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第22話:最悪の夢

■――悪夢――


「ゴポッ」


ヒロシが目を覚ましたとき、そこはまた真っ暗な空間で、水の中のようだった。


頭の上から少し細い光がさしているので、周りは少し見えていた。


「ボコッ」


水の中のように、息を吐くと泡が出て頭上の光へとあがっていく。


「どこだ、ここ?」


周りを見ながら、あるかどうか分からない道を歩く、


しゃべった声は頭の中に響くようにはっきりと聞こえた。


すると、後ろから一つ足音が近づいて来ることに気がついた。


すぐに振り向くと、足音も一緒に止まり、その先の暗闇から、


「ヒロシ・・・」


とミリアの声がした。ヒロシが黙ってその声がした暗闇を見ていると、


ゆっくりとミリアが出てきた。ミリアの目は今にも泣きそうで、


とても情けない顔をしていた。


「ミリア?なんでここに・・・」


ヒロシがそう言いかけた時、不意にミリアがヒロシの胸の中に飛び込んできて、


「もう・・・心配させないでよ・・・」


ポロポロと涙をこぼしながら、そうつぶやいた。


そして、ヒロシの手をそっと握ってきた。


「あ、ああ、分かった」


ヒロシは驚いてしどろもどろに答えた。


ミリアが人前で泣くところなんか初めて見た。


そう考えたが、ミリアはこぼれてくる涙を手でふき取って、笑顔でヒロシの事を見て、


「行こう、皆が待ってる」


そう言って、ヒロシを暗闇に引っ張っていこうとした。


ヒロシは数歩、引っ張られたが、暗闇の目の前に来て、背筋に寒気がはしった。


ヒロシは、ミリアの手を払って少し後ろに下がった。


「どうしたの?」


ミリアは不安げな顔で首をかしげた。ヒロシはミリアをにらんで、


「お前は誰だ・・・」


と低く強く言った。ミリアはおかしそうに笑って、


「誰って、ミリアだよ。忘れたの?」


とミリアは自分の胸元を押さえて言った。しかし、ヒロシは睨んだまま、


「ミリアは人前で泣いたりしない」


そういうと、ミリアは目を見開いて、


「私だって、そういう時もあるわ!」


と怒ったように言った。ヒロシはそれでも揺るがず、


「ミリアはそんな弱い奴じゃない」


ゆっくり強く言った。ミリアはうつむいて、しばらく黙っていたが、


「フフフ」


と笑い始めた。


そして、だんだんとミリアの声がどす黒い地響きのような声になっていった。


そして、笑い声がやんで、ミリアが顔をあげたとき、


その顔はこの前の夢で見た黒い影の顔になっていた。


ヒロシは黙ってその影を睨んでいた。


「いつ分かった?」


その影は地響きのような声で訊いてきた。


ヒロシは答えず黙っていると、その影はニヤッと真っ赤な口を開き、


「ますます面白い」


そう言って、背中の羽をひろげた。


その羽はかなり巨大で、全てひろげ終えた時、羽が多く舞った。そして、笑いながら、


「お前の心が伝わってくる」


そう言って、影は両手をひろげた。


「何っ」


ヒロシはつぶやくように影に言った。影はジッとヒロシを見て、


「お前は、冷めたような顔をして、怒りには弱いんだな」


そう言って、ヒロシに手を伸ばした。


ヒロシは空間から剣を取り出し影に向かって構えた。そしてその影は、ゆっくりと、


「その体、受け渡す気は無いか?」


と言ってきた。ヒロシは頭が熱くなり、


「誰がそんな事を!!」


と歯をかみ締め、その影に向かって切りかかった。影はまた笑って、


「面白い」


とその影も空間から剣を出した。


そして、羽をもう一度はばたかせると一気にヒロシとの間合いをつめた。


そして、剣を振り上げると真っ直ぐにヒロシに振り下ろした。


ヒロシはその剣を火花を散らしながら受け止めた。


「なかなかだな」


影はそう言って、剣を持つ手に力をこめてきた。


ヒロシはその剣を必死に受けていたが、その剣の形を見て目を見開いた。


その剣はヒロシの持っている剣と全く同じ形だった・・・。影はそのことに気がつき、


「何に驚いている?」


と不思議そうに訊いてきた。


ヒロシは剣を振り払って後ろに飛び、間合いをとった。


「ハァ・・・ハァ・・・」


ヒロシは息を切らしながら影が持っている剣をもう一度、確認した。


しかし、やはり剣はヒロシの持っている剣と全く同じだった。


ヒロシが自分の剣と見比べていると、影は剣を自分の顔の高さに持ってきて、


「これか?」


と不適な笑いをした。そして、剣を軽く振って、


「当たり前だろう、私はお前の影なのだから」


