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4話-5

「ところで、今朝私の学校に電話したのって誰?」


そんな質問を落とした姉はキランと目を輝かせつつもいつものようにへらっと笑った。僕は頭に「?」が浮かぶ。まぁ、両親や祖父も似たような顔をしていたのだが。





今朝、姉が学校に着くとすぐに担任から声が掛かったらしい。この日姉はスキー実習という行事で、1日県境の雪山へ行く予定になっていた。

日帰りのその行事は朝学校を出て、スキー実習(?練習)をしてロッジで昼飯を食ってからもうひと滑りして帰路につくという高校生版の遠足みたいなものだ。後に僕も行ったが、いや中々に楽しい経験だった。オヤツも持って行くしね。男女で班とか組むし、ちょっとしたイベントだった。



で、周りがソワソワと浮かれモードの中姉は担任に教室から連れ出された。

「何かあったら」電話をしてくれと言った「何か」が起きたのかもと足元から冷えて行くような感覚に陥りながらも姉は担任の後を付いて行った。


担当教科である古文準備室に入ると、おもむろに担任は言ったそうだ。

「お家の人から電話が入ってね。お祖母ちゃんは大丈夫だからスキー実習行っておいでって。お祖母ちゃん調子悪いの?」と。

今朝倒れて・・・なんて口にしたら気を遣われると思った姉は「ええ、まぁ少し・・・」と言葉を濁したらしい。ちなみに電話してきたのは誰だろうと思い「母からの電話ですか?」と聞くと男の人だったという。姉は「?」を浮かべて更に尋ねたのだがイマイチ要領を得ない。

どうやら電話を受けたのは担任ではなかったらしく、詳しいことは直接話をした学年主任に聞いて欲しいと言った。

姉は首を捻りながら、その日本史の教師がいるであろう職員室へ向かった。姉の顔を見た瞬間に手招きをして「おーっ!お前お祖母さん大変なのか?」と投げかけられた同じ質問に、またもや同じように答えを返して話を続ける。


「電話、父からでした?」

「ん?ん~もっと若い感じだったぞ?落ち着いた風だったけど、そんな年ではなかったような・・・お前、兄貴って・・いないよなぁ?」

「いないですよ・・・名乗らなかったんですか?」

「ん~そう言えば家の者ですがって言ってただけだったか?」


学年主任は首を傾げ「何年何組のとは言わなくって、○○(うちの住所の大字)のって言っててな?でも名前もフルネームだったしなぁ。お前の事だってすぐ分かったから特に何とも思わなかったぞ?実習の事も知ってたし」

「そうですか・・・ありがとうございました」とモヤモヤしつつも話しを切り上げたのだそうだ。


そのまま特に何のアクションもなかったので、予定通り姉はスキー実習へ行って帰ってきたわけだ。

まだ続きます

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