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夢の守り人  作者: 暇人1号
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あいも変わらずの駄文ですが、楽しんでいただけると幸いです。

ひたすら走る。

普段使っている廊下がいつも以上に長いものだと感じられた。

まだか、まだ着かないのかと何度もじれったく思った。

次に登校した時にはクラスメイトからも教師からも悪い意味で引っ張りだこだろう。風邪が悪化したに違いない。久々に全力で長い時間走ったものだから、明日の朝は筋肉痛に違いない。他にも体が悲鳴を上げているのが分かる。

しかし、そうであっても無心で走り続けた。

なぜかは分からない。ただ一つ俺に、自分自身に何も無い俺に言えることは、自分に夢がないからこそ誰かの夢を傷つけてはならないということだ。

前だけを見ろ。そう自分に言い聞かせる。

そうして無限にも続くかと思われた苦しい時間が終わり、ようやく目的の教室、2年5組の教室にたどり着いた。ぜえ、はあと息を切らしながらドアの前に立ち止まり、深呼吸をして息を整えようと試みる。しかし、どうしても息が切れたままであったことと、立ち止まったことにより改めて疲れを自覚してしまったことにより、これ以上立っているのは辛いと判断したため、教室に入る。

教室に入ると、教室の一部で楽しそうに談笑しながら昼食を食べる女子の集団も、昼休みだからといい気になって学校に持ってきてはいけないものを広げている男子の集団も、自席に座ってただ黙々と勉強をしている人たちも、そして、クラスの人たちからは少し離れたところで一人で細々と昼食を食べている彼女、佐伯さんも、皆顔を上げて、これから何が起きるのかという期待半分、自分たちの楽しみである時間を奪うなという怒り半分でこちらを見る。彼女を呼び出そうとしたが、声を出すのが困難だと悟り、彼女の元まで歩いて行く。一歩、二歩と悲鳴を上げる体にムチを打ち、机や椅子で体を支えながらゆっくりと、ゆっくりとだが確実に前に進む。教室の中の生徒達に見守られる中おれはようやく彼女の、佐伯さんの前にたどり着く。そして、一言ずつゆっくりと喉から声を紡ぎだす。

「佐伯さん、話がある。少し来てくれ。」

彼女は小さく頷くと食べ終わっていたらしい中身の入っていない弁当箱を鞄にしまい、立ち上がる。そしてどちらからともなく教室の外に向かう。

廊下に出ると、いつの間にか5組の教室の周りに集まってきていた。仕方ないなと思いながら彼女と一緒にギャラリーのいなさそうなところまで歩く。

彼女は終始無言であった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字等ありましたら報告していただけると幸いです。

次回は8月6日土曜日夜9時の予定です。

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