第12話・外国へ
■――ロンドンへ――
指令室を出た。
ミリアとヒロシはこのアジアMKS機関に始めて入った時の部屋に来ていた。
この部屋に来る途中、ミリアはずっと不機嫌でまったく話を聞いてくれなかった。
そして、ミリアは入り口を作るために、無言でパネルをいじっている。
「なにやってんだ?」
ヒロシが、パネルを覗きながらミリアに聞く、しかし、ミリアは何も言葉を発しない。
まだ機嫌が治らないのか・・・。
ヒロシは大きなため息をつく、何でこんなに怒るんだ?そう考えながら、
「しょうがない・・・」
とミリアに聞こえないようにつぶやいた。
そして、ゆっくりと、頭に中でまとめた言葉を、頭をさげながら、言った。
「ごめん」
こんな言葉しか思いつかなかった、
俺の頭はなんなんだ・・・。つくづく思った。
しかしミリアはすぐに、
「分かった」
と速答して、ヒロシに向かって満面の笑みを向けた。
ヒロシは意外な答えに、ボケッとした顔で、
「えっ」
と思わず声を出してしまった。
ミリアの顔は、その言葉をずっと待っていたかのようだった。
しかし、まだ頭に引っかかっている事があった。
「でもなんで、俺がミフィリアと話しただけで、ミリアに誤らなくちゃいけないんだ?」
ヒロシがその質問をすると、ミリアは少し顔を赤らめて、
「どうでもいいでしょ!!」
と顔を背けた。
ヒロシは首をかしげて、ミリアを見る。
そのとき、入ってきた時に出来た、あの光の扉が現れた。
この前と違うのは、色が白では無く、紫色だった。
「さっ、早く行くよ」
まだ、顔を赤くしながら、光の中に入っていった。
ヒロシも後を追って光に入った。
やはり、その光の扉に入る時、世界が揺れたような感じがする。
そして、光の中を抜けると、また同じような部屋に出た。
「あれ、戻ってきてない?」
ヒロシが訊くがミリアは聞えなかったようで、目の前にあった扉に入った。
ヒロシもその後を追ってその扉を開けた。
その扉の先には天井がかなり高い広い部屋が広がった、
「スゲー」
上を見上げて立ち止まるヒロシ。
ずっと見ていると首が痛くなってしまいそうだ。
その部屋の中には、大勢いの人がいきかっている。
ミリアはその人ごみの中をぬって歩いていく。
あわててミリアの後を、追いかける。
「すいません、ごめんなさい」
人にぶつかるたび、謝りながら進んでいく。
そして、ミリアは壁際にあった光の扉を作る装置のパネルを操作していた。
ヒロシは息を切らして、やっとミリアの所についた。
何でミリアはあんなにスイスイ進めるんだ?言葉にしようとするが、
出来ない。
たぶん、こんなことミリアにはいつものことなんだろうな。
そう思って今抜けてきた人ごみを見た。
「なあ、ここは何処なんだ?」
ヒロシができるだけいい笑顔をして質問した。
ミリアはパネルをいじりながら何食わぬ顔で、
「イギリスだよ」
「へ?」
ミリアのその表情にも驚いたし、サラッと言った台詞にも驚いた。
イギリス?さっきまで日本にいただろ、何言ってるんだ。
首をかしげてミリアを見た。
ミリアはその様子を見てクスッと笑い、
「外に出れば分かるよ」
と柔らかい笑顔をヒロシに向けた。
そして、今度は白い光の扉が出来た。
ミリアはその扉に少し足を入れて、
「行こう」
とヒロシに向かって微笑んだ。
そして、ミリアが入ろうとした時、後ろから、
「ミリアー」
と大きな声で呼び止められた。
ミリアとヒロシはほぼ同時に振り向く、
その、先には白衣を着たミリアくらいの男の子が人ごみを掻き分けながら、走ってきた。
ミリアはその子を見つけるとすごく嫌そうな顔をして見ていた。
その男の子は、かなり息を切らせながらミリアに笑いかけて、
「久しぶりだね、ミリア」
「そうね、ジーク」
