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第16話 三尾の包囲網

 何をされたか理解できぬまま、10mほど吹き飛ばされる。

 受け身も取れずに五回ほど地面を転がってようやく止まった。


 腹部を思い切り攻撃されたので呼吸がうまくできない。この衝撃だ、肋骨も数本持っていかれただろう。内臓にダメージがないのが奇跡と言っていい。


 一体何が起こったというのか。魔物の飛び込みは完全に躱した筈だ。


 衝撃で朦朧とする頭を上げて魔物の姿を確認する。

 魔物は三尾の尻尾をゆらゆらと揺らしながらこちらの様子を見ている。

 まさか、尻尾か?

 いや、尻尾の届く距離ではなかった。伸びたとでも言うのか。


 体勢を立て直しながら謎の攻撃の正体をあれこれ推察していると、再び魔物が飛びかかってきた。


 くそ、まだあの攻撃の正体がわかってないってのに!


 視覚に意識を集中しながら、細かいステップで突撃を躱す。飛び退くと恐らくさっきの二の舞だろう。

 魔物が俺の横を通り過ぎる。

 その瞬間、魔物の尻尾が伸びて、こちらへ横薙ぎに振るわれた。

 驚きに目を見開きながら、地面に伏せてなんとかその攻撃を躱す。


 やはり尻尾だった。伸びるとかそんなのありかよ!


 謎の攻撃の正体を見極めてホッと一息着く間も無く、魔物の怒涛の連撃が始まった。


 俺の横を通り過ぎて、そのまま10mほどの距離を取った魔物は三尾の尻尾を巧みに駆使して攻撃してくる。

 叩きつけ、振り払い、突き刺す。

 一本を躱すと残りの二本から攻撃が繰り出される。二本同時攻撃までなんでもアリだ。


 二尾にもらった毛針攻撃と、先ほどの尻尾の一撃で俺の体はもう限界だ。今はなんとか躱しているが、この均衡はそう長くは持たないだろう。


 頭の隅で、アラクネ達が助けてくれるさ、と弱虫が囁いた。もう十分頑張ったろう。諦めたって仕方ないさと語りかけてくる。


 弱虫の言う通りアラクネ達が助けてくれるのを待てばこの状況は何とかなるだろう。


 けれどそれで良いのだろうか?


 少しでも強い敵が現れる度にアラクネ達を頼っていて、俺は果たして強くなれるのか?

 答えは、否だ。強くなれるわけがない。そんなものは開拓者(ストレンジャー)とは呼ばない。


 絶対に諦めてなるものか。俺は真の開拓者になるんだ。たかだかこの程度の魔物で心が折れていたら話にならない。


 弱虫を意識の外に追いやり、なんとか反撃の一手を探る。


 それにしてもこの状況は非常にまずい。

 一つの攻撃を掻い潜って前へ進もうとしても、残りの二本の尻尾に阻まれてしまう。

 どうしたものか。


 暫く攻撃を躱していると当たらないことに気を立てたのか、魔物の攻撃が激しくなってきた。

 一撃の威力が上がっている。横に振るわれた尻尾に当たった木々が諸共粉砕された。こんなもの当たったら一発で再起不能だ。


 いよいよ絶体絶命かと思われたその時だった。

 起死回生のチャンスが訪れたのは。

ちょっと短いですが区切りがいいのでここまでです

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