■42話 出動願い
■――起床――
「ミリア!起きたのね!!」
マーシャの表情が一気に明るくなり、アリアを押しのけミリアに抱きついた。
「うわわっ」
「おっと」
ミリアは、飛ばされてきたアリアをキャッチして頭の上に掲げて抱きついてきたマーシャから少し離れたところに置いた。
「よかった・・・よかった・・・」
そうつぶやくマーシャを、ミリアは優しい笑顔を浮かべ頭をなでながら、
「ありがとうね。マーシャ」
と、言った。マーシャは、無言でそれに答える勢い良く立ち上がった。
「よしっ、それじゃあ。早く連れ戻しに行かなきゃね!あいつの事だからまた余計なことしてるんだろうけど」
アリアも、それを聞き我に返った様につぶれていた状態から顔をあげ、
マーシャの肩に乗っかった。
「待って・・・」
急いで、出ようとしていたマーシャが足を止めて振り返る。
ミリアは、胸の辺りで両手を握り祈るような格好をしていた。
「ヒロシが、どうかしたの?」
ミリアがそう尋ねるとマーシャは、少し顔をしかめた。
本当のことを言うとついていくと言い出しそうだと思ったからだ。
「あんな、ヒロシはんは。シガールの本部があるって言われたところに一人で・・・」
「あっ、バカ」
マーシャはあわててアリアの口をふさいだが、こぼれてしまった言葉はもとには戻らない。
「一人で・・・行っちゃったの?」
そうミリアが、尋ね返したとき、マーシャは大きくため息をつき、
肯定のつもりで一度だけ頷いた。
「そう・・・」
ミリアは、何か考え込むようにしばらく黙ると、ゆっくりとベットから降りはじめた。
「ちょっと、何を考えてるの!あなたは、今、起きたばっかりなんだから。その体ではまだ無
理・・・」
「大丈夫・・・」
ミリアはマーシャの言葉をさえぎりながら、
ベットを降り立ち上がると自分の体を巻いていた包帯を少しめくり傷がふさがっていることを確かめると、
「私は、大丈夫だから行かせて?」
と頬に張ってあったガーゼを思い切りはずした。
ビリッっと音がして傷が完治した頬が現れた。
彼女は、生まれ持った体質か、傷の直りが早かった。
マーシャはそれを見て大きくため息をつくと、きびすを返して部屋を後にしようとする。
「マーシャ!」
ミリアが呼び止めたが、マーシャは露骨にめんどくさそうな顔をしながら、
「許可をもらいに行くのよ。私の出動届けと、あなたの外出許可」
と、もう一度ため息をついた。ミリアはそれを聞いて明るく笑顔を作ると、
「ありがとう」
と、最高級のお礼をした。
対するマーシャは、肩を落としながら、ブツブツとつぶやきながら部屋を出て行った。
「ありがとう・・・」
ミリアは、もう姿が見えないマーシャの背中にお礼を言った。その瞬間、
「あーあ、ヒロシのこと大好きなんだね。ミリアは!!」
と、マーシャの声が大きく響き、ミリアは顔を真っ赤にしながら、扉を開け。
「マーシャ!!」
と、走り去る背中に怒鳴りつけた。
久しぶりだ、バカヤロウ!
なんか見てて恥ずかしいです。
どれだけ下手なんだこれは。