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第10話 続・アラクネ先生の開拓者講座

「さてさて、無事生き残ることができたオルフェくんには、アラクネ様直々の講義の続きをしようじゃないか」


 そう言うとアラクネは隣のベッドに腰掛け足を組んだ。


「魔物に勝ち、魔血(トランサー)も補給して、危険区域の出口一歩手前まで行ったにも関わらず、最後の最後に動けなくなって無様な姿を晒してしまった訳だが、なんでかわかるか?」


「……魔血が切れたから?」


「惜しいな。半分正解だ。俺が魔血を切らしても芋虫みたいに惨めに転がったりはしない」


 無様だの惨めだのうるせえな。


「魔力酔いのせいよ」


 女性が答える。

 またまた新しいワードが出てきた。魔力酔い。どういうこっちゃ。


「魔力が切れたとき、体が自分のものではないような感覚にならなかった?あれが魔力酔いと呼ばれる現象よ」


「おいおい、俺の出番を取らないでくれよ」


「あんたに説明任すと不安なのよ」


 バチバチと二人の間で火花が散る。

 もう言い合いはやめてくれよ。


「話の途中でごめんなさいね。続けるわ」


 今回も女性の勝利のようだ。アラクネ弱し。


「魔物の感覚から人間の感覚に戻ると、二つの感覚の著しい変化に頭がついていけないのよ。その結果、どちらの感覚に合わせればいいかわからなくなって体が思うように動かなくなるの。それが魔力酔いよ」


 だからアラクネは魔血を切らすなって言ったのか。


「でもアラクネは魔血を切らしても平気だって言ってますよ」


「魔力酔いは克服することができるのよ」


 まぁそれはそうか。魔血が切れる度にあんなことになっていたのでは開拓者(ストレンジャー)はすぐに死んでしまう。


「どうやって克服するんですか?」


「慣れよ」


「は?」


 ここにきて脳みそ筋肉みたいな回答が返ってきたので思わず失礼な口を聞いてしまった。

 慣れって。なんて身も蓋もない答えなのだろう。


「魔血を取り込んでいる時間が長くなると、体が魔物の感覚を覚えるのさ。体が魔物の感覚と人間の感覚が別物だと理解すれば、魔血が切れても魔物の感覚から人間の感覚に上手く切り替えることができる。これで晴れて魔力酔いの克服ってわけだ」


 黙っていることに耐えられなくなったのかアラクネが口を挟んだ。


「あんたは黙っててくれるかしら。私が説明してる途中なのだけれど」


 修羅のような顔をして女性が言う。

 折角の綺麗な顔が台無しだ。


「お前がたらたら説明してるから手伝ってやっただけだよ」


「あんたの雑な説明よりはよっぽどマシだと思うけど?」


 毎回いがみ合うのやめてくれないかなぁ。


「あの、説明の続き!続きが聞きたいです!」


「あらごめんなさいね。馬鹿が口を挟むから中々話が進まないわ」


 なんで俺がこんなに気を使わないといけないんだ。

 そして一々アラクネを刺激しないでくれ。


「どこまで話したかしら。魔力酔いの克服までよね」


 何か言いたげなアラクネを視線で制して女性が話し始めた。


「魔血の長時間摂取には魔力酔いの克服以外にも効果があってね、より深く魔物の感覚が理解できるようになるのよ」


 より深くとな。

 初めて魔血を取り込んだのにあれだけ劇的な変化があったのだ。それ以上に魔物の感覚を理解すると一体どうなってしまうのだろうか。

アラクネが全然説明してない

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