第10話・朝ごはん
■――ファーストミッション――
「朝ですよ。起きてください」
体をゆすられた、目を開けると真っ白な天井が眩しかった。
「う、う〜ん」
目をこすりながら起き上がる、周りを見渡すと壁が真っ白な四角い部屋に寝かされていた。
家具は、今寝ているベッドと透明なテーブルしかない。何処だここ?
「やっと、起きましたか」
ため息まじりにミリアが言った。ミリアはベッドに手をつきながら立っていた。
ボーっとミリアの顔を見ていると、ミリアは少し笑って
「抜けている顔をしてますよ」
と立ち上がった。ヒロシもベッドから降りてあらためて周りを見渡す、
「ここ何処なんだ?」
ミリアは冷静な顔でさらりと言った。
「あなたの部屋ですよ」
「へ?」
まだ、頭が寝ているのか、今の状況をよく理解できない。
ミリアはさっさと扉の前に立って、
「朝ごはんですよ、待ってますから」
と出て行ってしまった。意味が分からん、ヨレヨレになった服を整えて外に出た。
ミリアは扉のすぐ横で待っていた。
「じゃあ、行きましょうか」
「行くって何処に?」
首をかしげてミリアに聞くと、ミリアは困ったような顔をして、
「食堂ですよ」
と歩き出した。
そういえば何で今日は敬語なんだ?下を向いて考えていると、ミリアが急に止まりぶつかっ
た、背中の何か硬いものに当たり頭が痛い。
「急に止まるなよ」
そういって、顔をあげるとミリアは真顔で、
「着きましたよ」
と目の前にあった、大きな両開きの扉を開けた。
その扉の上には、「食堂」と書いてあるプレートがかかっていた。
中に入ると、何十人と言う数の人たちが食事をしていた。
その部屋の広さは奥まで100mくらいあり、テーブルが何台も置いてあった。
ミリアはヒロシの横を通り過ぎ、
「それじゃあ、これで」
と、冷ややかな目をして、サッサと歩き出した。
昨日のミリアとは別人のようだ。
ヒロシはミリアの後を、急いで追いかけて、ミリアの隣に座った。
「なんで、ついて来るんですか?」
ミリアがうっとうしそうな顔で、ヒロシを見た。
ヒロシはそんな事は気にせず、顔の前で手を合わせ、
「分かんないから、教えてくれよ」
明るく言うと、ミリアは軽いため息をついて、
「しょうがないですね」
と言って、説明を始めた。その顔は、まんざらでもなさそうな顔だった。
「まず、カードをこのパネルに差し込みます」
と席の目の前にあったパネルを指差し、カードを差し込んだ。
ヒロシも真似をしてカードを差し込む、すると、パネルが明るくなり、様々なメニューが書か
れていた。
「あとは、この中から選ぶだけです」
ミリアは手際よくパネルにさわると、そのパネルの下から、スパッゲティとオレンジジュース
が出てきてミリアはそれをおいしそうに食べ始めた。
ヒロシがその様子を見ていると、ミリアは
「早く、注文したらどうですか」
口の周りにミートソースがついている。
「以外に子供っぽいの頼むんだな」
ヒロシが笑いながらつっこむと、ミリアは驚いて咳き込んだ、
「な、何、言ってるんですか。私は・・・」
顔を真っ赤にさせながら、講義するミリア。
それが面白くて、ヒロシは笑っている。
ミリアはそれを見て、さっきの倍くらいのスピードで食べ始めた。
ヒロシはまだ少し笑いながら、パネルを見た。
書いてある料理名は一気に見切れないくらいあった。
「すごいな、このメニュー」
とミリアに話しかけるが、ミリアは黙々とスパッゲティをかきこんでいる。
怒ったか・・・。
ヒロシがそんな事を考えている間に、ミリアは半分くらい食べ終えていた。
ヒロシも急いで選ぶ。
パッと見た時、ラーメンが目に入ったので、ラーメンを注文した。
すると、すぐにパネルの下からラーメンが出てきた。
「おー」
歓声をあげ、ヒロシが食べようとした時、
「ごちそうさま」
ミリアはもう食べ終わり、紙ナプキンで口の周りを拭き、立ち上がった。
「遅いですよ」
そう、勝ち誇ったような目でヒロシを見て、食堂から出て行った。
「何だよ、あの目」
ヒロシはラーメンをすすりながらミリアを見送った。
「うまい」
ラーメンの味は何処の店にも負けないくらいおいしかった。
「ごちそうさま」
ヒロシは全部食べ終え、自分の部屋に戻った。
作:いいなぁ、朝飯。
ヒロ:かなり、うまいぜ。あれ、
ミリ:本当に
作:俺も食べたいねぇ。
ヒロ:それは、無理な話だな。
作:えー、おごってよ。
ミリ:それはダメ。
作:なんで?
ミリ:規則違反
ヒロ:まあ、あきらめな
作:うぅ。
ヒロ:それでは、また次回。