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ハッピーエンドの法則   作者: ツンデレ
6/8

act 5

ごめん、……てっちゃん。

無理だよ。



あの言葉が、頭から離れない。

受け入れられない。それを望めない。


「くそっ―――」

受け入れられない、あんな言葉。

何日たった今でも。


分かっている。先に突き放したのは、あの手を放したのは自分。

だから何も言えない。でも、そんな事できるはずもない。

あれから何度だって、電話した。家にだって行った。なのに、乃亜は、姿さえ、見せてくれなかった。

声だって、聞かせてくれなかった。


時間ばかりが二人の間を通り過ぎた。


それでも、あきらめるなんて、出来るはずもなく……。






「鉄?」



気が付いたら、乃亜の自宅へと足が向かっていた。


乃亜の自宅でもあって、仕事場でもある喫茶店の駐車場へと車を止めると、ちょうど店から出てきた琉香が、鉄哉の姿を見つけた。

「乃亜なら今日は居ないわよ」

エプロン姿の琉香は、そんなに時間はないけれど、と、鉄哉に口を開いた。

「病院、今日は検診の日だから」


「検診?」

鉄哉の言葉に琉香はうなずく。本当は、まだまだ口をききたくない、そんな思いも心の中にあるけれど、本当にこの二人が別れてしまえばいいなんて思ってなく、この何日かの間、必死で鉄哉が乃亜に、謝罪の心を見せていたのは見て分かったので、絶対言うなと口止めされていたにもかかわらず、琉香の言葉は滑り出てしまった。


「うん。すぐ近所に、大きな産婦人科病院、出来たでしょ? 乃亜、そこに通ってるの」

言っちゃった、琉香はそんな事を思ってしまったけれど、本当は、そう自分が望んだんだ、そう思った。


行ってあげて。そんな事、間違っても琉香は言わないけれど、その瞳が、それを語っている。

散々、罵倒して、あげくにひっぱたかれたけれど、琉香が自分の味方なのは分かる。


「ありがとう」

するりと出てきたのは、間違いなく心からの言葉。

簡単にいくなんて思ってない。だからこそ、ささいなこんな優しさがうれしかった。


もう、泣かさないで。そんな思いをふくめながら、琉香はゆっくりと頷いた。





「浜崎さん」

「あ、はい」

一時間前から、この待合室で待っていて、やっと名前が呼ばれた乃亜は、ほっと息をついた。

新しくできた事と、産婦人科専門の病院ということで、そこは、人で溢れていた。

でも、やっぱりそれなりの風格はあるのが分かる。

外見だっておしゃれだし、院内の雰囲気だって、なんだかおしゃれ。有名人が通ってもおかしくない様な、そんな感じ。


だけど……。


「あ、はじめまして、椎名といいます」

わ、若い……っ!

若すぎる!


なにこのイケめん先生? 顔で面接OKしたんですか?

こんなのに、私、診察されちゃうの?


「あ、あなたが、担当の先生なんですか?」

乃亜の質問に、その産婦人科医は、当然のように首を縦にふった。

その顔だって、なんだかさわやかだ。


「失礼ですが、お歳は……?」

「今年で三十路になります」

さ、さらりと答えちゃってるけど、若すぎるわよ~~!


じょ、冗談じゃない。

恥ずかしくて絶えられない。


「さ、こちらへどうぞ」


か、かかか帰る~~~~!!!




……To Be Continued…

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