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第25話 距離の有効活用

 4mの蟷螂に追いかけ回されるという散々な目に遭ったが、悪いことばかりではなかった。

 擬態する魔物の存在や、魔物同士でも敵対関係にあるという情報は、これからを生き抜く上でとても重要になってくる。

 特に擬態する魔物の存在を知れたことが大きい。運が悪ければ、両断されていたのは1.5mの魔物ではなく俺だったかもしれないのだ。


 より一層、周囲に意識を配りながら森を散策する。擬態している魔物は索敵にも引っかからず襲われて初めて気付くので、いつ襲われても良いように気を張ってなければならない。


 20分ほど森を歩いたが見つかるのは2mを超える魔物ばかり。向こうの索敵能力が低いため一度も気づかれてはいないが、その巨体を見かけるだけで心拍数が上がるのでとても心臓に悪い。

 アラクネ達の手が入らないと、危険区域と言うのはこうも大物ばかりなのか。10匹程度なら何とかなると思っていたが、これはどうやら中々骨が折れそうだ。序盤に3匹連続で討伐できたのは随分と運が良かったらしい。


 魔血(トランサー)の残りは後1時間ほど。このままのペースでは10匹には届かなそうだ。どうにか2mより小さい魔物を見つけなければならない。


 そこから10匹ほど魔物を見つけたが討伐できたのは1匹だけだった。残りは全て2m超えだったのでさっさと退散した。

 しかし一つ気づいたことがある。遠くから索敵に引っかかるような魔物は、どれもこれも大物ばかりなのだ。逆に、それなりに近づかないと気づかないような魔物はどれも2m前後だった。

 このことから考えるに、索敵に掛かる距離が魔物の大きさと関係してるのではないだろうか。


 よく考えてみる。

 なぜ距離が大きさに関係するのか。

 大きい魔物はそれだけ強いということだから隠れる必要がない。だが、小さい魔物は弱いので強い魔物から隠れなければならない。だから大きい魔物は動く際の物音が大きいために遠くからでも索敵に掛かり、小さい魔物は襲われないように身を隠しながら動くために、近づかないと気づかない。

 こう考えれば辻褄は合う。


 索敵距離による選別をしながら魔物を探し始めると、2m超えの魔物と出会う確率は、予想通りぐっと下がった。しかし、それでも難なく倒せる1.5m以下の大きさの魔物は少なく、15匹ほどの魔物を見つけたが、討伐できたのは3匹だけだった。


 これで討伐した魔物の数は7匹。魔血の残りは20分ほど。

 そろそろ限界が近い。今まで手を出さなかった2mクラスにも挑まないと、間に合わないかも知れない。


 そう決意した俺は、索敵に掛かった新たな魔物へと向かった。見つけたのは2mに少し届かない大きさの魔物。先ほどまでならスルーしていたサイズだが、もう魔血が残り少ない。やるしかないようだ。


 魔物が後方を向いた瞬間に茂みから飛び出し、槍に魔力を込めた。槍は瞬時にその柄を伸ばし、魔物に迫る。狙うは一撃必殺の胴体だ。

 魔物は茂みの音に反応して瞬時にこちらを向く。魔物が鎌を振り上げたのと同時に槍が魔物に突き刺さった。狙い通り腹部へ突き刺さった槍に、さらに魔力を込める。槍はそのまま伸び続け、魔物を貫通した。


 槍を縮ませて引き抜くと、鎌を振り上げたまま魔物は崩れ落ちた。なんとか不意打ちの一撃で倒せたようだ。魔物の反応がもう少し早ければ躱されていたかもしれない。


 これで2mクラスでも、不意打ちなら何とか無事に倒せることが証明されたので、10匹に届きそうだ。


 次に索敵に引っかかったのは幸運にも1.5mクラスの魔物だった。これも無事に不意打ちの一撃で討伐に成功、9匹目だ。これで残り1匹。魔血の残りは10分ほど。ギリギリだがなんとか行けそうだ。


 そして最後の1匹が索敵に掛かった。茂みに身を隠しながら近づき、様子を伺う。魔物の大きさは2mを少し超える程度。かなりの大きさだが、もう他を探している時間はない。


 魔物がこちらから目を離したのを確認すると、握った槍に魔力を込めた。


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