三十一話
17地区緊急防衛指定場所に建設されている鉄筋コンクリート造り建物内の
指揮所には、設置されている無線スピーカーから騒がしい雑音と同時に流れて
くる声が原因で、緊迫した雰囲気に包まれていた。
一定の場所には中型テレビモニターや通信機器が設置されている。
中型テレビモニターからはリアルタイムで鬼獣群との交戦映像が写し出され
ていた。
映像には、従来型鬼獣「ソルジャー」、猟犬型鬼獣「インベイダー」の大群相手に、一歩も引かず果敢に交戦している17地区住民や増援派遣された日本決死隊の隊員の姿が映し出されている。
「一番から四番のセントリーガンの弾数切れました!!」
遠隔アウトプットされた残弾数の表示されているモニターを見て、血の気の
引いた表情の女性住民が淡々とした声で告げた。
「 『鬼獣ホイホイ』01号が重量数に達成したため、自爆装置が作動
しました!!」
別の女性住民がさらに告げた。
テレビモニター映像では、迷彩服を着込んだ屈強な体格の老若男女が重火器類を使用し、鬼獣群と壮絶な死闘を行っている。
誰も彼もが鬼の様な形相を浮かべ、雄叫びや罵りながら重火器類を使用して
いる。
そして、誰も頭を抱えたりしている者は誰もいない。
「(畜生!! 総員に告ぐっ、総員に告ぐっ、鬼獣が警戒線を超えてきたっ!! これ以上は無理だっ)」
FA-MASをぶっ放している男性住民が貌を蒼白く、恐怖に引き攣った表情を浮かべながら叫ぶ。
「(何しているんだっ!! 撃て撃て撃て撃て――――――っ!!!」
M16に装着しているM203 グレネードランチャーをぶっ放した男性住民がそれに
応える様に叫ぶ。
「(三十メートル前方っ、従来型鬼獣「ソルジャー」多数接近中っ、何とかしろぉっ!! こっちは手一杯だ!!)」
バヨネットを装備したM590をぶっ放している男性住民が応える。
「(うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!! 来るぞぉぉぉぉぉぉ!!)」
ステアーAUGの弾倉を入れ替えていた男性住民が絶叫する。
「(殺せるもんなら殺してみろっ、化け物共がっ!! 我ら人類に敵は無しだということ証明してやんよっ!!!)」
M1911の引き金を絞りながら男性住民が吠える。
「(何をしている神本っ!? 果敢にも程度の問題だというのかわからないのかっ
下がれっ、 神本っ!!)」
バヨネットを装備したM590をぶっ放している男性住民が、M1911の引き金を絞っている男性住民に大声で告げる。
「(おいっ、誰かあの戦闘馬鹿を止めろっ、死んじまうぞ!!)」
M16に装着しているM203 グレネードランチャーをぶっ放していた男性住民が
応える。
「(おらおら!! どうしたどうした、もっと気合入れてかかってこいよ!
まだじじいやばばぁのファックの方が気合が入っているぜっ!!)」
M1911の弾倉を素早く取り換えながら、その男性住民は叫ぶ。
第三者から見れば、違法薬物の禁断症状に陥っている中毒者を彷彿とさせる。
「(神本っ、それ以上突き進むなっ、下がれっ、下がれというのか聴こえないのかっ!!)」
バヨネットを装備したM590をぶっ放している男性住民が、M1911の引き金を
絞りながら、従来型鬼獣「ソルジャー」が群がっている所に突き進んでいる男性住民に告げる。
「(糞がっ!! 指揮所っ、こちら「バシリスク」指揮官、増援はまだかっ!!オーバー!!)」
ステアーAUGの弾倉を入れ替えていた男性住民が携帯無線を使いながら大声で
尋ねる。
「(「バシリスク」指揮官へ、増援はまだ来ない。増援部隊は現在、中央通りで
鬼獣群との交戦を行っているため、まだ時間がかかる。アウト)」
無線からは、無慈悲な返答が返ってきた。
ステアーAUGの弾倉を入れ替えていた男性住民が携帯無線が、さらに何かを言おうとしたとき、凄まじい絶叫が聞こえてきたため、その絶叫が聞こえた方向に
視線を向けた。
「(神本が殺られたぞっ!!)」
M16に装着しているM203 グレネードランチャーをぶっ放していた男性住民が
悲痛な声で叫ぶ。
「(猟犬型鬼獣「インベイダー」が急速接近!!もう限界だ――――――っ!!! )」
バヨネットを装備したM590をぶっ放している男性が悲痛な絶叫を上げた。
交戦している防衛軍に向けて、夥しい数の猟犬型鬼獣「インベイダー」が
凄まじい速度で進撃を開始した。




