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第二話・2『ベース音に合わせて敵を倒すだけの楽しい(比喩無し)お仕事です』(後編)

美久「すいませーん、また依頼を受けたいんですけど」

受付嬢「あら、先程達成したばかりなのにまた受けるんですか?熱心ですね」

そう言いながら受付の人は依頼の紙を見る。

受付嬢「うーむ・・・バンデットウルフの狩猟ですか・・・ライオスさんよアリッサさんがいると言えど流石にこれは危険では・・・」

ライオス「おいおい、そんな弱気でどうすんだよ、僕達だってそれなりに経験積んでるんだから大丈夫さ」

アリッサ「まぁ心配してくれるのは嬉しいんだけどね」

受付嬢「はぁ・・・わかりました、ですがくれぐれも無理だけはなさらぬように」

美久「はい、わかりました」

そうして私達はバンデットウルフの生息する森へと向かった。

そしてしばらく歩いているとライオスさんが立ち止まり、茂みの方を指差す。

ライオス「ミク、あそこにいるのがそうだ」

美久「あれがバンデットウルフ・・・」

その狼は全身が黒い毛で覆われており、赤い瞳をしていた。

美久「では早速・・・」

私は鼓動のリズムに合わせてビートを大きく刻む。

ライオス「よし、じゃあ行くぞっ!」

ライオスさんはビートに合わせて駆け出し、バンデットウルフに斬りかか・・・いやよく見たら剣の側面で叩き飛ばしてる・・・だがライオスさんのリズムに合わせた攻撃と共にギターの音が鳴り響く。

