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銀髪の猫はなにを願う キャラクター&設定ガイド  作者: 熊猫


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ヴェルナ・クローデル(Verna Crodel) (初出 第三部 四十五章~) ※ネタバレ含みます

挿絵(By みてみん)

■ ヴェルナ・クローデル(Verna Crodel)

 

挿絵(By みてみん)

 

基本情報

 

名前:ヴェルナ・クローデル

英字表記:Verna Crodel

年齢:20代後半〜30代前半に見える

性別:女性

身長:170cm前後

所属:不明

役割:観測者/舞台袖の処理者

 

黒と深紫をまとった、謎めいた貴婦人。

表向きは親しみやすく、柔らかな物腰を持つ女性ですが、その本質は、舞台の近くに紛れ込み、人が自ら選び、進み、崩れていく様を見届ける観測者です。

自ら事件の中心に立つことは少なく、誰かを命令や支配によって動かすこともしません。

ただ、必要な情報を必要な場所へ置き、相手が何を選ぶのかを静かに見ています。

 

***

 

人物概要

 

ヴェルナは、近寄りがたい冷たい美女ではありません。

むしろ、第一印象は親しみやすく、話しかけやすい女性です。

 

柔らかな微笑み。

穏やかな声。

相手を否定しない聞き方。

自然と隣に立っても違和感のない空気。

 

そのため、彼女は人の懐へ入り込むことができます。

相手に警戒心を抱かせず、自然に会話へ混ざり、相手が自分から言葉を続けてしまうような空気を作る。

ヴェルナの怖さは、最初から恐ろしい人物に見えることではありません。

むしろ、感じのいい人だったからこそ、誰も彼女を疑わない。

そして後になってから、

「あの人は、どこまで知っていたのか」

「あの時、何を見ていたのか」

「なぜあの場所に自然にいたのか」

と気づかされるところにあります。

 

彼女は、影に隠れるのではありません。

人の中に紛れ、見えているのに誰も気にしない存在になることで、舞台を観測します。

 

***

 

思想

 

ヴェルナは、人を直接操ることを好みません。

命令。

洗脳。

強制。

支配。

 

それらによって作られた破滅には、彼女は美しさを見出しません。

彼女にとって重要なのは、相手が自分の意思で選んだと言えることです。

誰かが欲しがる情報を与える。

相手が望む選択肢を見せる。

そのうえで、何を選ぶのかを見届ける。

 

破滅とは、押し付けられるものではなく、その人物自身の欲望、誇り、判断、選択の果てに訪れるもの。

ヴェルナはそう捉えています。

 

だからこそ、彼女は基本的に舞台の上へ直接立ちません。

役者が役者として選び、進み、崩れていくことを見届ける。

その過程こそが、彼女にとっての観測対象です。

 

ただし、舞台に上がった者が、自ら招いた幕切れから逃げようとした時だけは別です。

その瞬間、ヴェルナは観測者ではなくなります。

彼女は幕が降りた後に残されたものを片付ける、処理者へと変わります。

 

***

 

性格

 

穏やかで、品があり、親しみやすい女性です。

人当たりは柔らかく、相手に圧をかけません。

話し方も丁寧で、声を荒らげることはほとんどありません。

 

相手の言葉を遮らず、否定せず、自然に続きを促します。

だからこそ、人は彼女に話してしまう。

弱音。

本音。

欲望。

不安。

誇り。

隠していたはずのものが、気づけば言葉になっている。

 

ヴェルナは、それを静かに聞いています。

同情しているようにも見える。

理解しているようにも見える。

けれど、その奥で何をどこまで見ているのかは分かりません。

 

彼女は冷酷な人物ではありません。

しかし、必要になった時には、感情ではなく役割として動くことができます。

怒りや憎しみで手を下すのではなく、

「幕が降りた後に残ったものを片付ける」

という感覚で処理を行う人物です。

 

***

 

観測者としての在り方

 

ヴェルナの観測は、遠くから冷たく見下ろすものではありません。

彼女は舞台の近くに立ちます。

観衆の中に紛れます。

社交場の会話へ自然に混ざります。

客席、廊下、舞台袖、控室。

どこにいても、そこにいることが不自然ではない女性として振る舞います。

 

彼女の隠密性は、姿を消すことではありません。

見えているのに、誰も気にしないこと。

これが、ヴェルナの観測者としての強みです。

 

近寄りがたい美貌や冷たい威圧感があれば、人は警戒します。

けれどヴェルナは、感じのいい貴婦人としてそこにいる。

話しかけやすい客としてそこにいる。

控えめな記録係としてそこにいる。

 

そのため、人は彼女の前で油断します。

そしてヴェルナは、会話、視線、沈黙、呼吸、指先の揺れ、逃げ道の選び方まで静かに見ています。

 

***

 

衣装

 

ヴェルナの衣装は、黒から深紫を基調としたゴシック調のドレスです。

仮面舞踏会。

劇場の幕。

舞台袖。

夜の客席。

 

