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初連載となりますのであまり面白い話にならないかもしれませんが、楽しんでいただけると幸いです。
ーとある町、そう都会とも田舎ともどちらとも言えないような町にその少年はいた。
どこにでもいるような普通の高校生。
適当な学校に通い、適当に勉強をし、家に帰るという何の変哲もない生活を送る、そんな少年がいた。
これはそんな一人の少年の物語である。ー
「今配ったプリントは来週に提出だからな。」
教室に大きな声が響き渡る。それに対し、メモをする者、一字一句聞き漏らすまいと真剣に声の主の方を向く者、最初から話など聞いていない者、そして聞いているように見えて、その実、声の内容に関心を向けていない者がいた。彼はその中の一人である。
教師からプリントが配られる。そのプリントには進路希望調査と書かれており、よくある進学や就職などの希望を問うものだ。名前の欄に乾 真司と書き、いつものように未定の欄に丸をつける。
教師は提出日を告げた後、
「今は2月、2カ月後には君たちも3年生だ。それぞれやりたいことも決まっているだろう。それぞれの目標に向かって頑張ってほしい。」
そう教室にいる人達に向けてそう述べると、一拍置き、
「じゃあ室長、あいさつ。」
と指示を出す。
丸をつけた紙をしまうと、
きりーつ、さようならー
と、そんな間延びした声が聞こえる。そうして挨拶を済ませた後教室を後にした。
何も考えずに廊下を歩き、昇降口に着く。すると、困った様子でおろおろしている少女がいた。
「何をしているのですか?」
...自分でもどうして声をかけたのか分からない。
「く、靴がないんです。」
少し驚いた様子ながらもその少女の状況を正確に表した返事が返ってきた。
いつもなら適当に「そうですか、頑張ってください。」と一言そう伝えて終わりだろう。しかし、自分にもなぜだか分からないが、
「もしもよかったら手伝いましょうか?」と、そう質問していた。
少女は困惑した様子だったが、次第に顔を明るくし、
「はい、お願いします。」
と小さな、でも確かな声で返事をした。そこでまずは詳しい事情を尋ねた。
・・・少女に聞いた話によると、体育館か更衣室にあるのではないか、とのことだ。それならばと手分けして探すことにした。彼女には更衣室の方を見てきてもらい、俺は体育館の方に向かった。体育館にある下駄箱を見ていると、果たして、小さな革靴が1組あった。恐らく彼女のものであろうと、彼女が更衣室を探し終わりこちらに来るのを待つ。
しばらくすると、彼女が走ってきた。そして息も絶え絶えになりながらもこちらに尋ねてくる。
「更衣室には、なかったのですが、そちらには、靴、ありましたか?」
返事をする代わりに下駄箱に入っている靴を指差す。すると少女は顔に満面の笑みを浮かべて
「ありがとうございました。」と、本当に嬉しそうにそう言った。...なぜだか分からなかった。困惑する俺を尻目に少女はさらに言葉を続ける。
「お礼がしたいのですが、今からお時間よろしいですか?」俺の困惑がピークに達した瞬間であった。
このような稚拙な文章を最後まで読んでくれたことに感謝します。
誤字脱字や日本語としておかしな表現、話としておかしな点を見つけたら指摘していただけるとありがたいです。
次回更新は来週の土曜6月18日の夜9時の予定です。