第七話『砂漠・・・それはリアルでは割とヤバい地域・・・でもファンタジー世界なら問題ないと思います』
私達は南西へ馬車を走らせ、砂漠の入り口に到達した。
ライオス「馬車はここまでだ」
アリッサ「ここから砂漠地帯に行くとなると『アクアトレッキング』を使っていく必要があるわね」
ライオス「いやぁお金に余裕があるし『サンドルフィン』でも良いと思うけど」
美久「えっと・・・なにそれ?」
アリッサ「『アクアトレッキング』は水魔法のベールに包まれながら徒歩で移動するのよ」
美久「へぇー・・・サンドルフィンって言うのは?」
ライオス「えーっと・・・あぁあれだ」
ライオスさんが指さした方向にはそこそこ大きい店があり、数体のイルカっぽいのが砂に浮いてリードのようなので繋がれていた。
ライオス「あの生き物でソリに引っ張ってもらうんだよ」
美久「おぉー・・・結構かわいいかも・・・あれにしましょう!」
そうして私達は店へと向かった。
****
店主「お、いらっしゃい!アクアトレッキングかい?それともサンドルフィンかい?」
ライオス「サンドルフィンを3人ね」
店主「あいよーサンドル三つー!」
店の外の声「あーい!」
そして店主さんはソリを持ってきてその紐をサンドルフィンに括り付ける。
そしては代金を置いた。
店主「うちのサンドルフィンはしつけが行き届いてるから安心して乗ってってちょうだい!動かし方はパシンとやると進んで左右に引っ張って方向転換、両方引っ張って止まる、じゃあいってらっしゃい!」
ライオス「ありがとー」
アリッサ「ありがと」
美久「ありがとうございますっ!」
店主さんは店へと戻っていった。
****
サンドルフィン「キューン♪」
美久「よしよーし♪」
アリッサ「じゃあ行きましょうか」
ライオス「そうだね、ハイヨッ!」
ペシンッ
サンドルフィン「キュキューンッ!」
ライオスさんが手綱を叩くとサンドルフィンが砂を泳ぎ出してソリは動き出した。
美久「わぁ~・・・♪きもちい~♪」
ライオス「いやぁ2回ぐらいしか乗ったことなかったけどやっぱり良いね」
アリッサ「言われてみればそうね、でも中々便利ね」
ライオス「えっとアグナマタルの場所は・・・」
サンドルフィン「キュィー!」
ライオスさんが周囲を調べようとするとサンドルフィンが『こっちだよ』とばかりに泳いでソリを誘導し始めた。
ライオス「お、案内してくれるの?ありがとな」
美久「イルカだけあって賢いんですね」
アリッサ「賢いからこそ人を乗せる事が出来るのよ」
そしてしばらく進んでいったのだがふと視界の横に誰かが立っていた。
美久「あっあそこに誰かいる?」
ライオス「んっ?ほんとだ、こんな場で何を・・・」
ドオオオォォォッ!!
突如地響きがしたと思ったら砂からでかく長い蛇が飛び出した。
美久「わぁーっ!?」
ライオス「っ!?サンドサーペンド!?」
サンドルフィン「キューンッ!?」
私達は驚いたがサンドルフィンも驚いていた。
アリッサ「っ!あの人に向かってきてる!!」
ライオス「まずいっ!!」
私はサンドルフィンから飛び降り、籠手をプロペラ状にして飛んでいった。
美久「助けますー!!」
私は叫びながら飛んでいった。
バッ!
立っていた人・・・マントを着ていた男性が両手をサンドサーペントに付き出した・・・ってよく見たら両手にピストル持ってる・・・?
そう思った瞬間ーー
ズダダダダダダダダダダダダダダダ
とんでもなく猛烈な勢いで弾丸がサンドサーペントに撃ち込まれていった。
あまりの弾幕にサンドサーペントは宙に舞っていく・・・
てかなんで無駄にジャンプしたりポーズとってたりしてんの・・・?
