表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/42

第41話:起床

■――日本支部――


「マーシャはーん!!大変、大変やで」


「静かにしなさい。ここは病室よ」


そう、ここはミリアの病室。


ミリアはいまだに目覚めていなかった。


マーシャのその言葉に、アリアは口をつぐんだ。


しかし、すぐに用事を思い出し今度は小さな声でしゃべり始めた。


「そんな事よりも、マーシャはん、ヒロシはん、見てへん?」


「見てないわね。ヒロシがどうかしたの?」


「朝から見あたらへんのよ。まさかとは思うけど・・・」


マーシャは、そのはぐらかそうとした言葉を聞きのがさなかった。


「まさかとはって、何?」


「え?あっ・・・」


「正直に言いなさい。アリア」


「うう・・・」


その言葉に、何も言い返せずにいたアリアだったが、


しばらく問い詰められてとうとう観念したらしく、


昨日の出来事を全てマーシャに話した。


「はぁ、全くなんでそんなことをするのかしら?」


「すみません・・・」


アリアは、ただうなだれて謝るしかなかった。


少し、マーシャは考えてアリアにもう一度尋ねた。


「それで?朝、起きたらヒロシがいなかったのね?」


「あ、そうなんですよ。いつの間にかどっかに行っちゃったみたいで・・・」


アリアは思い出したようにあわてながら、ブツブツとつぶやいていた。


マーシャは、額に指を当てながらまた少し考えると、


「ヒロシの行きそうなところは、見たのね?」


「はい、もうどこを探してもいなくて・・・」


(そうなると・・・)


マーシャは、一番最悪な結論を尋ねた。


「部屋の中にヒロシの荷物はあった?戦闘に向かうときに持っていく物とか」


アリアは動きを止め、しばらくの間考えた結果。


「そういえば、荷物だけ無くなっていたような・・・」


それを、聞いたマーシャは、大きくため息をつくと病室の扉を開けた。


「どこ行くんですか?マーシャはん」


「今から、戦闘地域に向かう許可をもらってくるわ。


昨日あなたたちが聞いた、その場所のね」


アリアが、首をかしげてなぜそうなるのか考えていると、


マーシャは冷たい声で言った。


「あの子はね、予想だけど。その戦闘地域に向かったのでしょうね。


ミリアが運ばれた時、この戦いを早く終わらすとかなんとかいってたから」


その言葉を聞いて、アリアの顔から血の気が引いた。


「そ、そんな。だって・・・そしたら、何でうちのこと置いていったんや!?」


マーシャは、アリアを黙って見つめた後、静かにつぶやいた。


「あなたを巻き込みたくなかったでしょうね。ミリアの事もあるし・・・」


アリアはその言葉に、動揺を隠そうともしなかった。


動揺していたためか、後ろでかすかに動く気配にも気づかず。


「急がないと、あの子、死ぬわよ」


その言葉が、アリアの心に突き刺さった瞬間。


誰もいないはずの後ろから声がした。


今は、眠っているはずの人間の声、背後から。


「ヒロシが・・・どうしたの?」


マーシャは、驚いて目を見張った。


そこには、ベットから起き上がり、こちらをジッと見ているミリアの姿があったから。


「ミリア?」


ポツリと、こぼれるようにマーシャの口から出た言葉に、ミリアは笑顔で答えて、


「おはよう、マーシャ。アリア」


と付け加えた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

感想お願いします。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