乱れた服装と息を整えているジークを、ミリアはとても冷ややかな目で見ている、
しかし、ジークはまったく気づかずに、質問を続ける。
「今回はどうして来たの?」
「ミッション」
ミリアは相変わらず、嫌そうに話す。
「そっか、もしかして僕に会いに来てくれたのかと思ったよ」
そういって、ジークは照れたように頭をかいた。
ヒロシはミリアとジークの顔を見比べて、
「えーと」
この行動からジークはミリアの事を好きだ、
ということは分かってくれたと思う。
「ふーん、お前、もてるんだな」
ヒロシは小声で言いながら、ミリアをひじでつついた。
すると、ミリアは余計に嫌そうな顔をして、
「めいわくなだけ・・・」
とつぶやいた。
そのやり取りを見ていたジークはヒロシの顔を見て、
「彼は?」
とミリアに尋ねた。
ミリアは黙り込んで答えようとしないので、ヒロシがあわてて答えるとになった。
「えと、俺は、や・・・じゃない。ヒロシ・マージ。昨日入団したばかりなんだ」
と、危うく前の名前を言いそうになってしまいながらも、簡単に笑顔で説明した。
ジークは少し驚いたようだったが、ヒロシの顔をまじまじと見て、
「僕はジーク・マイスト、マイスターだ。よろしく」
ぶっきらぼうに、言って、またミリアに明るい笑顔で話し始める、
これは、典型的に「嫌な奴」だな。ヒロシはそう思ってミリアを見た。
これなら、ミリアが嫌がるのもしょうがないな、
ミリアに心の中で、ご愁傷様と拝むヒロシ、すると、もう耐え切れなくなったのか、
こめかみをひくつかせたミリアが
ヒロシの手をとり、
「私たち、急いでるから」
そういって、ヒロシを引っ張って、グイグイと光の扉の中に入った。
すると、ジークはあわてて、
「今度、映画でも行こ・・・」
最後まで聞き取れなかったが、その言葉を最後にジークの声は聞えなくなった。
ミリアはとても疲れた顔をして、大きなため息をついた。
「さっき、デートの誘いをしてたぞ、行くのか?」
とヒロシがからかい半分で言うとミリアは、
「誰が、あんな奴と!!」
と思いっきり怒鳴った。
ヒロシはその反応が面白くて、思わず笑ってしまった。
それを見て、ミリアはジトーっとした目でにらんでいた、
ヒロシはそれに気づき、一生懸命笑いをこらえて、
「そんなに、嫌なのか?」
と訊くと、かなりの大声で、
「当たり前よ!!」
と叫んだ。
ミリアが思いっきり怒っている所を初めて見た。
ちょこまかと動きながら怒っている姿は、リスみたいに見えて少しかわいかった。
そんな風に思いながら、見ていると、
「もうっ、私先に行く!!」
と言ってずんずんと出口に向け歩いていく、
今回の道は、20Mくらいあった。
ヒロシは、小さく笑って、ミリアの後を追いかけた。
ミリアは先に光の道から外に出た、ヒロシも光の扉をくぐって外に出た。
光の抜けた先は薄暗い建物の中だった。
その中には、なんの家具も無く、窓からまぶしい光が差し込んでいた。
ミリアは、ヒロシが出てきたことを確認すると前にあったドアから外に出た。
すると、後ろで、
「シュン」
と何かが消えるような音がした。
振り向くと、今、ヒロシ達が出てきた光の扉がなくなっていて、普通の壁になっていた。
ヒロ:やっぱ、ミリアにも苦手なもんがあったんだな
作:そうだね、これをネタに・・・
ミリ:なにかいいました?
ヒロ:うぉっ、ミリアいったいどこから
ミリ:それより、なにかいってませんでした?
ヒロ:えーと・・
作:逃げよっと、(ソロー)
ヒロ:作者が、なんかミリアを陥れようと、
作:ギクッ
ミリ:なーんーでーすってー!!
作:ヒロシ俺を売るのか!?
ヒロ:まあ、がんばって
作:うぉい!!
ミリ:天誅!!
作:ぎやぁぁぁぁっぁ
ヒロ:作者が昇天したところでまた次回〜
ミリ:あんたもよ・・
ヒロ:えー!俺も!!ぎゃぁぁぁす