そう言って、ヒロシの影を剣で指した。


ヒロシは、影が指すように自分の影を見て、息を呑んだ。


「なっ・・・」


ヒロシの影は、影の男の足元に伸びてその影の男はそこから出てきていた。


「なんなんだ。お前は・・・」


ヒロシがそう訊いて、半歩後ろに下がると影は少し悲しそうに笑って、


「お前の影だよ・・・」


そうつぶやいて、羽をはばたかせ一瞬でヒロシの懐にもぐり、


「今からは、俺が表だ」


とヒロシに向かって剣を振り上げた。


その剣がヒロシの首に進んでいく。


死んだ・・・。


頭の隅にそんな考えがよぎった時、


目の前に見覚えのある青い球がよぎって影にあたった。


「グ・・・」


影は少し顔をしかめて、ヒロシからすばやく離れた。


ヒロシはその青い球が飛んできた方向を見た。


そこには、ミリアが無表情で立って銃口をヒロシに向けていた。


「ミリアなのか?」


ヒロシはすがるような声をかけてミリアを見た。


ミリアは何も答えずヒロシの前に立ち、影をにらんだ。


ヒロシは、このミリアは本物なのか・・・。という疑問が浮かんだ。


「本物・・・なのか・・・」


ヒロシがそう、訊いてもミリアは何もしゃべらないで、影をにらんでいた。


影はミリアの銃弾が当たった右肩をおさえてうめいている。


そして、影は小さく舌打ちをして、


「いつかまた・・・お前の体もらい受けにくるぞ」


とヒロシをにらんだ。ヒロシがその顔を見た時、背筋に悪寒が走った。


そして影はそのまま、ヒロシの中に溶けていった。


ミリアとヒロシはそれを見て二人とも武器をおろした。


ヒロシはすぐに座り込み息をつくと、


「サンキュウ。助かった」


とミリアに笑いかけた。


ミリアはそれを少し見てすぐに暗闇へ入っていこうとした。


「ちょっと待てよ」


ヒロシがあわててミリアの腕をつかもうとしたが、


触れた時ミリアの腕はスッと透けてまったく触れなかった。


まるで、幽霊のように。ミリアはそのままヒロシを無視して暗闇の中に消えていった。


「なんだったんだよ・・・」


ヒロシはそうつぶやいてミリアをつかもうとした手のひらを見た。


そして、ミリアが消えていった闇を見つめた。


するとそこからまぶしい光が差し込んできてヒロシを照らした。


「なんだ?」


ヒロシがその光に手を伸ばすと急に視界が真っ白になり、体の感覚が戻ってきた。


そしてヒロシはミリアの叫ぶ声で目をあけた。


すると、目の前に今にも泣きそうなミリアの顔があって、


ミリアはヒロシが目覚めたことに気づくと驚いて、ヒロシから離れた。


ヒロシがゆっくりと起き上がると目の前にアリアが浮いていて、


アリアはヒロシの顔を見てだんだん笑顔になっていき、ヒロシの顔に抱きついた。


そして、


「どうしたん?急に倒れたりして」


とアリアはヒロシの目を覗いて訊いた。


ヒロシはおぼろげな目で辺りを見回した。


そこはさっきヒロシが眠っていた部屋だった。


「まったく、あなたは本当に分かりませんね」


ビーズはため息をつき、部屋から出て行こうとした。


「ビーズ!」


ヒロシはあわててビーズを呼び止めて、


不意に浮かんだ質問ぶつけた。


「あのミッションは、どうなったんだ?」


ビーズはその質問に足を止め、暗い顔をして振り向いて、


気まずそうに話だした。


「それは・・・」


「達成した」


いつの間にか、リングが真面目な顔をして入り口に立っていて、静かに話した。


そして、少し顔がかげり、


「しかし、あいつらは助けられなかった」


と低くつぶやいた。


「えっ」


ヒロシは驚いて声を上げた。ビーズはその間に静かに部屋から出て行った。


リングはビーズを黙って見送ったあと、


ヒロシに向き直り一枚のディスクをヒロシに渡した。


それには、乱雑な字で「Y」と書いてあるだけだった。



マー:なんか、すごいことになってるわねぇ


ミフィ:そうですね


マー:なんか、こんなことしてていいのかしら


ミフィ:さあ?


ビー:何言ってるんですか


マー:っていうか、飽きた


ビー:おいっ


ミフィ:じゃあ、組織の説明しましょうよ


マー:いいわね、それ


ビー:待って下さいよ。俺が呼ばれたのは・・・


マー:あー、帰っていいわよ


ビー:ひどっ、扱いひどっ


ミフィ:まあ、諦めてください


ビー:うー


マー:じゃあ、次回から組織の話ね


ミフィ:よろしくお願いしまーす


ビー:俺の来た意味って・・・

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