一話
「鬼獣の饗宴」と呼称された一連の交戦を経験した彼は、駅前広場に露店を
出しているの露店主に気に入られてしまい、雇用される事になった。
彼は何処かげんなりとした表情を浮かべながら、携帯を片耳に当てながら
ノートパソコンと睨めっこしている人物に視線を向けた。
その人物は、麦わら帽子、派手なアロハシャツ、短ズボンに下駄、
口髭を生やし、黒いサングラスをかけていた。
特にアロハシャツという服装は、この世界では否応なしに目立つ。
だが、この人物こそ彼の雇用主であり、露店の主尚文真一郎だ。
露店内には、大量の木箱が置かれている。
彼が初めて見た時は、背筋に冷たい汗が流れた。
それぞれの木箱には、「AKシリーズ」、「榴弾砲」、「対戦車・対人地雷」、「C-4」などと貼り付けられていた。
もちろん、扱っている商品もそれだけではなく、彼がゲームや映画などで見た事のある銃器類が露店で展示されている。
値段も10円~180円という値段設定だ。
だが、この値段は、この世界のコンビニなどで販売している銃器の値段より少し高めらしく、 この露店で購入する客は、その事に関しては不満を言っている。
「まったく、なんでニューナンブM60が、この店では130円なんだよ、おかしいじゃねえか」
何処か薄汚れた迷彩服を着込んでいる男性客が、真剣に銃器を選んでいる男性客に告げた。
「コンビニだと10円だよな、ニューナンブM60」
告げられた男性客が応えた。
「まったく、ここの露店主はどうかしてるぜ」
客同士の似たような会話を聞きながら、良く思った。
「(それを平然と購入するのもどうかと思うが)」
彼は、携帯で何かを発注している露店主尚文を一瞥し、品出し作業に入る。
仕事をサボるわけにはいかない。
さあ、仕事の時間だ――――
とりあえず、不定期投稿になると思いますが、投稿しました。
なお、露店主のネタなどは、交流させて頂いている
尚文産商堂先生に助言を頂きました。
本当にありがとうございます。