第3話:俺の死んだ日
その日の夜、ミリアに連れてこられたのは車どうりの多い道だった。
俺を車にひかれて死んだことにするらしい。
「本当にそれで大丈夫なのか?」
自分で死にに行くのは、変な気分だ。
「ひかれる瞬間、ミストを張る。それで代わりを置く」
横には俺に瓜二つな、奴が立っていた。うっ、ドッペルゲンガーじゃん。
まあ、あれなら大丈夫か。
そう思って横断歩道の前までやってきた。ドクン・・・ドクン・・・。
心臓の音がやけに大きく聞こえた、赤信号がまぶしく見える。
目の前すごいスピードで走っている。ゆっくりとトラックの前に出て行く、
「キキーーーーーーー」
かなり大きなブレーキ音とともに、トラックのヘッドライトの光が近づいて来る。
これが死ぬ瞬間・・・。そんな考えをめぐらせて目をつぶる。
いつの間にか、周りにいた人の悲鳴や、ブレーキ音が聞こえなくなった。
目をゆっくり開けると、鼻先に当たるかぐらいのところに、トラックのボンネットがあった。
「あっぶね〜」
そうやって立ちすくんでいると、いきなり肩をたたかれた。ビクッっとして振り向くと、ミリ
アが涼しい顔で立っていた。
「早く・・・」
そう言ってグイグイと俺を連れて行く。
俺の代わり(ドッペルゲンガー)がトラックの前へ立った。
人形が立った事を確認すると、時計のような物を服の袖から取り出して、少し動かした。
すると悲鳴と「バンッ」という車にぶつかる音が、聞こえた。
信号待ちをしていた人たちがざわめく、ミリアの目は、始めオレンジだったのだが、今は青い
色に変わっていた。ひかれた俺は血を流しながら、倒れていた。
―――その夜、俺は死んだんだ―――
作:なんか、やっぱりすっきりしないなぁ。
弘:っていうか、なんだよ。あの人形、死んだの?
作:おわっ、なんか出た!
ミリ:私たちは、時々出てくるからそんなにびっくり
しないように。
作:へぇ。便利だねぇ。
弘:・・・俺、無視ですか。