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四十四話

 

 ――――では、それらの元凶である尚文露店主はというと・・・

 ただ、淡々と第三者から見れば異様な闘いを繰り広げた。

 しかし、その神業に近いスピードで闘い続けた結果、鬼獣の侵略行動を若干沈滞

 させ、大方の鬼獣群を一掃した事も事実だ。

 だが、この場にいる人々は、尚文露店主の常人離れした疾風迅雷、鬼獣が躱す事も出来ない、勇猛果敢で神速な斬撃に震え上がった。




 尚文露店主は、アスファルトの床に転がってもがいている従来型鬼獣

「ソルジャー」に聖剣を突き刺すと、ポケットから袋に入ったちくわを取り出した。

 それをおもむろに咀嚼する。

 激戦を続けていたわりには、汗一つ流していない。

 しばらくちくわを咀嚼していると、足音静め気配を出来るだけ消して歩いてくる

 一つの影があった。

 その影の正体は、聖剣使用ついて尋ねていた男性店員だ。




「店長、これからどうなされるのですか?」

 静かな声で尋ねてくる。

「鬼獣を駆逐し、ついでに商品を売りに行く」

 男性店員の問いに、尚文露店主はそう応える。

「どちらの方まで?」

 男性店員が再び尋ねてくる。

「ラブホ建設予定地の中だ。こういう時に売りに行かないといつ行けと?」

 ちくわを咀嚼終えると、尚文露店主が応える。




「・・・・あくまで個人的なお願いですが、自重して頂くことはできませんか」

 男性店員が感情を押し殺した声で告げる。

「人類が鬼獣に蹂躙されてもいいなら自重するが」

 尚文露店主は貌をしかめながら応える。

「店長の行動は、想像できないほどの大きな波紋を起こします!!

 事実、店長の行動により、この地域一帯で『何かしら』の 不利益を被って

 います!」

 男性店員は、少し苛立った声で告げるが、人目のあるため『何かしら』に

 ついての説明には向いていないため、話す事はしない。

「俺の目標は、鬼獣一匹(体?)残らず駆逐くする事。

 そして、鬼獣と闘うために客が欲する武器を販売するだけだ。

 自重したら、その分の営業利益は肩代わりしてくれるのか?」

 肩を竦めながら、尚文露店主が応える。




「店長と店には、どんな利益があるんですか! 店長の行動により、この地域一帯

 にどれだけの犠牲が・・・」

 男性店員が、尚文露店主を睨み付けながら血を吐くような声で告げる。

 恐らく、この地域一帯から無線で流れてくる、救援と交戦などの許可を要請を

 間近で聞いたためだろう。

 それらの『元凶』は、間違いなくこの眼の前にいる人物だ。

 そして、『フリーメイソン日本支部』からは、『全て尚文真一郎に従え」という

 厳命が下されている。

 



尚文露店主は、突き刺した聖剣を引っこ抜く。

「俺は、鬼獣共に家族や気の良い友人達を殺された」

 口調は穏やかだったが、圧迫感のある殺気が男性店員にどっと吹き付けられる。

 その殺気に煽られたのか、男性店員はたじろいた。

「・・・・・」

 男性店員は冷汗を流しながら、沈黙する。

「俺は鬼獣一匹(体?)残らず駆逐する。邪魔するならいつでも構わないが、

 その代わりーーーーー覚悟しろ」

 尚文露店主はそう応えた。

 口調からして、並々ならぬ決意がある様子で、、行動自体自重するつもりは無い様子だ。





「・・・わかりました。今尋ねた事は忘れてください」

 男性店員は、再び感情を押し殺した声で告げた。

 その声からして、尚文露店主に自重を促してもそれを聞き入れないため、

 失望と諦めを混ぜた様な声だ。

「さあ、何の事やら。俺はお前さんに「何処のスーパーでちくわが安い?」と

 尋ねただけだろ?

 そして俺は、お前さんに『ちくわの事より事をしてください」と言われた。

 違うか?」

 尚文は口元に笑みを浮かべながら応えた。

「・・・これより、もう一度現状報告と連絡を入れます」

 しばらく沈黙した後、男性店員はそう告げて、尚文露店主から離れていく。

「・・・まだまだ経験不足だな」

 尚文露店主は、男性店員の後ろ姿を見送りながら静かに呟く。

「(ずいぶん前の初期のメンバーなら、もっと突っかかってきたけどな))」

 そう思いながら苦笑いを浮かべる。




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