不幸の数式
不幸の数式
あなたは見る、この数式を。
これは果たして、数式なのか。
ある人は言う、数式だと。
ある人は言う、数式ではないと。
あなたはなんて答えるの?
あなたはどう答えるの?
さあ、答えを書いてみよう。
百ー一
***
「ねこ」
使用人かつ数学教師の葉沙実の部屋に来るなり、亜豆がつぶやいた。
「どうしたの?」
「えー。猫欲しい」
亜豆がため息混じりにつぶやくと、葉沙実の椅子に腰掛けた。
「なーんちゃって。事件だ、事件」
事件。
どうしたのだろう。
亜豆は葉沙実の椅子でクルクル回り出した。
「不幸の数式が回ってる」
亜豆の口から出た言葉に葉沙実は驚いた。
不幸の、数式?
「葉沙実。追いかけにきてね」
亜豆はそういうと、バッと走り出した。
気がつけば亜豆の服は白と黒のボーダーになっていて、罪人のようだった━━━━。
***
目覚まし時計が鳴る。
窓から光が差し込む。
朝だ。
「さっきの、夢?」
葉沙実はむくりと体を起こし、つぶやいた。
なんとも奇妙な夢だ。
数式に追いかけ回されたり、議論したりしたことはあったけど…。
亜豆に話してみよう。
着物を着込み、亜豆に会いに行こうとしたところ、校長に捕まった。
「亜豆が行方不明だ」
え、と掠れた声が喉から漏れた。
校長は眉間に皺を寄せており、深刻な表情をしていた。
「先生の間で不幸の手紙らしきものが回っている。
問題が書かれているらしいのだが、全員がいなくなっているわけではないんだ」
校長が顎に手を当てる。
校長が言いたいことを理解した。
亜豆がその手紙を受け取り、行方不明になったのではないかと━━━━━。
葉沙実は動揺していた。
ついに、ついに、きた。
私のところに、あと人が。
「ありがとうございます。探します」
葉沙実は心配で胸がいっぱいになっていたが、同時に興奮もしていた。
葉沙実は急いで職員室へと向かう。
葉沙実の机にあったのは、不幸の手紙だった。
ざらざらとした材質の封筒。
亜豆をどうしたら助けられる?
葉沙実は急いで手紙を開ける。
遠くで、にゃあお、と猫の声がした。
ここは、大規模な屋敷に位置する学校。
謎や噂が渦巻き、飢えている。
〔次編に続く〕
今回は少し短めです。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
これからもよろしくお願いします。(大規模な事件に向けての導入ですので、物足りないかもです)