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ロマンピカレスク(悪漢小説)とビルドウングスロマン(教養小説)  厳選30作品。

作者: 舜風人

ロマン・ピカレスクとはスペインで16世紀頃書かれた「ラサリーリョデトルメスの生涯」という


出身が貧しい少年が、放浪して世間の裏表を味わい尽くしながら次第に、


切れ者になっていくという小説をはじめ、そこから派生した似たような筋を持つ小説群をさす。


この系統の有名な小説としては


「マリアンヌの生涯」  マリボー作


「ジル・ブラース物語」ルサージュ作


「デビッドカッパフィールド」


「トム・ジョーンズ」


「モル・フランダース」


「ジムプリチウスの冒険』(阿呆物語)


などがある。


これらは、人間の成長を描いたものとしてのちの、


ドイツ教養小説ビルドウンクスロマンのさきがけをなすものであるが


いかんせん、。ロマンピカレスクは精神的な成長を描き切れたいないうらみがある。


つまり外面的な逃亡や、職業遍歴、泥棒稼業、裏街道、などの人生波乱を点描するだけで


ではそのような事態にどう主人公が精神的な変容を遂げたか、


どう人生を理解したかがほとんど全くえがかれない、


主人公は不幸のどん底に落ちまた偶然這い上がって今度は栄華を極めたり、


結局人生の波にもまれた木の葉のように流されたそれでおしまいということである。


精神的成長もないし、人生論も世界観も変わらない、


ただ少しだけ人生にもまれたこずるくなっただけである。


(「阿呆物語」だけは、多少精神論に及んでいて、教養小説っぽくなっているが)


さてドイツ教養小説も基本的には


主人公が遍歴したり冒険したりして人生経験を積んでいくというスタイルであるが。


そこには人生を生きる道筋というか、


どう生きたらいいか?というコンセプトが主軸となっている。


ピカレスク小説のようにただ押し流されて面白おかしくあるいは苦しみ三昧のきりきり舞いという


波乱万丈物語ではない。


まあ端的に言えば


ピカレスクの筋を借りて、そこに作者の人生論を展開したとでもいえばよいだろうか?



そのドイツ教養小説の元祖は


ゲーテの「ウイルヘルム・マイステルの修行時代」と『遍歴時代』である。


この小説をここでは詳しく述べる余裕はないが、


主人公ウイルヘルムの精神発展過程をを描いた長編小説である。



ここから、触発されて様々な教養小説がドイツではその後作られた。


ドイツ教養小説の系譜、(前史も含めて)



ニーベルンゲンの歌


パルチバル


ジンプリチシムス(阿呆物語)von グリンメルスハウゼン


メシアス  von クロップシュトック


アルディンゲロと幸福の島 vonパウルハインゼ



ヴィルヘルムマイステルの修行時代(これは教養小説を樹立した記念碑的作品です)


ファウスト    ゲーテ


詩と真実 von ゲーテ


青い花    ノヴァーリス


ヒュペーリオン  ヘルダーリン


巨人      ジャンパウル


生意気盛り     〃


フランツシュテルンバルトの遍歴  L,ティーク


ヴィリアム・ロベル氏の話    ティーク


ゴドヴィ、        ブレンターノ


ドロレス伯爵夫人  アヒムフォンアルニム


悪魔の霊液  ETAホフマン


予感と現在  アイヒェンドルフ


画家ノルテン メーリケ


晩夏 (ナハトゾンメル)  vonシュティフター


農夫ウーリ  ゴットヘルフ


天と地の間  ルートビッヒ


緑のハインリッヒ  ケラー


飢餓牧師  ラーベ


貸し方借り方  フライターク


ツアラツストラかく語りき。ニーチェ


マルテの手記  リルケ


ペーターカーメンチント  ヘッセ


シッダルタ


ブッデンブローク家の人々  トーマスマン


魔の山   同上


審判・城・アメリカ  カフカの三部作



フェービアン  ケストナー


特性のない男  ムージル



ジャンクリストフ(これはフランス文学ですがドイツの影響を受けて書かれましたね)


日本では、「次郎物語』『路傍の石」などがありますね。



ドイツ教養小説とは、


自由な自我(自己)が世界に出ていく、人生を生きていくという過程で、


世界をどう理解してどうかかわろうとしたかが問われているということだ。


つまり理想を持って出ていった青年が世界の現実のまえで挫折して、


市民としての分限に安んじるという結末が多いのも特徴だ。


「ウイルヘルムマイスター」では主人公は旧大陸での遍歴生活に見切りをつけて仲間たちと、


新大陸へ渡ろうとするところで終わりとなっている。

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