3話-1
僕には姉がいる。
2歳年上の姉はちょっと・・・いや大分アレだと思う。
今回の話は随分と遡る。あれは確か僕が小1、姉が小3位だっただろうか。
夏休みに僕達姉弟は2人で田舎に遊びに来ていた。
両親が送ってくれたのか、はたまた2人だけでバスで来たのかはよく覚えていない。ラジオ体操も参加率が落ち始める夏休みのど真ん中には2人で田舎へ行くのが毎年の通例になっていた。まず母方の祖母の家に行き(祖父はもういない)1週間くらい過ごして、その後お盆休みになった両親が来て1泊か2泊、そして父方の祖父の家に行く。しかしこの年は父の仕事の影響か何かまず父方の祖父の家に子ども2人で来ていた。この父方の祖父の家っていうのが今の家である。まぁ敷地が同じだけで母屋とは別だけど。
田舎どうだった?と聞かれると家ではほとんど出されることのなかったサイダーを宿題をしていると祖母が持ってきてくれることと、マンガ読み放題で楽しかったというバカな小学生丸出しの感想しかなかった記憶がある。
ちなみに姉は7月、もしくは8月の前半までに宿題を全部終わらせるタイプ。僕?もちろんご多分に漏れず31日に泣くタイプだ。姉に手伝ってもらった作文では賞を取って、なんとその上新聞にまで載ったのも・・・良い思い出だろう。
一足先に宿題を終えた姉は何をしていたかというと、畑の草取りや畝作り、野菜の収穫などいわゆる農業的なお手伝いを良くしていた。この辺りも姉が大人達に愛でられていた理由にもなっていたのだろう。当時祖父の家は今でこそ珍しい五右衛門風呂があり、風呂の薪焚きも率先してやっていた。これは僕も手伝った。火遊び・・いや小学生が堂々とマッチを擦れて火を間近で見る事なんてなかったから、僕からしてみれば単純に楽しかった。
姉は農業と神職の2足の草鞋を履いていた祖父とも、とても仲が良かった。祖父は基本とても優しいが僕はやんちゃざかりで神棚に登ろうとしたり、植えたばかりの苗を引っこ抜いたりとすごい剣幕で怒られたことも多々ある。大泣きしては姉に慰め諭されるという事を繰り返して日々を過ごしていた。
そんなある日、叔父が仕事の休み前の晩やって来た。まだ小さい姪っ子・甥っ子を喜ばせようと浮き輪を持って。父方の祖父の家の近くにプールはない。首をかしげていると、子どもだけでは行ってはいけないと言われていた川に泳ぎに連れて行ってくれると言う。僕も姉も大喜びでその夜は中々寝付けなかった。とは言っても夜になると随分と涼しい風が吹き込む静かな場所なので、気付いたら寝ていたのだけど。
翌朝、みんな揃った朝ごはんの席で川へ泳ぎに行く事を祖父に伝えると、祖父はなんとも表現しにくい苦い表情をしていた。叔父と何か話をして、姉に神妙な顔で何かを伝えて、僕には大きな手をポンっと頭を乗せてちゃんと2人の言う事を聞くようにと注意を促した。
3話です。どうぞよろしくお願いします