは途中はぐれた。


「蝶々がおった。」


この地域では物珍しい黒龍の姿を探して早くも3時間半、彼の第一声は爆発的な怒りと発狂を掻き立てるのには十分だった。


「ふざけんな!!!」


そこでボアは尻尾で打ち付けた、ブラックどこかの彼方までふっ飛んで行った。

怒りに任せた行動だった、反省はしてるが後悔が無い。

そこからの捜索で更に2時間、更にそこで襲われたモンスターから逃げるので3時間、すっかりと日が暮れて田舎町の外れの方は危険が潜む時間になった。


「バカ。」


「トラブルメイキング☆」


「やかましい!!!バカッ!!!」


「あああもうやめましょうよ、みなさん。」


2人が争いギルンことギル・リヴァーが止めに入る、最早この光景は当たり前のようである。


「ギルンくんはやっさっしっいー…ナァッ。」


「いやいやバファ○ンには全然負けるんですよ。」


ただ彼は天然さが目立つ、仲裁役には明らかに向いておらずボアも時折不安になる、そのくらいには不思議な言動があった。


「ハァ……。」


やっぱりロクなことにならない、街は行くことを少し躊躇ってしまいそうになる。

洞窟の上から僅かにしたたる水が、まるで光を放つようにポツリ、ポツリと小さな水たまりを作っている。


(……水でも湧いているのか……。)


(…にしちゃあ、この洞窟にはモンスターがいないな…妙だ。)


水がある、たったその一つの条件だけで、その場所にモンスターが住んでいる確率は高くなる。

身体の大半を占めるのは水、水を求めて生き物が集まる、その生き物を糧とする生き物がさらに集まる、これが食物連鎖としての基本だからだ。


「なぁ、ブラック、ギル。」


「ん?何ー、ハブ君。」


「何ですか?」


「この洞窟、生き物はいないのか、どうなんだ。」


「ホントだな、そういや何もいないわ。」


「虫一匹見当たらないです〜。」


その言葉を聞いて確信した、ここには何かがいる、もしくはいた。

多くの生命の脅威になる強いモンスターが存在する、存在していた。


「ちょっと洞窟の奥を照らせないか?」


「あ、ボクやります!発光器官を持ってますので、水中で生きるための進化を遂げた種族なので。」


「ああ、頼む。」


銀の鱗を持つ水龍は洞窟の真っ暗な闇の方を見つめた、そして。


「……。」


全身をやや弱い青に光らせた。

光は徐々に強くなり、洞窟の上部や奥の深さを露わにしていく。


「な!これは!!!」


「え!ハブ君どうしたん!?」


「上見てみろ……。」


「「え!?」」

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