第24話・懐かしき町
■――懐かしきあの町――
ヒロシが目覚めてから数日の間、ヒロシは長期休暇をもらった。
休みといってもヒロシが経験したことの報告などをしなくてはならなくて、
休んだように思えなかった。
アリアも色々と知っている情報を伝える事をしていたが、
プラントのことはあまり分からないようだった。
そして、伝えることも大体終わり、ヒロシの体の調子も戻ってきたころ、
ヒロシはミフィリアに呼ばれ司令室に向かった。
司令室に入ると中ではミフィリアとアリアが真剣に話していた。
「オッス」
ヒロシが軽くあいさつをすると、二人は振り返りアリアはすぐにヒロシの頭の上に乗った。
「久しぶりやねぇ」
「そうだな」
ヒロシはそう答えてアリアの頭を軽くなでた。
アリアは気持ちよさそうに笑うとゆっくりと伸びをした。
すると、ミフィリアがヒロシの前に立ち、
「もう、大丈夫みたいですね」
と明るく笑った。ヒロシはそれに黙ってうなずきミフィリアの顔をジッと見て、
「今回はミッションですか?」
と訊くとミフィリアはそばにあった冊子を手にとって、
「そうですよ。ヒロシさんには、ミッションに行って頂きます」
と、その冊子をヒロシに渡した。
ヒロシはそれを受け取りパラパラと読み始めた。
「今回の場所は日本の・・・」
ミフィリアは説明を始めたが、ヒロシは全く耳に入らず、ジッと冊子を見つめて、
「ここは・・・」
そうつぶやいて冊子にはさまっていた地図を眺めた。
その地図は、ヒロシの生まれた町の地図だった。
アリアはヒロシが不自然なことに気がついて、
「どうしたん?」
とたずねてきた。ヒロシは地図から目を離さずに、つぶやいた。
「俺の・・・もといた・・町・・・」
「えっ」
アリアは驚いて小さく声を上げた。
ミフィリアもその声に気がついて首をかしげてヒロシを見た。
ヒロシは、そのミフィリアの行動に気がついて、
「前、俺が住んでた町なんです」
と話した。ミフィリアは始めは驚いていた顔をしたが、少し影が入り、
「そうですか・・・」
とつぶやいて、考えるように顔に手を当てると、
「それなら、今回のミッションはやめておきましょうか・・・」
と訊いてきたが、ヒロシは首を振って、
「いいえ、やらせてください」
と少し早口で答えた。ミフィリアはまた少し考えて、
「分かりました」
と言ってまた説明を始めた。
ヒロシはその説明を聞きながら家族や学校のことを思い出していた。
いつからだろう・・・家のことを考えなくなったの・・・。
ヒロシはそう考えていることに気がついて、急いでその考えを頭から追い出した。
忘れよう・・・考えるのはやめよう・・・
そう自分に言い聞かせてミフィリアの話に耳を傾けた。
その時後ろからミリアが入ってきて、一緒にミフィリアの話を聞き始めた。
ミフィリアもそれに気がつき、
「今回はまた、ミリアさんと言ってもらいます」
ミフィリアはミリアの事を見て言った。ヒロシはミリアに、
「よろしく」
と笑いかけた。
ミリアは答えずに黙って下を向いているだけで、
ヒロシは不思議そうにミリアを見低たが、
「それでは、おねがいします」
とミフィリアが言って、説明が終わり、3人は司令室を後にした。
そして今ヒロシは、アリアを頭の上に乗せたまま、
いつもの光の扉を作る装置を操作していた。
「久しぶりやねぇ。ミッション行くの」
アリアがそうヒロシに言うと、
「そうだな」
とヒロシは笑って答え、
その間アリアはいつものようにヒロシの髪をいじっていたが、
不意に後ろで静かに黙っているミリアを見て、
「どうしたん?ミリアはん」
と不思議そうにそう訊いた。ミリアは驚いて顔をあげて、
「なんでもない、なんでもないよ」
とあわてて答えて、アリアに笑いかけた。
「本当に大丈夫か?」
ヒロシが光の扉を作り終えて、
