一〇一話
輸送ヘリが落ちた情報は、十七地区のある場所にも届けられていた
「注文した弾薬を載せたヘリが墜落しただと!?
新種の鬼獣の攻撃で落ちたのか?
へ? 輸送ヘリが「何が何でも墜落するヘリ」だったと? そんなのに載せた馬鹿は誰だ!?
なに、不明?・・・・
すぐに12地区から借り受けたUH-1やUH-72 ラコタ、HH-60 ペイブ・ホークにまだ
載せていない弾薬を詰め込んで1時間以内に飛ばせと言え!!」
貫禄があるとは言えぬ貌の男性住民が、身体を震わせながら通信機を叩きつける様に置いた
その男性住民は冷や汗らしき水滴を額に濡らしている
「露店従業員が軽々しく、そんなヘマをするようには思えないですよ
あそこの店員の商品に対しての知識は熟知しています。 露店はそのあたりの規律は
厳格ですから」
薄汚れた迷彩服を纏った男性住民が重々しく告げる
「そんな事は誰だって知っている!
どうせ、何処かの馬鹿かその場のノリか何かでワザと載せたに違いない!
後々ですぐに誰か載せたのか明らかになるだろう
・・・それよりも半時間前に18地区の露店で弾薬注文していた樹下から緊急連絡が
届いていたんだ」
冷や汗らしき水滴を額に濡らしている男性住民が深刻な声で応える
「樹下さんからですか? まさか現金持ってなかったとかいう連絡?」
薄汚れた迷彩服を纏った男性住民が少しお道化る様な声で尋ねる
「それなら良かったかもしれないな。
・・・谷原、佐藤、清水がN2地雷、N2爆雷、N2航空爆雷セットを購入して揉めた様だ」
冷や汗らしき水滴を額に濡らしている男性住民が応える
「・・・買出し班では、それらの兵器は購入しないというルールを決めていたのでは」
薄汚れた迷彩服を纏った男性住民が舌打ちをしながら尋ねる
「 「ルールなんて糞喰らえ!!」だとよ
ともかく樹下は小畑と共に、馬鹿3人組と殴り合いをして必死で止めたらしい。
1時間後にはこっちに戻って来る予定だ。 労ってやる暇があればいいんだが」
言葉を失った2人の男性住民の耳に、銃火器類の発砲音や他の住民の絶叫が響き伝わっていた
「弾薬を節約しろ!!」
男性住民がそう叫びながら、今にも食らい付こうとしている「ソルジャー」に
NAA ガーディアン の引き金を絞っていた
オーストリアで開発された汎用機関銃MG74の引き金を絞り、吠えさせている男性住民は
歯を噛み締めていた
「うおいっ!! 「ソルジャー」の他に「インベイダー」も混じってるぞ!!」
FN FALをぶっ放していた男性住民が叫ぶ
「混じっていても気にすんな!!
食いちぎられても、弾薬がある限り撃ち続けろ!!」
AK-47の引き金を絞り、「ソルジャー」に弾丸の雨を浴びせている男性住民がそれに応えた
鬼獣群は、徐々に圧迫を強めてきている
路面には散らばる空薬莢、バリケード代わりにデスクや電化製品が散らばる様に置かれている
その付近には、戦闘用「アンドロイドオメガ」の残骸や引き裂かれ、食い千切られた
住民の死骸も混じっていた
この場は、血の臭いや硝煙、そして油と鉄臭い臭いが入り混じっている
「畜生!! 弾が無くなった!!」
FN FALをぶっ放していた男性住民が罵る様に叫ぶ
「ほらな そんな事があるからコンビニや露店で近接用の刀とか購入しとけって言ったろ!?」
AK-47に新しい弾倉を入れ替えている男性住民が応える
「何が悲しくて、近接用刀を買えと!? 戦国時代じゃあるまいし
それに、その刀は全部手野グループ傘下メーカーじゃねぇか!!」
FN FALを鬼獣に向けて放り投げると、予備に持っていたグロック17をホルスターから取り出し、
安全装置を外しながら男性住民が告げる
「ここにいる奴らは、近接の刀を持ってきているぞ?」
AK-47の引き金を絞っている男性住民が叫ぶ様に応える
「嘘だろ!?」
グロック17を取り出した男性住民は、驚いた声を発しながら付近を急いで見渡すと―――確かに、
ほぼ 全員が近接武器らしきものを取り出して用意しているのがわかった
「弾無くなったら、最期は白兵戦だ!! 覚悟を決めろよ」