第十六話・1『別れと出会いは異世界でもよくある話である・第一部はここでおしまいです』(前編)
ある日のこと・・・
ライオス「つまり帝都の勇者達を鍛える為に補助をしてくれと?」
受付嬢「はいそうなりますね、詳しいことは帝都で聞いてください、それでは」
ライオス「ふむ・・・?」
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それから私達は馬車で帝都までいき、お城の広間で待機していた。
私達の他に色んな人がいっぱいいる。
美久「なんか・・・いっぱい人いますね」
ライオス「勇者を鍛える為だから当然と言えば当然だな」
アリッサ「それにしても・・・Bランクが大抵いるけどAランクの冒険者もけっこういるね、これは期待できるわ」
私達は待機している広間の扉が開いてまずは綺麗な服を着た少女が出てきた、多分王女なんだろう。
ライオス「お、王女の『リティス・アクリクス』様だな」
リティス「んーっ・・・えふっえふっ・・・皆様、この度は我がアクリクス帝都にお集まりいただきありがとうございます」
美久「カンペ丸読みだ・・・」
リティス「我が国は勇者様方をこの世界に召喚し、我が城で訓練をしておりました、しかし城の中では限界があり、勇者様を外の世界で実力を発揮させるための補助をお願いしたいのです」
周囲の冒険者は小声で会話してるる。
リティス「制約はありません、どの街へ行くのも、ギルドでどういったクエストを選ばせるのも自由です」
王女様がすぅっと息を吸い込んだ・・・?
リティス「ただし!!!」
おぉぅ・・・そんな大声出さずとも・・・
リティス「勇者様を無事に帰還させること、これは絶対ですっ!」
周りの冒険者はシンと静まり返ってる・・・
リティス「死してしまわないようにするのは勿論の事、心に深い傷を負わさない事、これは絶対です!!」
静まり返った広間に王女様の声が響き渡る・・・
リティス「私達の望みは勇者様が強くなって無事に帰還する事のみと心に刻んでください!!」
王女様は深々とお辞儀をしていった。
リティス「続いてユージン、お願いします」
ユージン「はっ・・・」
ユージンさんが広場の階段を下りていく。
ユージン「それでは只今より、勇者に同行する冒険者の選別を行う!」
ユージンさんの言葉で広間に張り詰めた空気になってく。
ユージン「勇者、入場!」
広場の両端の扉からいつぞやの訓練の時に見たクラス転移された人々が出てきた・・・
なんていうか全校集会っぽい雰囲気だ。
そしてクラス転移された人々はきっちりと整列して並んだ。
ユージン「これから呼ばれた冒険者と勇者は前に出て私の前に来て下さい」
ユージンさんが脇に挟んでる巻物を広げた。
ユージン「Aランク冒険者、『ディエス』!勇者、『ヤマジ』!『ミサコ』!『コトネ』!」
ヤマジ&ミサコ&コトネ「はいっ!」
ディエス「あぁうん?」
呼ばれた冒険者と勇者が前に出てユージンさんの前に立つ。
ユージン「では、自己紹介と握手を」
ディエス「あーえっと・・・オレはディエス、片手斧を武器として使ってる」
ヤマジ「僕はヤマジです、剣と盾を使ってます、よろしくお願いします」
ミサコ「あたしはミサコ、槍を使わせてもらってるわ」
コトネ「えっとコトネです・・・風の魔法が使えます」
ディエス「えっとユージンと言ったか?こんな感じでいいの?」
ユージン「構いません、ではそのまま退場して下さい、勇者達を宜しく頼みます」
ディエス「あーそなの?んじゃまぁ気楽にいこうやみんな」
ヤマジ「よろしくお願いします、ディエスさん」
コトネ「よよよ・・・よろしくお願いいたしまひゅ・・・」
ミサコ「ヤマジーコトネー気楽にって言ってたじゃん、ディエスさんよろしくー」
ディエスさん達は広間を退場した。
ユージンさんが巻物を広げながら読み上げる。
ユージン「Aランク冒険者、『クラリス』!勇者、『シュウジ』!『カスミ』!『ユウキ』!」
シュウジ&カスミ&ユウキ「はいっ!」
クラリス「こういう感じなのね・・・はーい」
呼ばれた冒険者と勇者が前に出てユージンさんの前に立つ。
ユージン「では、自己紹介と握手を」
クラリス「クラリス、弓使いよ」
カスミ「私はカスミです、剣を使います」
ユウキ「ユウキだ、ハンマーを使ってる」
シュウジ「俺シュウジ、素早く動いてダガーでデュクシってのが得意だ」
クラリス「みんなよろしくね」
カスミ「はいっ!お願いします!」
ユウキ「ん・・・」
シュウジ「あーい」
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そんな感じで次々と冒険者と勇者が呼ばれて自己紹介とか握手会が行われていく。