振り向き尋ねるとミリアは少し顔を赤くしてまた下を向いてしまって、ミリアは短く、
「うん」
と答えるだけだった。ヒロシは首を傾げたが、
「まあ、いいや。じゃあ行くぞ」
とヒロシは先に光の中に入った。
アリアはとても楽しそうに笑いながら、
ヒロシの頭の上で寝転び足をバタつかせていた。
ヒロシはその光の道をゆっくり歩いてヒロシ達はあの路地に出た。
そこにはすでにミストが張られていて何の音もしなかった。
ヒロシはしばらく辺りを見回していると、
やっとミリアが出てきてミリアも周りを見渡した。
「やっときた?」
ヒロシがそういって笑うと、
「うん」
とミリアが短く答えるだけで、いつものような明るさが無かった。
その様子を見てヒロシは心配になり、
「本当に大丈夫なのか?熱か?」
とミリアの額に手を当てた。ミリアは顔を真っ赤にして、
「大丈夫、本当、大丈夫だから!」
と、ヒロシから距離をとった。そして、ミストが解け始めたころ、
「久しぶりだね。ここ」
とミリアが笑いかけてきた。
その笑顔はいつものミリアの笑顔だったので、ヒロシは軽くため息をつき、
「そうだな。何ヶ月ぶりだろ?」
と動き始めた人々を見た。
ミリアとヒロシはそれぞれ黙って辺りを見渡して、アリアは話に入れず膨れて、
「はよう行きましょ」
とヒロシの頭をぺちぺちと叩いた。ヒロシは、
「あ、ああ」
とあわてて答え、
「じゃあ、行こうか」
とミリアの手をとったが、ミリアは短く悲鳴を上げてそのヒロシの手を払った。
ヒロシはその行動に、目を見開いて、
「どうした?」
と訊いた。ミリアはうつむいたままヒロシに握られた手をゆっくりなでていた。
「本当にどうしたんだ?」
ヒロシは首を傾げて、ミリアはそれを訊くと、
ビクッと体をこわばらせてゆっくりと顔をあげるとヒロシの顔を見た。
「何があったかわかんないけど。いつもどおりにやらないか?って、いうか気にするな」
ヒロシはそう言ってミリアの肩を軽く叩いた。
それをアリアは面白くなさそうに見ていたが、
黙ってヒロシの頭の上で足をバタつかせていた。
ミリアはヒロシの顔を見て、少し考えるように目をそらすと、
「そうね・・・」
と言ってさびしそうな笑顔をした。
ヒロシは何も言わず、ただ、
「おう」
と笑って、またミリアの手を握った。
アリアはそれを見て深くため息をつき、
「まったく・・・。ヒロシはんは、にぶちんやなぁ」
とヒロシの髪の毛を引っ張った。
ヒロシは顔をしかめて痛がると、
「なんでだよ」
と苦笑いしながらつっこんだ。
アリアはその突込みを軽くあしらって、
「そんな事にも気づかないなんてなぁ」
とミリアを見た。
ミリアはそれに気づいて少し顔を赤くして首を振ったが、ヒロシは
「何のことだよ」
と頭の上にいるアリアに訊くと、
アリアは馬鹿にした笑みをうかべて、
「にぶちんのヒロシはんには分からへんよ」
と見下した。ヒロシはムッとして、
「ほら、大通りに出るぞ」
とアリアの首根っこをつかみ胸ポケットの中に入れた。
そして、ミリアの手を握ってひいて歩き、博の生まれた町へ向かった。
マー:じゃあ、いつもどうり
ミフィ:MKS公開コーナー
ヒロ:なんで俺も?
マー:多いほうが楽しいじゃない
ヒロ:そんな理由かよ
マー:じゃあ、今回はウィッチトゥールについてよ
ヒロ:無視かよ
ミフィ:ウィッチトゥールは、時を止める道具です
ヒロ:ミフィリアさんもかい!
マー:あれは、私たちを違う時間軸に飛ばす奴なんだ
ミフィ:その時間軸でシガールが暴れているんです
ヒロ:へー、そうなんだ
マー:シガールがそこであばれるとこっちの世界にも
ヒロ:影響があるのか
マー:そのとうり
ミフィ:だから、それを食い止めるために
マー:私たちが戦うの
ヒロ:結構、重要なんだなぁ
ミフィ:そうですよ
マー:だから、がんばってね
ヒロ:おう