サンドサーペント「ジャウャアアアアアアアッ!?」
ズウゥゥンッ!!
そうしてサンドサーペントは砂に落下した。
美久「おおぉぉ・・・」
ライオス「大丈夫・・・だったみたいだけど・・・」
アリッサ「まさか貴方・・・『無尽の魔法弾』の『デルタ』!?」
美久「むじん・・・?」
アリッサ「ええ、彼の異名よ・・・1年程前から突然現れて冒険者として腕を上げている人物で・・・」
サンドルフィン「キューン♪」スリスリ
デルタと呼ばれた人はピストルをしまって私達へと近付いた。
デルタ「・・・お前達も突然変異の魔物を倒しに来たのか?」
ライオス「あ、ああ・・・そうだけど・・・」
デルタ「そうか・・・」
そう言って去っていこうとしたので私は声をかけた。
美久「あのっ!」
デルタ「・・・なんだ?」
美久「目的が一緒なら一緒に行きませんか?」
デルタ「・・・別な意味で後悔するぞ・・・」
美久「別な意味?」
デルタ「しばらく俺と同行すれば意味がわかる」
美久「はぁ・・・」
かくして私達はアグナマタルに到着した
***
美久「大きいオアシスに街があるんだね」
アリッサ「噴水が出てそれほど暑くないわね」
ライオス「でも砂漠だから日差しは強いけどねぇ」
デルタ「ギルドに行って詳細を聞きに行くぞ」
受付嬢「・・・はい、確かに突然変異の魔物は出現しています、ここから北東の『蠱毒のオアシス』から出現しています」
美久「蠱毒のオアシス?」
ライオス「聞いたことがある、毒を扱う魔物がうようよいるそうだ」
アリッサ「毒を持つ魔物は危険ね、解毒剤を用意した方がいいわよ」
受付嬢「はい、ギルドの方でも支給させていただきます、こちらを・・・」
そう言って受付嬢は解毒剤の薬瓶を10本渡してきた。
美久「おーこんなに・・・」
デルタ「それ程までに強い魔物がいるということだろう・・・」
ライオス「一通り準備をしたら行こうか」
****
蠱毒のオアシスへ向かう途中にて・・・
アリッサ「とりあえず共に戦うなら心強いけどミクのスキルについて教えないと」
デルタ「ミク・・・?」
美久「あっはい、私は・・・」
私はデルタさんに私のスキルについて説明した。
デルタ「なるほど・・・つまり『鼓動のビート』と言うのに合わせると音が鳴り、技の威力が上がるわけか」
美久「はい、そうなんです!」
デルタ「・・・やってみてくれ」
美久「あっはい」
私は鼓動のビートのボリュームを上げ、ベース音をデルタさんに聴かせる。
デルタ「・・・」
ダンッダンッダンッ
デルタさんはテンポに合わせてピストルの引き金を引いて弾を放っていくとドラムの音が鳴り響いた。
デルタ「・・・なるほど」
美久「どうでしたか・・・?」
デルタ「理解できた、礼がわりに俺のスキル【バレットストーム】について教えてやる」
そう言いながらデルタさんはピストルの狙いを岩に向けた。
ダンッ
ピストルの銃口が光ると弾丸は岩に当た・・・ってない!?
デルタ「普通はこんな具合に弾丸を放っても命中せず消える、だが俺の意思で『ロックオン』すると・・・」
ダンッ
またピストルの銃口が光り、今度は岩に弾丸が命中してめり込んだ。
デルタ「このように直撃する」
美久「ロックオンってことは追尾するの?」
デルタ「いやしない、味方に誤射しない為のスキルだ」
そんな会話をしていき、蠱毒のオアシスに到着した。
アリッサ「着いたわね」
美久「くしゃい・・・」
ライオス「長居するべきじゃなさそうだね・・・」
デルタ「目に染みる・・・とっとと片付けるぞ」
そうして私達はオアシスの探索を始めた。