ライオス「~~~っ!たまらんっ!!」

アリッサ「ちょっとっ!なんで斬らずに殴ってるだけなのっ!」

ライオス「試してみただけだっ!次はちゃんと斬るよっ!」

アリッサ「はぁ・・・まったく」

ライオス「よしっ、今度こそはっ!」

ライオスさんは剣を構え直し、バンデットウルフの噛みつきをリズムに合わせて避けてはカウンターのように剣を叩き込み、斬激と共にギターの音色を響かせる。

アリッサ「あんな楽しそうに戦うの・・・久しぶりかも」

美久「そうなんですね、ならもっと楽しくさせてあげないとね」

そう言って私もリズム良くビートを刻みながら他のバンデットウルフに近づき、足払いをして転ばせると同時にシンセの和音を鳴らした。

ライオス「おぉっ?」

美久「一緒にセッション・・・言うなれば共にビートの音を奏でましょう?」

ライオス「ふぅん、面白いこと言うじゃないか、ならやってみるか!」

ライオスさんは私のリズムに合わせるように剣を振り回してバンデットウルフを攻撃し、

私も格闘で殴りながらビートを刻み続ける。

ライオス「最っ高だぜぇえぇぇぇぇぇぇ」

美久「OH!YEAH~~ッ!!!」

そしてバンデットウルフをあっという間に全滅させた。

ライオス「はぁー・・・ほんっとたまらん・・・!!こんなに楽しいなんて知らなかった!」

アリッサ「はいはいわかったから早く素材回収するよ」

ライオス「わかってるって!」

そう言って二人は素材を回収し始めた。

すると少し離れた場所から声が聞こえてきた。

???「きゃああぁぁっ!」

美久「今のっ悲鳴!?」

ライオス「あっちからだ!急ごう!」

そう言って私達は急いで向かった。

そこにはデカイ熊がおり、木の上に女性が掴まっていた。

アリッサ「キラーベアっ!?もっと森の奥の方にいるはずなのにどうしてここに!?」

ライオス「とにかく助けなきゃ!」

美久「任せて下さいっ!」

私はビートのリズムで熊の胴体に連続で蹴りを入れる、シンセの和音の音階が鳴り響くがあまり効いてないようだ。

美久「おぉ・・・硬いなぁ・・・」

アリッサ「だったらこれでどうかしら?」

アリッサさんは魔法を唱え、リズムに合わせて雷の槍が熊を貫く。

美久「おぉっナイス!」

アリッサ「・・・確かにビートのリズムに合わせて放つと威力が増してるわね・・・」

事実熊はかなりよろめいてるようだった。

ライオス「それじゃ僕がとどめをさすよ」

ライオスさんはそう言って熊に接近してリズムに合わせて剣を振るい、一刀両断した。

ギターの弦の音が響き渡る。

美久「いやぁ、なんとか倒せましたねぇ」

アリッサ「全く・・・なんでいきなりあんなのが現れたのかしら」

ライオス「まぁ何にせよ助かってよかったよ」

アリッサ「そうね、貴女大丈夫かしら?怪我とか無い?」

女性「は、はい・・・ありがとうございま・・・もしかしてあなた方は『千手の武器使い』のライオスさんと『白銀の雷』のアリッサさんですかっ!?」

ライオス「あーうんまぁ・・・」

女性「あぁ・・・まさか噂で聞いた通りのお二人に出会えるとは・・・感激です・・・」

私はアリッサさんに近づき耳打ちする。

美久「そんな凄い人なんですかお二方・・・!?」

アリッサ「たいしたことじゃないわ、ライオスなんかただいろんな武器を使いまくってるだけの暇人だし」

ライオス「アリッサだって雷魔法のレパートリーが多いだけだしね」

美久「それより君どうしてこんなところにいたの?」

女性「あっはい・・・父さんのために薬草を採りに来たんですけど・・・」

ライオス「なるほど・・・」

アリッサ「とりあえずギルドに連れて行きましょう、事情を説明しないといけないし」

美久「そうですね、ほらっ立てる?」

私は手を差し伸べた。

女性「はい、ありがとございます・・・」

そしてギルドへと戻った。

***

受付嬢「はぁ・・・また無茶なことをして、心配させないでください」

ライオス「面目ない・・・」

アリッサ「でもこの子も無事だったんだからいいでしょ?」

受付嬢「まぁそうですけども・・・」

ライオス「ところで君の名前は?」

女性「あぁ、申し遅れました、私の名前はエルサといいます、父は近場の村にいるのですが・・・最近病を患ってしまい、その薬の材料である薬草を採取しにきたんです」

ライオス「なるほどなぁ・・・じゃあ二人とも」

アリッサ「はいはい、わかってるわよ」

美久「受付の人も良いですよね?」

受付嬢「・・・わかりました、くれぐれも気をつけて行ってきてくださいね」

アリッサ「えぇ、わかってるわ」

美久「では早速出発しましょう!」

こうして私達は近場にあるという村の近くにある森へと向かった。

****

アリッサ「エルサの父親が患ってる病に効く薬草・・・この辺りのはずなんだけど」

ライオス「うーん・・・見当たらんなぁ・・・」

美久「もう少し奥の方に行ってみましょう」

しばらく歩いていると茂みの方に何かいる気配がしたのでそっと覗いてみた。

そこには紫色をしたスライムがいた。

美久「なんだありゃ・・・」

ライオス「最近突然変異の魔物の噂は聞いてたがあれがその新種かな・・・」

アリッサ「もしかしたら本来森の奥にいたキラーベアがこんなところにいたのってあれのせいかも」

ライオス「確かにそうかもしれんなぁ・・・」

アリッサ「とにかく早く倒さないとね・・・ミク、私が雷の魔法でスライムのゼリー部分を焼き切るからコアを蹴り飛ばして」

美久「了解!」

私がそう言うとアリッサさんは雷の魔法を放ち、見事に命中させた。

スライムのゼリーが蒸発していく。

アリッサ「今よっ!」

美久「GO!MustOn!!」

私は全力で駆けてサマーソルトキックで蹴り飛ばす。

だが空中で紫のゼリーがコアに纏わりつこうとしてくる。

美久「なっ!ちょっ!」

ライオス「させるかっ!」

ライオスさんがジャンプしてコアを叩き割った。

美久「おー・・・ナイス!」

ライオス「これで大丈夫かな?」

アリッサ「みたいね」

そう言いながらアリッサさんはスライムの欠片を回収袋に入れた。

美久「さて、目的の薬草を探しに行きましょうか」

ライオス「そうだな」

そして目的の薬草を手に入れ、無事にギルドへと戻ることができた。

***

受付嬢「お帰りなさい、どうでした?」

美久「バッチリです!はいこれ」

エルサ「わぁ・・・ありがとうございますっ!」

アリッサ「それと突然変異のスライムを倒したから、これがその欠片よ」

受付嬢「ふむ・・・確かに確認しました、突然変異種の断片回収の報酬をお渡ししますね」

美久「はーい」

受付嬢「それではお疲れ様です」

そう言って私たちはギルドを出た。

ライオス「もう暗くなったね・・・折角だし僕のおすすめの宿を紹介しようか?」

美久「いいんですか?」

アリッサ「そもそも女一人で宿に泊まるのは少々危険よ、私と同じ部屋に泊まりましょ」

美久「えっ・・・そこまでしていいんですか?」

アリッサ「あのタコスなら問題ないし私も実力はあるから」

美久「じゃあお言葉に甘えて・・・」

ライオス「決まりだね、こっちだよ」

そうして私達はライオスさんの案内で彼のお勧めの宿屋へと向かう。

そこは安っぽそうだが、どこか温かみのある雰囲気の場所だった。

そして料金を払い宿泊したのだった。

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