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夢の守り人  作者: 暇人1号
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相変わらずの駄文ですが、楽しんでいただけると幸いです。

「それはどんな夢なんだ?」

思わずそう尋ねていた。自分と気が合う人がどんな場所を目指して進んでいるのか知りたいとそう思ったのかもしれない。

その問いに対して、彼女は小さな声で、それでいてはっきりと、

「普通に起きて、普通に学校に行って、普通に友達と遊んで、そんな普通の生活を送ること、そんな普通の生活を送ること。それが私の夢だよ。」

ーそう答える彼女は夢に向かって努力している周囲の人達と比べると、ひどく弱々しく、小さなものに、まるで叶わないと分かっているけれどそこに憧れているように見えた。ー

何を言っているのか分からなかった。今このようにしていることが普通でなくて何なのだろうと、そう思った。口に出さずともそう思ったのが伝わったのだろうか、彼女は少し萎縮したように見える。そして少し居心地の悪い空気がこの場に漂い始めたとき、予鐘が鳴った。

「じゃあもうすぐ授業だし...」

「うん、それじゃあまた。」

と、お互いに気まずそうに別れの挨拶をしてそれぞれの教室へと向かった。


その後、午後の授業を適当に流し、一人で帰宅した。

そうして考える、自分の夢のことを。小さいころには医者になりたいとか、警察官になりたいだとか、そういう夢があったのかもしれない。しかし、今では分からない、どこを目指して進めばいいのか。分からない。


暗転


目を開く、と同時に感じる頭痛と体の重さ。体調を崩したのかもしれない。そのことを自覚すると、より一層頭痛がひどくなり、そしてかなりの寒気を感じる。これは明日は休みなんだろうなと思いながら意識を手放した。


朝、やはりと言うべきか、案の定と言うべきか、38.2℃、やはり治ってはいなかった。だから学校を休むことにした。親には病院には行っておくように言われた。面倒だと思いながらも、朝食を食べたら病院に行こうとそう決めた。


診察の結果、ただの風邪だったようだ。特に問題はないので1日か2日休んだら良くなるだろうとのことだ。良かったとそう思いながら、他に人のいない待合室で会計を済ませていると、人がいなく、休憩か何かと勘違いしているのであろうが看護師の人達が雑談している。こちらにも内容が丸聞こえだ。不快だと感じていたが、病院を出ようとしたときに偶然、

「あの子、なんて名前だったけ、かわいそうにねえ。」

「佐伯さんよ、もうすぐ入院するのよね?」

と耳に入った。

ああ、彼女が普通の生活を望んだ理由がよくわかった。そうであるのに、その夢に対してつまらないと、そう思ってしまった。

どうしてかは分からない。それでも、謝らなきゃと、そう思った。そうして、背中に強い風を浴びながら、家路に就いた。





ここまで読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字等ありましたら、指摘していただけると幸いです。次回は来週の土曜日夜9時の予定です。

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