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負けられない戦いの開幕

「いやぁ、災難だったわwww呟いたったーに呟いとこwww」


「ホントもう三ヶ月も水の中で隠れてたんですよwww最初セルマ居たの気付かなくて参りましたよ、後々気付いてパニックになりましたよwwwいやぁ〜シャバの空気は良いですねぇ〜。」


「お前らおっせぇ!!!」


見慣れたようで見慣れないコンビニ内、目付きの鋭い蛇龍が1匹、轟くような咆哮をあげた。


「ごっめーんw」


「あぁ、すみませんwww」


「てか、オメーも来るんかい!」


「はい、来ちゃいました、待たせてすみません。」


なんとあれから3時間経過していた、それでもドタキャンを疑わずに根気よく待ち続けた辺りを考えると、ボア・アシッドは外見に寄らず誠実な様だ。

もちろん日は暮れており、空は人間界と同じようなオレンジと青のコントラストで出来ており、時折飛ぶ龍の影などが全て背景と化しており美しい。


「ふんふ〜ん、雑誌コーナ〜〜〜。」


「く…コイツは本当にマイペースな野郎だ………。」


「僕、天然水買って来ますね。」


「いや!泉の水飲めよ!!!」


どうやら天然水よりも天然なギルン君、ボア1匹のツッコミでオオボケ2匹を(さば)き切れないかも知れない。


「やべ!週間Dragon・Boysが売り切れそう!後一冊なんだけど!!!」


「お前は(はよ)う本コーナー行けや!!!俺の後ろで殺し屋みたいにピッタリ着いて来るんじゃねぇ!」


ボアが背後を振り向いた時に顔がぶつかるかぶつからないか、信じられないくらい滅茶苦茶近い。

周りの客もブラックの奇行にクスクス笑っている。


「さいふ。」


「ほら、お前のカバン返すから行け。」


「はい。」


よく運動部が使う様なスポーツブランド紛いのカバンが差し出された。

サッとそれを受け取って雑誌コーナーへ早足に急ぐ。


「届く!!!」


「残り1つ!!!」


ドム。


……。


…………。


何やら骨に響く様な衝撃、客観的な視点から見ると黒い龍がデカめのゴツい龍に衝突している。

ただその2匹は2人とも同じ動きで硬直している、1つの雑誌めがけて手を伸ばしているのだった。


「あ…あぁ……。」


「あ……あ…はぃ…え…………?」


「え…?」


「え…えぇ……???」


「う…え…あ、あの……ええぇ…………。」


「あ、あのこれ……。」


「あ…あ……こ、この雑誌…………。」


しいんと、あたりが水を打ったように静まり返った、2匹はお互い困った様に顔を見つめ合っている、周りの客はその姿を見て気まずそうにしている。

レジの店員と言えばテンパってる、人型のモンスターが研修としてやってる様だが「あばばばばば腕6本ないとむりでしゅっ!」と混乱していた。

流石にレジ打ちながら雑誌コーナーまでは行けまい、行ったところで多分何の役にも立たないだろうし。


そして彼ら2体は、お互いに顔を見合わせて穏やかな笑みを浮かべた。




「「ソイツは俺のじゃあああああぁぁぁぁぁっ!!!」」




お互いにタックルをして相撲のように押し合っている、肩と肩がぶつかる度にゴッ!と凄い音が響く。


「「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」


「お…お客様!?」


ザワザワザワザワザワザワザワザワザワ。


「ブラック!?」


「ブラックさーん!?」


お互い一歩も譲らない…と言った様子である、2匹の龍はギラリと目を鋭く光らせ、互いに雑誌を掴んで離さない。


「これは……!!!」


「絶対…………!!!!!」






「「渡さない!!!」」




「お客…さま…ああああ…また崩壊してしまうぅ…………。」


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