一〇三話
「 「ソルジャー」が来たぞ!! 数えきれないほどいる!!」
MK46 Mod1の引き金を絞っている男性住民が叫ぶ
この場では、各地区から増援として加勢している他地区の住民がメートル単位の距離で壮絶な
死闘が繰り広げていた
建物や部屋に陣取りもしくはスクラップと化している車両に隠れて、押し寄せる鬼獣に銃弾を
浴びせている
頑強に抵抗する住民を追い詰めるように「ソルジャー」の大群は、地下道や下水道を伝い、
後方の建物や窪地、瓦礫の中に入り込んでは金切声を発しながら奇襲を繰り返す
もちろん、防衛側の住民も黙ってやられているだけではなく、「ソルジャー」を発見する
やいなや、 それぞれ手持ちの銃火器類で返り討ちにする
だが、その中では火炎放射を持ち込んだ住民が、負傷者や交戦中の住民ごと生きたまま焼くという
悲劇的な展開もあった
火炎放射を持ち込んだ住民は、苦行に耐える僧侶の如き貌つきで、「ソルジャー」と
負傷者や交戦中の住民を焼く
人が生きたまま焼かれる臭いと「ソルジャー」の焼かれる臭い、そして信じられない光景に
耐えられなかった少数の住民は咳き込んでえずき、薄黄色い液体を吐いている
だが、そんな住民は少数で、その他の大多数の住民は接近し続ける鬼獣に銃弾を浴びせる
銃撃と砲声が絶え間なく続き、腹に響く轟音が辺りの空気を揺るがす
それは紛れもなくM224 60mm 迫撃砲の発射音だった
その他にブローニングM1919重機関銃の斉射もはじまる
それらを使っている住民は、変わった格好をしていた
無線機と暗視スコープまで装備されている強靭な防御力を誇るプロテクトギアで身を固めていた
もし、この場に彼がいれば『あれ? 何処かで観たような記憶が・・」と言うかもしれない
「さすが、物好き集団だ!!」
M27 IARの弾倉を入れ替えている男性住民が掠れた声で叫ぶ
「だが、ぞくぞくとやってきているぞ!」
M249軽機関銃をぶっ放している男性住民がそう応えた
銃口の先では「ソルジャー」がある時は伏せ、ある時は横っ飛びに走り、まるで弾の
合間を縫うような格好で詰め続ける
M249軽機関銃をぶっ放している男性住民の隣では、咳と共に血に染まったタバコを吐き飛ばした
男性住民が喘いでいる
傷口から腸がはみ出しており、瞼の眼には生気がなくなりつつあった
「・・・誰かもう一本タバコくれないか?」
呻く様に尋ねる
「あいにく禁煙して4日目だ!!」
M27 IARの弾倉を入れ替えていた男性住民が、それに応えた
「そいつはツイてるなぁ・・・・」
男性住民が呻いた