第2話:サヨナラ
第二話
夕飯を食べ終えベットに寝転ぶ、そしてミリアの言葉を思い出していた。
あれは夢じゃないそれは分かった、でもあの怪物はなんだったんだ・・・。
確か、シガールとか言ってたな。「明日には連れて行く」・・・。
頭の中でミリアの言葉が繰り返される。
「行くかよ、バーカ」
そう壁にはき捨てて、眠りについた。
次の日、いつものように学校に向かう。途中、森内に会い、一緒に登校することになった。
「よっ」
いつもどうりの笑顔、やっぱりいつもどうりが一番いいよな。
「昨日はさ、駅前を歩き回ってみたんだ」
「ふーん」
やっぱり森内との話は楽しい。こんな日が毎日続いてほしい。
そう思いながら話を耳を傾けていた。
「それで、いい古本屋・・・・」
急に森内の話が途切れた。
「どうした?」
顔をあげ、森内を見るとこの前のように色が消え、固まっていた。いつの間にか色が無い空間、ミストの中にいた。
「迎えにきた・・・」
上の方から声がした。上を見上げると、屋根の上にミリアが立っていた。にらみつけて少し後ろに下がる。
「俺はお前とは一緒に行かない・・・」
ミリアは鋭い目つきをして言う。
「これは強制・・・。選ぶ権利は無い」
「俺はなんと言われようと行かない!!」
「逃げるの?抵抗するなら無理矢理でも連れて行く」
屋根から飛び降り、山本の前に着地した。
「何で俺なんだよ!!」
「言ったはず・・・あなたには力があると」
ゆっくりと一歩一歩、近づいてくるミリア。
「今、あなたがここに残れば、あなたの周りの人間が昨日の怪物。シガールに襲われる」
「!!」
あの怪物が・・・。家族が、同級生が、森内が襲われる。脳裏にぐしゃぐしゃになった知り合いの姿がよぎった。
「シガールは世界中に存在する・・・。それをくい止めるために私たちがいる」
「・・・俺が・・・」
「?」
「・・・俺が機関に入れば、誰も襲われないんだな・・・」
「・・・ええ」
少しの間、足元を見つめ考える。
「今日一日、待ってくれないか」
ミリアは少し考える表情を浮かべて、
「分かった」
と短く言いどこかへいってしまった。
「お〜い、どうした?」
森内の声がした。いつの間にか世界の色もいつの間にか戻り、当たり前のように動いていた。
「なんでもない」
そう言って森内との話に戻る。森本は何も無かったように話している。当たり前か・・・何も知らないんだから。
そんな事を考えているうちに学校に着いた、いつもどうりの日常。
これが最後になると思うと、あんだけ嫌だった日常が、いとおしく感じた。
「山本、山本!!」
肩をゆすぶられ、やっと呼ばれていることに気がついた。
「な、何だよ」
「どうした?今日のお前、おかしいぞ」
森内は不思議そうな顔をしてみている。その顔を見るとだんだんさびしくなってくる。もうこれで森内を見ることは無いのか・・・
「笑ってくれないか?」
「はぁ?やっぱお前、おかしいぞ」
「そ、そうか?あははははは」
その日、一日何もかもが新鮮に感じた。そして、あっという間に1日が終わり、夜が来た。家への帰り道、気づかないうちに、ミストの中にいた。来たか・・・。
「時間・・・」
後ろから声がした。振り向くとミリアが静かな顔をして、立っていた。
「分かってる」
そう短く言うとミリアの顔が少しかげったように見えた。
「ひとつだけ願いをかなえるから・・・言って」
悲しそうに言った。そういえば、始めそんな事言っていた事を思い出した。
「じゃあ」
少しの間、どうしたらみんなに心配をかけずにいなくれるか、方法を探した。そしてゆっくり地面に向かってつぶやいた・・・。
「俺を死んだことに・・・してくれ・・・」
ミリアは静かにうなずいた。
なんか、話が急だよなぁ。と、思いながらも直せない・・・。