八十九話
各地区の緊急防衛指指定場所では、緊急事態発生を告げる赤色点滅灯が正面パネルの上に点滅をはじめると、オペレーターの叫びが湧いた。
『非常事態発生!! 非常事態発生!!』
その叫びと同時に、凄まじい喧騒が沸き起こった。
各地区の緊急防衛指指定場所に入った一報は、『17地区郵便局前一帯で大規模な爆発が発生 付近一帯は一瞬で炎になった』と、それだけだった
4、50人の人間と100体近い量産型アンドロイドオメガ800が無線、有線などの通信機を引っ切り無しに
かかってくる通信を捌きはじめた。
「爆発の原因はなんだ!? 核か!!」
誰かが叫ぶ様に尋ねた。
「爆発の種類は認別できるかっ!! 核なら放射能は!? あと、核兵器の購入者リストデータを
確認しろっ!!」
別の誰かが叫ぶ様に告げた。
現場では、猛火の中でも泥や血に塗れながら夥しい鬼獣群と17地区住民及びすでに到着していた
増援住民が壮絶な白兵戦が繰り広げていた。
鬼獣にサバイバルナイフを突き刺し、弾丸の補充を叫び、衛生兵を求めている修羅場が出現して
いた。
炎の中で夥しい鬼獣群は走り回り、金属を切るときに出る高く張り上げた鋭い奇声を発しながら、
襲撃を繰り返してくる。
特に、既に到着し鬼獣群と交戦していた増援住民の荒れ方は酷く、昂りきっていた。
また、一部の17地区住民と増援住民がその場から後退しようとしたが、その全員が捕らえられては殴られ、または蹴倒されたり銃床で殴り倒された。
「俺には家族が六人いるっ!! 死ぬ訳にはいかないんだっ!! もうここでの闘いは限界だっ!!
後退されてくれよっ!!」
顔面を血だらけにした男性の増援住民が喚き散らした
「知るかっ!! 後退する場所なんかあるわけないだろ!! 持っている銃は飾りかっ!! 喚いて逃げる
時間があるんだったら、さっさと闘えっ」
17地区の男性住民が鬼の様な形相を浮かべて叫び返した。
「闘うにも弾薬が無いのにどう闘えと言うんだっ!!」
別の増援住民の男性が悲痛な声で喚いた。
「無かったら素手で闘え!!」
17地区の男性住民が喚き返した。
それらの様子を視ていた17地区住民と増援住民が顔色を失った。
素手で闘いを余儀なくされるほどの事態が迫っているのだと受け取った。
さらに、各地区からは許可なく戦闘地域から後退した住民には厳正な処罰を行うという
発表がされている。
逃げ場が無い恐怖が辺りを締め付けた。
17地区住民及びすでに到着していた増援住民が、さらに悲愴な貌を浮かべ動き始めた。
全ての脚は、走り回り奇声を発しながら向かってくる鬼獣に向かっていた。
押し寄せる鬼獣に、数多の重火器類が唸り声を発した。