冒険者のみんなもちゃんと自己紹介とかしてて、なんか学校行事の開会式みたいな雰囲気だなぁ・・・
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しかしミクは気づいてなかった。
ユージンのスキルは過去の光景を映し出せれると言うことを、つまり勇者を見捨てたり勝手に追放してもお見通しになるということであると言うことを・・・
まぁ当然ユージンもその事は重々理解してるため、信頼できる冒険者を選んで帝都に呼んでいるのであり、選ばれた冒険者も(おそらくそういう事だろうなぁ)と薄々感づいているが
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そして20人程いた冒険者と50人程いたクラス転移された人々・・・いやもう王女様とかが勇者って呼んでんだから私も勇者って呼ぼう。
勇者達も去っていき、残る冒険者は私にライオスさんにアリッサさんにルカちゃんだけになった。
ユージン「Bランク冒険者、『ライオス』!『アリッサ』!勇者、『ハジメ』!『ハルカ」!」
ライオス「はい」
アリッサ「はーい」
ハジメ「うん・・・」
ハルカ「ひゃいぃっ!」
ライオスさんとアリッサさんが前に出て、ハジメって呼ばれた勇者は暗そうに、ハルカって呼ばれた勇者はすんごく緊張して両手両足が一緒に出て歩いちゃってるよ・・・
ユージン「ハルカ君だいじょぶー?」
ハルカ「あっ・・・はっ・・・その・・・あの・・・その・・・」
ライオス「緊張するのも無理はないけどこれから一緒に戦う仲間だからさ」
アリッサ「そうそう、気楽にいきましょ?」
ハルカ「あっ・・・はい・・・」
ライオス「改めて僕はライオス、色んな武器が得意だ、よろしく!」
アリッサ「私はアリッサ、雷の魔法を使えるの、よろしくね」
ハルカ「ひぅ・・・はっハルカですっ!回復の魔法が使えますっ!」
ライオス「よろしく、それでそっちはハジメって言うんだっけ?」
ハジメ「ハジメ、弓使える・・・ほんとは誰ともなれ合いたくなかったけど・・・国の命令だから従う・・・」
ユージン「そこまで強制じゃないんだけどなぁ・・・」
そして握手をして広間の出口で待ってくれた。
ユージン「Dランク冒険者『ミク』!
Cランク冒険者『ルカ』!勇者『ユウタ』!『モエカ』!」
美久&ルカ&ユウタ&モエカ「はいっ!」
私とルカちゃんが呼ばれたので前に出る。
ユージン「では自己紹介と握手・・・の前に・・・」
兵士の人が来て小さめの機械を出した。
ユージン「冒険者『ミク』、其方の力量を称え、Bランクに昇格する」
兵士の人が機械を操作すると私の小指にはまってる冒険者の証の指輪の色が変わった。
美久「あ、ありがとうございますっ!」
ルカ「わぁ・・・ミクさん凄いです!」
ライオス「へぇっ!Dから一気にBランクに上がるなんてっ!」
アリッサ「まぁ確かに今までの活躍なら妥当ね」
ユージン「んじゃ改めて自己紹介と握手を」
美久「あっはい、ユウタさんモエカさん、こないだの城の広場ぶり以来ですね、ミクって言います」
ルカ「ルカ・・・です・・・よろしくお願いします」
モエカ「モエカよ、よろしく」
ユウタ「ユウタ、よろしくね」
私達は握手をして城の広場から出ていった。
ライオス「2対2で分かれた事だし、これからは勇者達を鍛える目的でそれぞれ別行動だな」
アリッサ「そうね、私とライオスでハルカとハジメを、ミクとルカでユウタとモエカを鍛えましょ」
美久「私が・・・ですか・・・」
ルカ「できますかね・・・」
ライオス「大丈夫だ、ミクの実力ならできるよ」
アリッサ「そうよ、自信を持って」
美久「わかりましたっ!頑張ります!」
ルカ「が・・・頑張ってみます!」
ライオス「それじゃ、また会おうね」
アリッサ「また会いましょ」
ミク&ルカ「はい!またっ!」
ライオスさんとアリッサさんは手を振って去っていき、ハジメさんは暗い足取りでハルカさんは・・・あぁまた手足が一緒に出て歩いてる・・・
*****
ライオスさん達と別れた後、噴水前で会話していった。
美久「えっと・・・クラス転移されたって事はある意味学生・・・なんだよね?」
ユウタ「うんまぁ、みんな高校2年だよ」
美久「やっぱそうなんだ、私は23歳だけど・・・」
ルカ「えっと私は21です」
モエカ「へぇ・・・まぁ敬語とかそう言うのは無しにしましょ」
美久「じゃあユウタ君、モエカちゃんって呼んでいい?」
ルカ「えっと私は・・・敬語呼びじゃないと・・・なんていうか・・・むず痒いというか・・・」
モエカ「そうなのね、まぁ好きな呼び方でいいよ、私も呼び捨ての方が楽だからミクとルカって呼ぶね」
ユウタ「じゃあ僕もミクとルカって呼ぶね?」
美久「うん、それでいいよ」
ルカ「わ・・・わかりました!」