そうしたものを思わせる、上品で少し妖しい装いをしています。

豪奢な外衣は、観測者の貴婦人としての姿です。

幾重にも重なるレース。

深紫のドレープ。

銀や淡い金の装飾。

仮面や劇場チケットを思わせる小物。

 

しかし、その外衣は単なる飾りではありません。

ヴェルナは、その下に即応できる細身の黒衣を着込んでいます。

外側のマント、重いドレープ、過剰な装飾は、必要になれば短時間で外せる構造になっています。

 

外衣を外した時に現れるのは、戦闘服ではありません。

暗殺者の装備でもありません。

それは、幕が降りた後に残されたものを片付けるための礼装下地です。

 

外衣は、観測者の貴婦人。

内装は、幕引き後の処理者。

 

ヴェルナは、着替えてから動くのではありません。

最初から、処理できる格好で舞台を観ています。

 

***

 

外見

 

髪は黒紫の長いウェーブロング。

暗がりでは艶のある黒髪に見えますが、劇場の灯や月光、魔法光を受けると、深紫から赤紫の艶が浮かびます。

基本的には腰近くまである長い髪を下ろしていますが、一部を髪飾りや細い鎖で留めています。

普段は柔らかく親しみやすい印象を作る髪型ですが、必要な時には片側へ流す、低い位置でまとめるなど、視界と動きを妨げない形へ変えられます。

 

瞳は、葡萄酒色の深紫。

短く描写する場合は「葡萄酒色の瞳」。

普段は穏やかで、親しみやすい赤紫がかった紫眼に見えます。

しかし、観測者から処理者へ切り替わる瞬間、その瞳から揺らぎが消えます。

葡萄酒の底のように深く沈み、感情の奥が読めなくなるのです。

 

体格は細身でしなやか。

戦士のような筋肉質ではありませんが、無駄なく動ける身体をしています。

立ち方や歩き方には、訓練された者の安定感があります。

 

***

 

象徴モチーフ

 

・劇場

・舞台袖

・仮面

・幕

・観衆

・深紫

・葡萄酒

・黒紫の髪

・劇場チケット

・レース

・銀鎖

・灯の消えた客席

・幕引き後の静けさ

 

***

 

ゼルハルトとの関係

 

ゼルハルト・ヴェルンハルトは、自分自身を舞台を作る側の人間だと考えていました。

自分が国家を設計し、王国を正しい形へ導いている。

自分こそが、国家という作品の完成者である。

彼は本気でそう信じていました。

 

しかし、ヴェルナから見れば、ゼルハルト自身もまた舞台の上に立つ役者の一人でした。

ヴェルナがゼルハルトにしたことは、彼が望む情報を与えたことです。

彼が欲しがる材料を、彼が欲しがる形で差し出した。

 

けれど、最終的な判断を下したのはゼルハルト自身です。

選んだのもゼルハルト。

進んだのもゼルハルト。

崩れていったのもゼルハルト。

 

ヴェルナは、彼を完全に操ったわけではありません。

彼の思想、欲望、自尊心、理想が、彼自身を破滅へ導いていく過程を見ていました。

ゼルハルトは、ヴェルナを懐に入れたつもりでした。

親しみやすく、自分を理解してくれるように見える女性として、近くに置いた。

 

しかし実際には、ヴェルナの方がゼルハルトの内側に入り込んでいました。

彼は舞台を作っているつもりだった。

けれど、ヴェルナにとっては、彼自身が舞台に立つ役者でもあったのです。

 

***

 

物語上の役割

 

ヴェルナは、単純な黒幕ではありません。

彼女は事件の中心に立って全てを操る人物ではなく、誰かが自分の意思で選び、進み、崩れていく様を見届ける存在です。

 

そのため、彼女の関わる物語では、破滅が一方的に押し付けられるものではなくなります。

誰かが何かを望んだ。

そのために情報を求めた。

得た情報をもとに判断した。

そして、自らの意思で道を選んだ。

 

ヴェルナは、その選択を見ています。

 

彼女の存在によって、黒幕だと思われていた人物すら、さらに大きな舞台の上にいたのではないかという構造が生まれます。

ただし、ヴェルナ自身が全てを奪うわけではありません。

主役の選択も、敵の判断も、物語の決着も、それぞれの人物のものとして残ります。

ヴェルナはそれを見届け、幕が降りた後にだけ、必要であれば静かに現れるのです。

 

***

 

一言まとめ

 

ヴェルナ・クローデルは、親しみやすい微笑みで人の懐に入り、舞台の近くから選択と破滅を見届ける観測者です。

近寄りがたい冷たい美女ではありません。

むしろ、感じのいい貴婦人として自然にそこにいるからこそ、誰も彼女を警戒しません。

 

彼女は人を操りません。

ただ、相手が望む情報を与え、選ぶ瞬間を見ています。

 

そして、舞台から逃げようとした者が現れた時だけ、観測者から処理者へ変わります。

その時になって初めて分かるのです。

親しみやすい微笑みの内側には、最初から幕引き後のヴェルナがいたのだと。

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