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銀髪の猫はなにを願う キャラクター&設定ガイド  作者: 熊猫


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22/22

ラルガス・ディエン王設定資料 ※ネタバレ含みます

挿絵(By みてみん)

■ ラルガス・ディエン王

 

挿絵(By みてみん)

 

※この項目には、レオーネ王国編周辺の内容が含まれています。

 

***

 

基本情報

 

名前:ラルガス・ディエン

年齢:42歳前後

立場:レオーネ王国国王

印象:冷酷な暴君ではなく、民の安定のために私情を切り捨てた名君。

 

民から見れば、ラルガス王は非常に優れた王です。

飢えを減らし、治安を整え、政治腐敗を抑え、国家を安定させている。

私欲で国を動かすこともなく、贅沢や感情で判断を歪めることもありません。

 

ただし、その正しさの代償として、王宮内部では人間の「個」が徹底的に削られています。

 

***

 

外見

 

鉄灰色の髪を一分の乱れもなく整えた、長身痩躯の王。

蒼灰色の瞳は澄んでいますが、そこには怒りも愛情も映りません。

端正な顔立ちは、民に清廉な名君を思わせます。

しかし近くで見る者は、その表情の少なさに息苦しさを覚えます。

 

深紺の王装に白銀の外套をまとい、細い銀冠を戴いています。

その姿は豪奢ではなく、むしろ禁欲的です。

王という役割そのものが、人の形を取ったようにも見えます。

42歳時点のラルガス王は、老王ではありません。

肉体的にも精神的にもまだ現役であり、国家の中枢として完成している時期です。

剣や武力で威圧する王ではなく、沈黙と命令だけで王宮全体を動かすタイプの王です。

 

***

 

統治思想

 

ラルガス王の視点は、徹底して民の安定に集約されています。

 

国は民のためにある。

民が飢えず、怯えず、豊かに暮らすこと。

それこそが国家の存在理由である。

 

ラルガス王は、本気でそう考えています。

 

しかし、民は感情に揺れます。

だからこそ、王は揺れてはならない。

王とは国家を支える柱。

柱が傾けば、屋根も壁も、そこに暮らす民もすべて潰れる。

そのため、王や政治に関わる者にとって、情や愛情は判断を濁らせる不要なものとなります。

 

ラルガス王は、それを「ノイズ」と見なしています。

 

彼にとって、

 

名前。

願い。

愛情。

過去。

誇り。

誰かを特別に思う心。

 

これらは、美しいものではあっても、統治においては不純物です。

個が揺れを生み、揺れが歪みを生み、歪みが腐敗を呼び、腐敗が国家崩壊へ至る。

だから、王宮において個は不要。

 

必要なのは、役割と機能だけです。

 

***

 

王宮制度

 

ラルガス王の王宮では、臣下が名を名乗ることを禁じられています。

城内では名前ではなく、役割と番号で呼ばれます。

 

例:

侍女1

兵士1

文官1

侍女2

兵士2

 

これは単なる管理制度ではありません。

ラルガス王の思想そのものです。

 

妃は妃。

臣下は臣下。

文官は文官。

兵士は兵士。

 

その者が何を願うかではなく、どの役割を果たすかが価値を決めます。

外から見れば、王宮は清廉で秩序正しい場所に見えます。

けれど内側では、人の名前と過去と願いが、静かに剥がされていきます。

 

***

 

人物性

 

ラルガス王は、自分を悪だとは思っていません。

むしろ、本気でこう考えています。

「私が冷酷であるからこそ、国は安定する」

「私が個を切り捨てるからこそ、民は守られる」

普通の王なら、理屈では分かっていても実行できません。

 

目の前で泣かれれば揺れる。

名前を呼ばれれば揺れる。

愛情を向けられれば揺れる。

 

だが、ラルガス王は揺れません。

 

民の安定という一点のために、普通ならできない冷酷な選択を本当に実行できてしまう。

それが彼の王としての強さであり、ファナたちにとっての恐ろしさでもあります。

彼は残酷さを否定しません。

 

「残酷? それで結構。

国を守れるのであれば、情などいらぬ」

 

そう言い切れてしまう王です。

 

***

 

ファナへの認識

 

ラルガス王にとって、ファナは一人の女性ではありません。

王国に価値をもたらす存在です。

民が喜び、国が安定するなら、ファナの個や願いは不要だと考えています。

彼の中では、ファナを傷つけているという認識は薄いです。

 

むしろ、

妃として役割を与えた。

民の幸福に貢献させた。

国の安定に価値を持たせた。

 

という冷たい理屈になります。

ファナにとって、ラルガス王は男でも夫でもありません。

国家そのものが人の形を取って迫ってくる存在に近い人物です。

 

***

 

セレーナと双子の片割れ

 

ラルガス王は、セレーナの実父です。

ただし、現在のラルガス王は、ファナもセレーナも死亡したと思い込んでおり、その認識を疑っていません。

一方で、ラルガス王の手元には、セレーナの双子の片割れにあたる少女が残されています。

 

その子は名前を与えられず、王宮の中で「役割」として育てられています。

セレーナが、ファナや周囲の愛を受けて育つ存在なら、もう一人の子は、名を奪われ、役割として育てられる存在です。

 

ここには強い対比があります。

 

名前を与えられた子。

名前を与えられなかった子。

 

愛の中で育った子。

役割の中で育てられた子。

 

この違いは、ラルガス王の思想が王宮制度だけでなく、子どもの扱いにまで及んでいることを示しています。

 

***

 

レオーネ王国の紋章

 

レオーネ王国の紋章は、深紺の盾を地に、白銀の獅子が一本の柱を抱く意匠です。

獅子の足元には三本の麦穂が交差し、盾の上には細い銀冠が置かれます。

白銀の獅子は、王家と守護。

柱は、国家を支える王。

麦穂は、民の安寧と豊かさ。

細い銀冠は、華美ではなく役割としての王権を示します。

 

外からは、清廉な善政の象徴に見えます。

 

しかしラルガス王の思想を知る者には、個を柱へ縛る冷たい秩序の印にも見えます。

 

***

 

ラルガス王まとめ

 

ラルガス王は、民を守る王としては正しい人物です。

冷静で、有能で、私欲がなく、国家を安定させる力を持っています。

だがその正しさは、人間の名前や愛情や願いを切り捨てることで成立しています。

 

彼は民を愛しているというより、民の安定を王の責務として背負っています。

だからこそ、ラルガス王は単純な悪ではありません。

 

むしろ、王として正しすぎるほど正しい。

ただしその正しさが、王宮の中にいる一人ひとりを静かに壊していきます。

 

一言で表すなら、

「国を守るために、人間性を統治から排除した王」

それが、ラルガス・ディエン王です。

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