表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

赤い少女

作者: 江坂蛍

こんにちは。

2作目で短編です。


友達から「赤ずきん」というテーマをもらって書きました。

皆さんに少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。

拙い文ですが、よろしくお願いします。

 目が覚めた。ベッドから飛び起きると、服を着替えて顔を洗った。今日の朝ご飯はパンとベーコンと卵。天気は晴れ。風は程よく吹いていて清々しい。出かける準備をすると、お母さんは赤い帽子を渡してくれた。

「ニーナ、お母さんとの約束ちゃんと覚えている?」

 覚えている。だって何度も聞いたから。

「もちろん!寄り道をしない、つまみ食いをしない、知らない人について行かない」

 ここまで言うと、お母さんはにっこりと微笑み、カバンについた鈴を指差した。

「鈴をしっかりつけること。それから、」

 その次は二人で一緒に確認。

「どんな時でも赤い帽子を取らないこと」


 行ってきますと手を振ると、お母さんは手を振り返してくれた。今日はおばあちゃんの家までお使いをしに行く。カゴの中には今朝お母さんが焼いたパンと、レモネードが入っていた。

 これを持っておばあちゃんの家まで行く。森の中にあるおばあちゃんの家まで、まっすぐ寄り道をせずに行って帰ってくること。それだけでいい。

 近所のおじちゃんに挨拶をして、綺麗な花に水をあげているお姉さんにも手を振る。

 青空の下、小鳥たちが追いかけっこをするように飛んでいく、平和な日。スキップをしながら森の中に入っていく。しばらく歩くと、他のところより薄暗い所へ入る。すると、近くの木に人らしい陰を見つけた。ゆっくりと近づくと、私より少し年上の少年だった。

「やぁ、こんにちは」

 彼は私に話しかけて来た。

「こんにちは…」

 少し警戒しながら挨拶を返す。

 警戒している私の事など無視して彼は話し始めた。

「少し迷ってしまって…君はこれからどこかへ行くの?」

「おつかいなの」

「おつかい?」

 問いかけを一言で済ませて先へ行こうとする私の事を彼は引き止めて質問をしてきた。

「この森を少しいったところに、私のおばあちゃんのお家があるのよ。おばあちゃんは今病気だから、パンとか飲み物とか薬をもっていくのよ。だから急いでいるの」

 そう言って先を急ごうとすると、彼はまた止めてきた。

「ここより奥へ行くの?君一人で?」

「そうよ。悪い?」

 ぶっきらぼうに答えると、彼は少し黙った。するといきなり

「おばあちゃんはお花が好き?」

 と聞いてきた。

「えぇ、好きよ」

 なぜそんなことを聞くのか…しかし、素直に答えた。

「それなら、あっちに綺麗なお花畑があったんだ。少しだけ摘んで行きなよ」

 彼は道から外れた方を指差した。

「ダメよ」

 彼の提案に首を振ると、驚いたふりをして、彼はなぜ?と聞いてきた。

「お母さんと約束したからよ。寄り道をしないことって」

 すると彼はニヤッと笑って私に耳打ちをしてきた。

「寄り道じゃないさ。これはおばあちゃんへのプレゼントを採りに行っただけ。そうだろ?」

「そうかな?」

「そうだとも!」

 やけに口が上手いなと思った。

「…そうね、おばあちゃんもきっと喜んでくれるだろうし…!」

 私は彼の言った通り、道から外れた花畑へ行った。


花畑に着くと、彼はどこかへ行ってしまった。実際のところ、花なんていらない。私に花は似合わない。誰よりも自分がよく知っていた。

彼がいなくなったことを確認すると、私はすぐに道へ戻った。それからまたしばらく歩くと、今度は顔見知りの狩人のおじさんにあった。

「おじさん、こんにちは」

挨拶をすると、いつもの笑顔で挨拶を返してくれた。

「ニーナちゃん、ここは危ないから早くお家に帰ったほうがいいよ」

彼は優しく教えてくれた。また狼が出たらしい。

「大丈夫よ、おじさん。だって私…」

あぁ、と狩人のおじさんは笑った。おじさんと一緒におばあちゃんの家までは行くことにした。


おばあちゃんの家へ着くと、予想通り鍵が開いていた。カゴの中に手を突っ込み扉を開けると、例の少年がいた。予想通りだった。

「こんにちは、お兄さん」

私は彼の後ろから静かに声をかけた。

「あ…あぁ、君は…」

さっきの子だね、と振り向いて言葉を続けようとする彼の額に、カゴから取り出した銃を押し付けた。

動揺している彼はそれでも口を動かす。

「君のおばあちゃん、どこにいるの?僕が来た時にはいなくて…」

その言葉に笑いそうになるのを必死でこらえながら、私は答えた。

「おばあちゃんはね、私のうちでお母さんと一緒に私の帰りを待ってるよ」

確かにここはおばあちゃんの家だ。でもそれは過去のこと。足の悪くなったおばあちゃんは、今は私のうちに住んでいる。お母さんはおばあちゃんの介護で忙しいから、私はお金を稼いでいた。

「お兄さん、運が悪かったね。私はお兄さんをおじちゃんにあげてお金をもらうの」


この村のみんなはとっても仲良しです。みんな赤いものを身につけて、お揃いなんです。この村は森の中にたくさん狼がいるから、赤くなかったら狼です。

私は狼を捕まえて、狩人のおじさんに渡してお金をもらいます。そうすれば、おばあちゃんの病気が治るって偉い人が言ってたんです。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

今回は友達がくれた「赤ずきん」というテーマを元にして書いてみました。狼の少年の元になったのは人狼という例のゲームなのですが、ゲームの雰囲気はあまり出ていないです。最初は本当に人狼っぽくしようと思ったのですが…書いているうちに要素が消えてしまいました。思い通りにはなかなかいきませんね。

数ある中からこのお話を覗いていただいて、本当にありがとうございました。

拙い文でしたが、皆さんに楽しんでもらえていたら幸いです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